階段にはどんな種類がある?パーツの名称や選ぶポイント3つ

注文住宅の間取りを考える際、階段の位置やデザインで迷う場合があります。そもそも階段にはどんな種類があるのか、よく知らないという人も多いでしょう。プランニングや打ち合わせをスムーズに行うためにも、種類や名称を知っていると便利です。今回は、階段の種類やパーツの名称、階段選びのポイントについて解説します。

階段を構成するパーツの種類と名称

はじめに、パーツの種類と名称をご紹介します。

・踏み板(ふみいた)

足をのせる部分の名称です。段板(だんいた)とも呼ばれています。滑り止め用の溝を掘ったり、滑り止めの部材を取付けたりします。踏み板の表面は『踏面(ふみづら)』と呼ばれ、奥行きを表す言葉として使われる場合もあります。建築基準法では、住宅の階段の踏面は、15cm以上と規定されています。昇降しやすさを考えると、25cm前後が望ましいでしょう。また、踏み板の素材は、下記のような種類があります。

●木製
●ガラス
●パンチング
●スチール製(アイアン)

・蹴込み板(けこみいた)

踏み板から立ち上がった垂直な板のことです。蹴込み板は、踏み板と同系色を選ぶほか、白や黒など、踏み板と別の色を選んでも、おしゃれな印象になります。蹴込み板を付けない、オープンなタイプもあります。また、1段分の高さは、蹴上げ(けあげ)と呼ばれます。建築基準法では、住宅の蹴上げは23cm以下と規定されています。

・桁(けた)

桁は、踏み板を支える部材のことです。形状や位置によって、『ささら桁』、『側桁』、『力桁』の3種類に分類されます。

●ささら桁(ささらげた)

踏み板を下から支える構造で、ジグザグの形状をしています。中央付近や両端から踏み板を支えます。横から見た際、段々の形状が見えるため、デザイン性が高くなります。

●側桁(がわげた)

踏み板を両側から挟んで支える、もっとも一般的な構造です。踏み板を桁に差し込んで、両サイドからしっかり支えられるため、安定感があります。

●力桁(ちからげた)

踏み板の中央付近を、斜めの太い角材で下から支える構造です。踏み板の断面が見えるのが特徴で、1本で支える場合と2本の場合があります。1本の方がよりユニークなデザインになるものの、踏み板の端が揺れやすいため、強度には注意が必要です。

・踊り場(おどりば)

階段の途中にある、平らな床面のことです。段数が多かったり、L字型やコの字型に向きを変えたりする場合、踊り場を設けることが多いでしょう。踊り場では方向転換がしやすく、万が一踏み外してしまっても、下まで転げ落ちる危険を軽減する役割も果たします。踊り場を広めにとり、本棚やイスを置いて、くつろぎスペースとして活用するのもおすすめです。

・手すり

おしゃれな階段にしたいなら、手すりにもこだわりましょう。手すりには、転倒を防いだり、昇降をラクにしたりという機能があります。建築基準法でも、設置基準が規定されています。住宅の階段は、片側または両側に手すりを設けるか、両側に側壁を設けなければなりません。ただし、高さ1m以内には、どちらも設けなくても良いため、途中から手すりや壁を建てても良いでしょう。デザインや機能面、安全面を考慮して、選ぶようにしましょう。手すりの種類は、取付け箇所によって次の3つに分類されます。

●壁付けタイプ

階段に面している壁に取付ける、もっともポピュラーなタイプです。手すり棒は、形状をラウンドとスクエアから選べるほか、色もシンプルな木目だけでなく、白や黒などから選べます。また、アイアン製でデザイン性の高いタイプもあります。

●オープンタイプ

手すりを階段に直接取り付けた、開放感のあるタイプです。壁がない場所に取付けられ、おしゃれでスタイリッシュな印象になります。小さいお子さんがいるご家庭では、すり抜けやよじ登りが予防できるなど、安全面に配慮したデザインを選ぶことが大切です。

●パネルタイプ

手すり棒と踏み板の間に、パネルを設けたタイプです。アクリルやガラスなど、透明感のあるパネルは、『開放感を出したいけれど、お子さんやペットの落下が心配』、という場合にも向いています。また、足元の目隠しの役割も果たします。

住宅の階段にはどんな種類がある?

次に、階段の種類を詳しく解説します。住宅の階段の種類は、形状では5つに、ステップの種類では3つに分類できます。それぞれの特徴を見ていきましょう。

・形状の種類

●直階段(ちょくかいだん)

ストレート階段とも呼ばれ、真っすぐな形状をしています。シンプルでコストを抑えやすいことがメリットです。しかし、踏み外すと下まで落ちてしまうリスクがあるため、途中に踊り場を設けると良いでしょう。

●かね折れ階段

踊り場が途中にあり、L字に曲がっています。万が一踏み外してしまっても、下まで落ちる心配が少ないことや、直線距離が取れない場合でも、設置しやすいことがメリットです。

●折り返し階段

踊り場が途中にあり、コの字型に折り返す形状をしています。学校や公共施設で見かけることが多いタイプです。比較的踊り場が広いため、脚立を使って窓の掃除や電球交換をしたり、昇降の途中でひと休みしたりできます。

●回り階段

途中でL字やコの字に向きを変え、円を描くように昇降します。踊り場がないことが特徴で、曲がる部分の踏み板は三角形になります。大型家具の搬入の際は、上手く回転させながら、注意して運ぶ必要があります。

●らせん階段

踊り場がなく、グルっと回りながら昇降します。おしゃれで個性的な印象があり、デザインを重視する人に向いています。形状が複雑なため、費用は高くなる場合が多いでしょう。また、曲がる部分の踏板が狭くなるため、昇降に注意が必要です。

・ステップの種類

次に、ステップの種類による分類もご紹介します。

●ボックス階段

箱を積み上げたような、昔ながらのタイプです。箱階段とも呼ばれ、階段下を利用して、トイレや収納をレイアウトできることがメリットです。

●オープン階段

蹴込み板がなく、シースルーやスケルトン、ストリップ階段とも呼ばれます。下の階の床が見える構造で、スタイリッシュでおしゃれな印象です。圧迫感を軽減できるため、リビング階段にも適しています。

●片持ち階段

踏み板が浮いているように見えるため、フローティング階段とも呼ばれています。片方の壁や補強材で踏み板を支え、シンプルさを追求したデザインです。壁から離れた部分が揺れやすいため、ポールなどで補強している製品もあります。

階段選びのポイント3つ

最後に、選ぶ際の3つのポイントを解説します。

・設置場所を早めに決めておく

階段を設置する場所は、玄関ホールかリビングの2択になることが多いでしょう。間取りを検討する際、どちらに設置したいか、早めに決めておくとプランニングがスムーズです。階段を玄関ホールに設置するメリットは、1階のニオイや音が2階に漏れにくいことや、エアコンの冷暖房効率が上がることなどが挙げられます。一方リビング階段のメリットは、コミュニケーションが取りやすいことや、全館空調が向いていることなどです。しかし、リビング階段には、ニオイや音が漏れやすいことや、冬は足元が暖まりにくいというデメリットもあるため、採用する場合は、対策しておくことが大切です。

・オープン階段には安全対策も必要

オープン階段を選ぶ際には、安全対策も必要です。おしゃれを重視したオープンタイプには蹴込み板がなく、すき間ができます。開放感がある一方で、小さなお子さんやペットの落下、お年寄りがつまずく心配などがあります。また、構造上、ベビーゲートが取付けにくいという問題もあります。家族構成によっては、安全対策を考慮して、製品やデザインを選ぶようにして下さい。また、費用の面でも、強度の確保や設置工事にコストがかかり、導入費用が高くなりがちです。デザイン性や安全性、費用面などを合わせて検討しましょう。

・吹き抜けや照明でおしゃれに

デザイン性を高めたいなら、吹き抜けや照明にこだわることで、おしゃれに演出できます。吹き抜けは、複数のフロアを縦につなげた空間です。階段を吹き抜けにすると、天井が高くなり、開放感や明るさが生まれます。縦に広がった空間を活かし、ペンダントライトやブラケットなどの照明を使って、ドラマチックな雰囲気を演出しても良いでしょう。また、光源が見えない間接照明もおすすめです。手すりの下部に照明が取り付けられている製品や、足元を照らすおしゃれなフットライトなどもあります。

まとめ

今回は、階段のパーツの名称や種類、選ぶ際のポイントについて解説しました。構成するパーツは、踏み板、蹴込み板、桁、踊り場、手すりなどです。種類も様々で、形状やステップの種類などで分類できます。選ぶ際は、設置場所を早めに決め、オープンタイプを採用する場合には、安全対策も必要になります。また、デザイン性を高めるためには、吹き抜けや照明にもこだわると良いでしょう。階段は、デザイン性や安全性、費用面などを合わせて検討しましょう。