吹き抜けのある家、間取り事例とやるべき対策5つを解説

吹き抜けのある家はおしゃれで素敵ですよね。住宅展示場でも多くの家に採用されていて、憧れる人は多いと思います。しかし、インターネットなどで調べると『冬は寒い』などのデメリットも出てきます。そこで、吹き抜けのある家の間取り事例やありがちな後悔ポイントをご紹介し、やるべき対策5つを解説していきたいと思います。

吹き抜けの間取り事例

吹き抜けとは、天井や床を設けずに、複数階が上下につながった空間のことです。たとえば、1階の天井と2階の床を設けていない空間のことで、1階まで自然光の明るさを届けることができます。
空間的な広がりを演出できるデザイン性の高さも魅力で、マンションやホテル、ビルのエントランスホールなどでも採用されています。もちろん一戸建てでも人気があります。まずは、吹き抜けがある一戸建ての間取り事例をご紹介します。

・LDK+吹き抜け

LDKやリビングを吹き抜けにすると、リゾート感や余裕を感じさせる広々とした空間が実現できます。見た目のおしゃれさも大きな魅力です。また高い位置に窓をつけることで自然光を採り入れることができ、開放感と明るさも確保できます。部屋が明るいと気分も明るくなりますよね。
また、狭小地や周辺の家の状況によって1階に光があまり入らない場合も、吹き抜けがあれば2階や3階の窓から採光できます。近隣の目線が気になる場合は窓を曇りガラスにすることでプライバシー確保もできて安心です。

・リビング+階段+吹き抜け

上階または下階につながる階段をリビングに配置し、リビング階段と吹き抜けを組み合わせることで、家全体がひとつながりの大空間であるような演出ができます。吹き抜けには家全体の床面積が減ってしまうデメリットがあります。しかし、階段をリビングに組み込むことで、空間の有効活用ができるのです。
階段を上がったところに廊下や渡り廊下をつくれば、上からリビングを見渡せます。家族のコミュニケーションが取りやすく、お互いの存在を感じられるでしょう。

階段+スキップフロア+吹き抜け

階段の途中にスキップフロア(中間階)をつくるのもおすすめです。スキップフロアをつくることで床面積を効率的に増やせるメリットがあります。スキップフロアはワークスペースやセカンドリビング、子供の勉強スペースなどに利用でき、下の部分は収納などで活用できます。

・玄関+吹き抜け

家の顔である玄関も吹き抜けと相性の良い場所です。玄関の位置は接道状況や土地の向きで決まることが多く、狭さや暗さへの不満が出やすくなります。
しかし、玄関に吹き抜けを採用することで、広い面積をとれない場合も狭さを感じさせない開放感のある空間にできます。高い位置にある窓から自然光が入り、明るくおしゃれなエントランスで気持ちよくお客様を迎えられるでしょう。

吹き抜けのありがちな後悔ポイント

吹き抜けを導入したいけど、インターネット上には後悔の声もあり、不安に思う人もいると思います。しかし、これまで家づくりの先輩たちがどんなことに失敗・後悔したのかを知ることで、事前に対策をとることができます。ここではありがちな後悔ポイントについてご紹介します。

・ありがちな後悔ポイント

●冬場に寒い
●音が響く
●光がもれる
●匂いが充満してしまう
●窓や照明などのメンテナンスの心配がある

暖かい空気は上に上がっていく性質があります。何も対策をしなければ、吹き抜けの上部に暖かい空気はたまり、下の空間は寒くなってしまいます。

また、2フロアがつながっていることで音が反響したり、光が他のフロアまでもれてしまったりという問題も起こります。たとえばリビングに吹き抜けがある場合、テレビの音が上階で勉強している子供部屋まで伝わってしまうなんてことも。またダイニングやキッチンが吹き抜けの場合は、料理の匂いが家中に充満してしまう可能性もあります。 そして、天井が高いことが魅力である一方、将来的に高い位置にある窓の掃除や電球の交換など、メンテンナンスが心配になります。何の対策もしなければこのようなデメリットや心配事があるため、次は後悔しないためにやるべき対策について解説していきます。

吹き抜けのある家でやるべき対策5つ

①寒さ対策

吹き抜けのデメリットや後悔で多いのは、『冬に寒い』ということです。寒さ対策にはいくつか方法があり、1つめは断熱材や断熱ガラスを使用することがあります。

2つめは全館空調や床暖房の採用です。床暖房はガスや電気ヒーターで床を加熱し、床から放出される輻射熱(ふくしゃねつ)が部屋全体をあたためる仕組みです。床から出た輻射熱は壁にも吸収され、壁からも輻射熱が発生するため、ポカポカとした穏やかな暖かさが続きます。

3つめはシーリングファンを天井に取り付けることです。シーリングファンはリゾート感があって見た目も良く、その上機能的です。家全体の空気を循環させることで、暖かい空気が上部にたまるのを防いでくれます。

②音・光対策

音や光の対策は間取りやレイアウトで解決しましょう。上階の吹き抜けに接する部分に扉や壁、通路をつくることで下階と仕切りをつくります。また、各部屋内のレイアウトでも工夫ができます。吹き抜け側に収納を配置することで日常の音や光は気にならなくなります。
しかし、大声で話す声や大笑いする声は対策をしても聞こえてしまいます。木造住宅では吹き抜けでなくても大きな音や声は他の階まで聞こえます。声の大きさや音を発する時間は、どのような間取りでも配慮が必要です。

③匂い対策

匂い対策の1つめはキッチンへの工夫です。まずはキッチンを吹き抜けからなるべく遠い位置に配置しましょう。そうすれば換気扇である程度匂いを吸い込み、他の階までは充満しにくくなります。またアイランドキッチンやペニンシュラキッチンの場合、コンロの前に壁を建て、換気扇の効率を上げる方法も有効です。

2つめの匂い対策は吹き抜けに換気用の窓をつけることです。高い位置の窓なので電動で開閉できるようにする必要があります。費用はかかりますが、こもってしまいがちな匂いの排出には効果があります。

④メンテンナンス対策

天井が高いことは大きな魅力である一方、高い位置にある窓の掃除や電球の交換など、メンテンナンス対策が必要になります。窓はカーテンなどをつけると掃除の頻度を上げる必要がでます。プライバシー確保をしたい場合は、曇りガラスにすると良いでしょう。
また照明器具の電球はLEDがおすすめです。LED電球の寿命は40,000時間といわれ、計算上では1日5時間点灯した場合は20年以上、1日10時間点灯させても10年もつことになります。最近はシャンデリアやペンダントライトなど、デザイン性の高い照明でもLED電球が使用可能なものが多くあります。
電球交換しやすいように、照明器具を電動で上下させる電動昇降装置もあります。ただ、10年に一度くらいの頻度であれば、電球交換は業者さんに依頼しても良いのではないでしょうか。

⑤安全対策

安全への対策もかかせません。1つめは転落防止対策です。吹き抜けの階段や下を見渡せる廊下には必ず手すりや柵をつけてください。小さなお子さんがいる場合は、手すりの隙間から落ちないための配慮も必要です。

2つめは耐震性への対策です。建物内に大きな空間ができることや、窓が増えることで耐震性が低下してしまう可能性があります。他の部分で補えない場合は希望のサイズの吹き抜けが取れないこともあります。設計士さんとよく相談して決めるようにしてください。

まとめ

今回は新築で家を建てる際、多くの人が検討する『吹き抜け』について解説しました。採用する場合は、間取り事例やありがちな後悔ポイントを参考にして頂き、やるべき対策をしっかりとるようにしてください。おしゃれで高級感ある雰囲気は満足度が高く、明るさや開放感は大きな魅力です。家づくりの際は、ぜひ吹き抜けのある家を検討してみませんか。