ヌックってなに?間取りに取り入れる方法と作る際のポイント

ヌックは、家の中に作る、ひとりの時間を楽しめる空間です。注文住宅の家づくりでも、ヌックを間取りに取り入れたいと考える人が増えています。今回は、ヌックとは何かをご紹介し、間取りに取り入れる方法と作る際のポイント3つを解説します。居心地の良いおこもり空間を設けて、おうち時間を充実させましょう。

ヌックってなに?

まず、ヌックがどんなスペースなのか、特徴やメリット・デメリットをご紹介します。

・ヌックとは

こぢんまりとした落ち着ける場所のことです。元は、スコットランド語の『Neuk(ヌーク)』が語源と言われています。Neuk(ヌーク)は、暖炉の脇に作られた腰掛けのことで、温かくて心地良いスペースを指します。現代のヌックは、部屋の一角やデッドスペースなどを利用して作られ、ヌークと同様にホッとくつろげる空間です。個室のように扉や壁で仕切らず、段差を設けたり、素材を変えたりして、ゆるやかにゾーニングされています。広さは、1~3畳程度あれば設置できます。用途は、読書スペースやお子さんの遊び場など様々で、隠れ家のようにワクワクできる空間です。

・ヌックを作るメリット

間取りに取り入れるとどんなメリットがあるのか、見ていきましょう。

●プライベート空間が作れる

ヌックは、閉塞感のないプライベート空間です。完全な個室ではないので、家族の存在を近くに感じながら、自分だけの時間が過ごせます。家族の団らんやつながりも大切にしつつ、ひとりの時間も楽しみたい人にぴったりです。

●デッドスペースの活用ができる

ヌックはデッドスペースの活用にもなります。小さなスペースに設置できるので、狭い場所や天井が低い場所にも設けられます。秘密基地のような空間は、子供も大人もワクワクして、つい入りたくなってしまうでしょう。狭いからこそ落ち着ける場所です。

●様々な用途に利用できる

ヌックは様々な用途に利用できることも魅力です。例えば、お子さんが小さいうちは遊び場や秘密基地として、大きくなったら読書スペースとして使うなど、フレキシブルに活用できます。造り付けのデスクを設置すれば、勉強スペースやワークスペースとしても利用できます。

・ヌックのデメリット

続いて、間取りに取り入れる際のデメリットもご紹介します。

・部屋の面積や収納スペースが減ってしまう

間取りにヌックスペースを確保すると、部屋の面積や収納スペースが減ってしまう場合があります。ヌックは、デッドスペースの活用にはとても有効です。しかし、プランの際は、優先順位を確認しておく必要があります。

・活用されないこともある

用途を決めずになんとなく作ってしまうと、活用されずに後悔につながることがあります。狭すぎたり、寒かったり、暗かったりなど、居心地の悪さから使わなくなってしまう場合もあるでしょう。あらかじめ用途をイメージし、設備を整えておくことが大切です。

・費用がかかる

居心地の良い空間を作るためには、どうしても費用がかかります。小上がりにしたり、棚やデスクを付けたり、照明や空調などの設備を追加したりと工事費用が必要になります。仕上げ材や広さによっても変わるので、予算に合わせた仕様を提案してもらうと良いでしょう。

ヌックを間取りに取り入れる方法

次に、ヌックを間取りに取り入れるには、どこに作れば良いのかを解説します。

・リビングの一角

リビングの一角にヌックを設けることで、家族の団らんスペースの近くに、プライベート空間を作ることができます。個室のように完全にシャットアウトせず、家族とのつながりや気配を感じながら、ほどよい距離感を保てます。それぞれが好きなことをしながらも、同じ部屋の中でゆったりと過ごせます。畳スペースにすると、ゴロッと横になってくつろいだり、キッズスペースにしたりと活用の幅が広がります。

・階段下

階段下はデッドスペースになりがちな場所です。トイレや収納として使うほか、ヌックとして活用するのもオススメです。特に、リビング階段の下はヌックにピッタリです。天井に勾配があることで、壁で仕切られていなくても「おこもり」感が出ます。ワークスペースや勉強、読書スペースとしての利用などに向いています。

・窓辺

出窓や窓辺を利用したヌックは、明るく開放感があります。窓辺にベンチを造作すると、日当たりも良く、ポカポカと居心地の良いコーナーに仕上がります。壁紙の色を変えたり、垂れ壁を付けたりして、間取りをゆるやかに区切るのがポイントです。ベンチの下は収納にできるため、収納量の確保にも有効です。

・壁にニッチを設ける

壁にくぼみを作り、ニッチを設けてヌックとして使用する方法もあります。一般的に住宅のニッチは、壁の中の空洞を活かして作る、おしゃれな飾り棚を意味します。物を飾るためではなく、お子さんが秘密基地のように使ったり、小上がりにして大人もくつろげるようにしたり、ニッチと組み合わせる間取りも遊びゴコロがあります。

・2階の廊下

階段を上った、2階の廊下にヌックを作るのもオススメです。本棚を置いてリーディングヌックにすれば、本や漫画、雑誌などを家族で共有し、漫画喫茶や図書館のような気分が味わえます。本が手に取りやすい場所にあれば、お子さんの読書習慣づけにもなります。ダウンライトやスポットライトを取り付けておけば、夜もゆったりと読書を楽しめます。寝室に行く前に、ひとときのリラックスタイムが過ごせるでしょう。

ヌックを作る際のポイント3つ

最後に、作る際のポイントを3つ解説します。

・ゆるやかに空間を区切る

ヌックは、個室のように扉や壁ではっきりと仕切らず、ゆるやかに他の空間と境界を作るようにしましょう。例えば、床に段差を付けて小上がりを作る、壁紙の色や柄を変える、天井を低くする、垂れ壁(下がり壁)を付ける、などの方法があります。他の部分とゾーニングすることで、一人でゆっくりと過ごせる、おこもり空間になります。

・用途を決めておく

とくに、ヌックをお子さんの遊び場として作る場合には、将来の使い道も決めておきましょう。用途を決めておかないと、誰も使わない無駄なスペースや物置になってしまい、後悔につながります。例えば、本棚やデスクを付けておくことで、成長後も勉強スペースにしたり、ほかの家族が家事や仕事で使ったりもできます。また、お子さんしか立てないくらい天井が低い場合でも、掘りごたつのように足元を一段下げて置けば、座って作業ができるようになります。

・照明で雰囲気づくり

間取りにヌックを取り入れるなら、照明を使った雰囲気づくりも大切です。照明の色が持つイメージを利用し、居心地が良く、落ち着ける空間を演出して下さい。光の色は、蛍光灯のような青白い色よりも、温かみがあり、オレンジがかった電球色や温白色が適しています。また、ペンダントライトや、間接照明などを取り入れ、光の位置を低くすることでも、ムーディーな雰囲気になります。夜寝る前や、落ち着いた気持ちで過ごしたい時にぴったりな、お気に入りの場所になるでしょう。しかし、オレンジ色の光は、長時間の読書には向いていません。リーディングヌックにする場合は、スポットライトやデスクライトを使い、手元が暗くならないように工夫しましょう。

まとめ

今回は、注文住宅の家づくりで注目されている、ヌックについて解説しました。ヌックを間取りに取り入れるメリットには、閉塞感のないプライベート空間が作れることやデッドスペースが活用できることなどがあります。間取りに取り入れるには、リビングの一角や階段下、廊下などに設置する方法があります。また、作る際のポイントは、段差や壁紙を使ってゆるやかに境界線を作ること、あらかじめ用途を決めておくこと、雰囲気作りに照明を使うことの3つです。間取りに居心地の良いおこもり空間を設けて、おうち時間を充実させましょう。