コンパクトハウスとは?小さい家の間取りの工夫や事例5選

コンパクトハウスは、小さくても、おしゃれで機能的な家のことです。土地や建物の費用を抑えられることが魅力で、近年人気が上がっています。しかし、部屋数や収納スペースの確保が難しいといった問題もあります。今回は、コンパクトハウスとは何か、メリット・デメリットをご紹介し、小さい家を建てる際の間取りの工夫や事例を解説します。

コンパクトハウスのメリットや魅力とは?

・コンパクトハウスとは?

小さくてもおしゃれで機能的な家のことです。サイズが小さいだけの家ではありません。コンパクトハウスの土地の広さは、30坪(約100㎡)より小さい場合が多いでしょう。機能性が高く、様々な工夫によって実際より広く感じられます。一人暮らしやご夫婦、3~4人の家族などに適しています。また、狭くても都市部に家を持ちたい人にも人気です。

・コンパクトハウスのメリットや魅力

まず、コンパクトハウスのメリットや魅力をご紹介します。

●土地代や建築費を抑えられる

コンパクトハウスなら、小さな土地でも注文住宅が建てられます。土地の代金や家の建築費が抑えられるため、一戸建ての夢が叶えやすくなるでしょう。また、都市部は土地の価格が高額なため、予算に合わないと思っていた人でも、コンパクトハウスなら、利便性の良い場所が選べることもあります。

●掃除や手入れがしやすい

コンパクトハウスは部屋数が少なく、掃除にかかる労力と時間が軽減できます。また、外構の草むしりや掃き掃除なども、面積が小さいことで手間がかかりません。手入れがしやすいことは、忙しく暮らす現代の家族にとって大きな魅力です。

●光熱費を抑えられる

家が小さかったり、部屋数が少なかったりすると、電化製品の数や容量が小さくて済みます。たとえばエアコンは、リビングが15畳と25畳の場合では、イニシャルコストもランニングコストも大きく変わってきます。コンパクトハウスは、リビング以外の部屋数も2~3室になり、広い家に比べ、光熱費が抑えやすくなります。

●コミュニケーションがとりやすい

コンパクトハウスに家族で暮らすと、自然と顔を合わせることが多くなり、コミュニケーションがとりやすいこともメリットと言えるでしょう。大きな家では、家族の外出や帰宅に気付かないこともあるかもしれません。しかし、コンパクトハウスなら、物理的な距離が近いことで、家族がお互いの気配を感じながら生活できます。

コンパクトハウスのデメリットと対策

次に、コンパクトハウスのデメリットや必要な対策をご紹介します。

●収納スペースが不足しやすい

コンパクトハウスでは、必要な部屋数や面積を確保するために、収納スペースが不足しやすくなります。居室を優先して収納スペースを十分に作らなかった場合、食品や日用品の置き場が足らなくなり、物が溢れた印象の家になってしまうことがあります。

●上下の移動が大変

コンパクトハウスは、敷地面積が大きくないため、2階建て、3階建てと縦の空間を利用して、部屋数を確保します。フロアが増えると、階段の上り下りも増え、移動が大変だと感じるかもしれません。とくに、家事動線が長くなると不便に感じます。たとえば、洗濯家事では、脱いで、洗って、干して、しまう、という一連の流れがスムーズにできるか、設計時にイメージしておくことが大切です。

●将来、窮屈に感じる場合もある

コンパクトハウスは、小さくても暮らしやすい家です。しかし、面積が狭いことは否定できません。現時点では十分な広さに感じても、家族が増えたり、お子さんが成長して体が大きくなったりすると、窮屈に感じてしまう場合があります。コンパクトハウスを建てる際は、10年先、20年先の生活を想像しておくことが大切です。新築時はなるべく間仕切らず、将来仕切りやすいように設計しておくと良いでしょう。

●音漏れや視線への対策が必要

住宅が密集している地域では、ご近所との距離が近くなるため、音漏れや外からの視線には対策が必要です。生活音が隣家に響くと、ご近所トラブルになってしまう場合もあります。開口部である窓は、とくに音が漏れやすいため、気密性の高い防音サッシや防音ガラスがおすすめです。トイレやお風呂、室外機などは騒音になりやすいため、隣家と近い位置にはなるべく配置しないようにしましょう。また、プライバシー確保のために、道路や隣家に接しているお部屋の窓は大きくし過ぎず、フェンスを建てるなどの対策が必要です。

コンパクトハウス、間取りの工夫や事例5選

面積は限られていても、圧迫感を減らし、居心地の良い家にしたいですよね。最後に、小さな家の間取りの工夫や事例をご紹介します。

・通路を最小限にする

コンパクトハウスでは、居室スペースを少しでも広く確保するために、通路をできる限り少なくします。デッドスペースをいかに作らないかが重要です。たとえば、リビング階段を取り入れると、廊下のスペースが必要なくなり、ほかの空間を広くできます。また、リビング階段の下に収納を設ければ、リビングの収納スペースを増やすことも可能になります。

・スキップフロアや小屋裏で縦の空間を活用

敷地面積が限られている場合、スキップフロアや小屋裏などを設け、縦の空間を活用することがおすすめです。スキップフロアとは、床に段差をつくり、中階層に小部屋を設ける間取りです。中二階や小上がりとも呼ばれています。スキップフロアの下は収納スペースとして利用できるため、空間の有効利用になります。また、小屋裏はロフトや屋根裏とも呼ばれ、主に収納スペースになります。一般的に、天井の高さを1m40cm以下にすることで、延床面積に含まずに済みます。しかし、各行政庁によって基準が異なる場合があるため、設計時には、お住まいになる地域の基準をご確認下さい。

・2階リビングの導入

1階には玄関を設ける分、LDKが狭くなってしまう場合があります。2階リビングの間取りを選ぶことで、LDKの広さが確保しやすくなります。また、コンパクトハウスは近隣との距離が近くなりがちで、1階は採光や景観が望めないケースも多くなります。道路が近いと、通行人の視線が気になってしまうこともあるでしょう。2階リビングなら、採光が取りやすく、道路からの視線を気にする必要もありません。さらに、勾配天井や吹き抜けを導入すれば、高い位置から採光でき、明るく開放感のある空間が演出できます。

・屋上やテラスを設ける

土地が小さいと、敷地内にお庭をつくることは難しいかもしれません。しかし、お庭の代わりに屋上やベランダ、テラスなどを設ければ、外からの視線を気にせず、外空間を楽しむことができます。都市部の暮らしでも、自然に触れあったり、眺望を楽しんだりできます。上階のプライベート空間は、バーベキューやおうちキャンプなど、アウトドア気分を味わうこともできるでしょう。また、2階リビングからつづくベランダは、お部屋を広く見せる役割も果たします。室内と外空間を上手に繋げて、視線が抜けて開放感のある家にしましょう。

・内装やインテリアカラーは白系がおすすめ

コンパクトハウスの内装やインテリアには、白や明るいベージュがおすすめです。白系は膨張色と呼ばれ、実際より大きく、広く感じさせてくれる色です。床、壁、天井の内装材だけでなく、カーテンやソファ、ラグといったインテリアにも、淡く明るい色を使うことで圧迫感が出にくくなります。しかし、個性を出したり、遊び心を加えたりするために、ほかの色を使いたいという人もいるでしょう。クッションや絵画くらいのサイズであれば、どんな色を使っても狭さは感じません。一方、カーテンやラグ、アクセントクロスなど、面積が大きい場合には、ブルー系がおすすめです。ブルー系は『後退色』と呼ばれ、実際よりも引っ込んで見える性質をもちます。反対に、レッド系は『進出色』と呼ばれ、飛び出してみえるため、圧迫感を与えやすくなります。コンパクトハウスでは、色の特性を上手に利用すると、開放感のある空間づくりができます。

まとめ

今回は、コンパクトハウスとは何か、メリット・デメリットをご紹介し、小さい家を建てる際の間取りの工夫や事例を解説しました。コンパクトハウスとは、30坪以下の土地に建てる、小さくてもおしゃれで機能的な家のことです。土地代や建築費などの初期費用が抑えられたり、掃除などの手間が減らせたりというメリットがあります。また、間取りの工夫としては、スキップフロアや小屋裏、屋上やテラスなど、縦の空間や外空間を上手に利用するのがおすすめです。自分にとって大切なものを過不足なく取り入れ、コンパクトハウスで一戸建ての夢を叶えてみませんか。