造作家具とは?メリット・デメリットと依頼する際のポイント

造作家具は、サイズやデザインを部屋にぴったり合わせられるため、おしゃれで機能的です。しかし、サイズや納期が合わないと、使いづらかったり、新築のスケジュールに間に合わなかったりという問題が起きてしまいます。そこで今回は、造作家具と置き家具の違いや種類をご紹介し、メリット・デメリットや依頼する際のポイントを解説します。

造作家具とは?置き家具との違いや種類

そもそも造作家具とはどんな物でしょうか。置き家具との違いや種類についても解説します。

・造作家具(ぞうさくかぐ)とは

壁や床に固定して作り付ける、オーダーメイド家具のことです。部屋や用途に合わせて、素材やサイズ、デザインを自由に選べることが魅力です。素材は、木材だけでなく、スチールやアルミなどの金属、メラミン化粧板、石材なども使われます。壁や床に造り付けるため、背の高い家具や、高い位置に付ける棚なども安全に設置できます。ゼロから設計するタイプと、ある程度の規格が決められていて、色や扉の有無を選ぶといった、セミオーダータイプがあります。

・置き家具との違い

置き家具は、家具専門店やインテリアショップなどで販売している既製品です。デザインやサイズは、どこにでも合うような、汎用性の高い仕様になっています。すぐに手に入る手軽さや安価なことが魅力である一方、壁とのすき間ができたり、色が合わなかったりという失敗も起こりやすくなります。

・造作できる主な家具の種類

造作できる家具には、主に次のような種類があります。

●本棚や壁面収納

代表的な造作家具は、造り付けの棚です。天井までの高さがある、壁面いっぱいの収納は、収納力抜群です。扉を付けておくと、まるで壁のように見え、圧迫感が出ません。十分な収納量が確保できれば、お部屋がすっきりします。また、あえて扉を付けずに見せる収納もおしゃれです。しかし、ホコリがたまりやすく、物が多いと雑然と見えるため、整理整頓や掃除が苦手な人には向いていないかもしれません。

●テレビボード

造り付けのテレビボードも人気があります。例えば、壁面収納とテレビボードを組み合わせたり、テレビボードを壁付けにして、床から浮かせたりといった事例があります。壁に取付けるとおしゃれに見えるだけでなく、お掃除ロボットが掃除しやすいこともメリットです。また、床が見える面積が増えるため、部屋が広く見える効果も期待できます。

●カップボード

カップボードは、キッチンで食器や調理器具、家電などを置く、いわゆる食器棚のことです。キッチンメーカーがシステムキッチンとセットで販売していたり、家具店で据え置きタイプを扱っていたり、既製品も多くあります。しかし、キッチンは使いやすさにこだわりたい、おしゃれなデザインにしたいなどの要望から、カップボードの造作も人気があります。木のぬくもりや味わいを活かしたデザインや、引き出しがないシンプルな棚など、好みのデザインや素材、高さにもこだわることができます。

●デスク

リビングやキッチンに、お子さんの勉強スペースや、家事などに活用できる作業台があると便利ですよね。例えば奥行きが取れない場所でも、造作なら、省スペースのデスクが壁に取付けられます。部屋の一角やすき間などを利用し、ジャストサイズに作れます。

●洗面台

洗面台は、既製品にはあまりバリエーションがありません。インテリアと統一感を持たせたり、デザインやサイズにこだわったりしたいなら、造作がおすすめです。洗面ボウルや蛇口、タイルや鏡など、選ぶパーツも多くあります。また、洗面台の高さや収納についても、家族の人数や好みによって、使いやすい仕様にできることが魅力です。朝の身支度の際など、洗面所が混み合う対策として、洗面ボウルを2台置いたり、お化粧スペースを広くとったりといった工夫ができます。毎日使う場所なので、家族にとって使いやすいことが大切です。

造作家具を作るメリット・デメリット

次に、造作家具のメリット・デメリットをそれぞれ見ていきましょう。

〈メリット〉

●インテリアに合わせられる

材質や色が選べるため、デザインやテイストをインテリアに合わせられます。例えば、木製の造作家具では、床や建具(ドアや扉)などに色を合わせられるため、お部屋全体に統一感を持たせられます。せっかく無垢材の床にこだわったのに、家具のテイストが合っていないともったいないですよね。とくに、大型で目立つものは、お部屋のインテリアに合わせられると、おしゃれで高級感が演出できます。

●使いやすく、機能的

造作家具は、使い勝手や細かい機能など、ディテールにこだわれるため、使いやすくて機能的です。例えば、カップボードやカウンターは、使う人の好みの高さにしたり、本棚や収納では、棚の高さやピッチ、奥行きを調整したりできます。また、取っ手の種類や位置、扉の有無など、細かい部分も選べるため、自分達にとって使い勝手の良く仕上がります。

●空間の有効活用ができる

造作家具は、空間に合わせてジャストサイズに作れます。ミリ単位で設計できるため、デッドスペースを作らず、空間の有効活用ができます。デザインも寸法もぴったり合うような、既製品を探すのはとても大変です。インテリアにこだわるなら、合うものを探すより、造作の方が良いケースも多いでしょう。

●耐震性が高い

造作家具は、壁や床に直接取り付けます。固定されているため、耐震性を高くできることもメリットです。背の高い置き家具は、転倒防止のために耐震固定や突っ張り棒が必要になり、見た目が悪くなってしまいます。造作なら、壁面いっぱいに収納を取付けたり、高い位置に棚を付けたりしても安心です。

〈デメリット〉

●値段が高め

好きな素材やデザイン、サイズなどが選べる反面、1つしかないオリジナルなので、コストは高くなりがちです。工場で大量生産している既製品と比べると、手間や時間がかかる分、どうしても高くなってしまいます。予算に合わない場合は、素材を変えたり、置き家具と組み合わせたりなど工夫しましょう。

●他の場所に移動できない

置き家具と違い、レイアウト変更で簡単に位置を変えることができません。引っ越しの際は持って行けず、撤去も大変です。レイアウト変更や模様替えが趣味、という人にはあまり向いていないかもしれません。固定されていることで耐震性が高い反面、動かしにくいことを不便に感じる人もいるでしょう。

●打ち合わせの時間や納期がかかる

依頼の手順では、まず希望のデザインや素材、サイズを打ち合わせしてから設計します。色や細かいパーツなども全て選んでから見積りを取り、金額が予算に合えば発注になります。打ち合わせや設計に時間がかかるだけでなく、受注生産になるため、納期もかかります。あれこれ迷って打ち合わせに時間がかかったり、予算に合わずに仕様変更したりすると、新築のスケジュールに間に合わなくなる場合もあります。あまり時間や予算がない場合は注意しましょう。

●事前に完成品を確認できない

造作家具の多くは、オリジナルの一点ものなので、事前に完成品を確認できないというデメリットもあります。完成をイメージするしかないため、使いやすい高さか、圧迫感はないかなど、不安に思う人もいるでしょう。事前にイメージパースや、完成品に似た施工事例の写真を見せてもらうと、イメージしやすくなります。

造作家具を依頼する際のポイント3つ

最後に、長く愛用できる造作家具を作るために、依頼する際のポイント3つを解説します。

・サイズは適切か

造作家具は、長く活用できるサイズかどうか、よく検討して依頼しましょう。例えば、オーブンを買い替えたらカップボードに置けなくなった、というのでは困りますよね。家電は、家族が増えたり、壊れたりすると買い替えます。買い替えても対応できるよう、余裕をもった寸法にしておくと良いでしょう。また、ストック用の収納を造作した場合、トイレットペーパーやティッシュペーパーが1パックのままで入らないと不便ですよね。収納品のサイズを確認する際は、パックで収納するものは、パックのサイズを測るようにして下さい。

・将来に渡って活用できるか

造作家具は、家族のライフステージに応じて、将来に渡って長く活用したいですよね。例えば、お子さんのランドセル収納は、10年後も同じ用途で使うことはできません。使い道が変わるものは、次の使い方も考えて、寸法やデザインを決めておくことが大切です。リビング学習用のカウンターデスクも、お子さんが自室で勉強するようになったら、在宅ワークや家事に活用できると無駄がありません。コンセントを付けておいたり、パソコン作業やアイロンがけがしやすい奥行きにしたり、次の用途を考えて設計しておきましょう。また、造作の棚は、棚板の高さが変えられる可動式にしておくのがおすすめです。

・掃除やメンテナンスがラクか

長く愛用するためには、掃除の手間がかからないことや、メンテナンスがしやすいことも大切です。コスト削減したものの、すぐに傷んだり、剥がれたりでは困ります。耐久性があり、掃除やメンテナンスがラクな材料やデザインを選びましょう。キッチンや洗面所では、メラミン化粧板やタイルなど、耐水性のある材料が向いています。また、凹凸が多かったり、扉が付いていなかったりすると、ホコリがたまりやすく、小まめな掃除が必要になります。デザイン性と手入れのしやすさは、バランスを考慮して依頼しましょう。

まとめ

今回は、造作家具について詳しく解説しました。メリットは、ジャストサイズで作れるため、デッドスペースを生まないこと、インテリアにも合わせられるため、空間に統一感が出せることなどがあります。壁や床に造り付けることで、耐震性を高められることも魅力です。一方デメリットは、コストが高くなることや、納期がかかることなどです。また。依頼の際は、サイズが適当か、将来も活用できるか、掃除がラクかなどのポイントを確認し、長く愛用できるおしゃれな造作家具を導入して下さい。