スキップフロアや中二階のメリット・デメリットと間取り事例4選

スキップフロアや中二階のある家は、おしゃれで憧れる人も多いと思います。秘密基地や隠れ家のような雰囲気が人気で、キッズスペースやワークスペースなど様々な用途があります。しかし、うまく活用しないと、物置スペースになってしまい後悔します。そこで今回は、メリット・デメリットをご紹介し、間取り事例4選と、後悔しないためのポイントを解説します。

スキップフロアや中二階のメリット・デメリット

まずは、スキップフロアとは何かをご説明し、メリット・デメリットを解説します。

・スキップフロアとは?

フロア(床面)の高さをずらして、中階層をつくる立体的な間取りです。中二階やステップフロア、小上がりとも呼ばれています。段差を活かして小部屋を作ったり、収納を増やしたりと、空間が有効活用できます。

・スキップフロアや中二階のメリット

家づくりでスキップフロアを取り入れるメリットや魅力をご紹介します。

●空間を有効活用できる

都市部などで土地が広くとれない場合でも、縦の空間を有効活用し、部屋数を増やせることがメリットです。傾斜のある土地でも、スキップフロアを設けることで土地の形状や特徴が活かせ、実際より広々とした印象になります。また、段差をつくることで、床下に広い収納スペースが作れます。

●個性的でおしゃれ

スキップフロアは、一般的な建売住宅には採用されていません。標準的な間取りより、施工費用や施工時間がかかるためです。注文住宅だからこそできる間取りで、個性的でおしゃれな雰囲気を演出します。

●秘密基地や隠れ家のようなワクワク感がある

子供の頃、押し入れの中や天井が低い場所など、自分だけの隠れ家のような場所が好きだったという人は多いでしょう。スキップフロアには秘密基地や隠れ家のような雰囲気があり、お子さんはもちろん、大人でもワクワクします。

●お互いの気配を感じられる

壁で仕切られていないため、家族がそれぞれ別のフロアにいても、お互いの気配を感じられます。スキップフロアや中二階は、1階からは丸見えではないものの、完全な個室ではありません。お子さんが使うときでも安心感があり、1階で家事をしながらでもコミュニケーションがとれることがメリットです。

・スキップフロアや中二階のデメリットとは

次に、デメリットについてもご紹介します。

●冷暖房が効きにくい

スキップフロアを設ける場合、天井を高くしたり、吹き抜けにしたりすることが多いでしょう。各スペースが壁で仕切られておらず、大きな部屋のようになります。空間が広いと空調が行き届かず、冷暖房が効きにくいことがあります。広い部屋全体を暖めたり、冷やしたりするには、時間もお金もかかってしまいます。

●お掃除ロボットが使えない

スキップフロアや中二階をつくると階段が増え、お掃除ロボットが全体には使えないため掃除が大変です。大きい掃除機を持って階段を上るのは重労働なので、軽量でコードレスの掃除機を買ったり、ハンディモップなどを各フロアに置いたりといった工夫が必要です。

●音やニオイが広がりやすい

壁でしっかりと仕切られていないため、音やニオイが広がりやすいこともデメリットでしょう。1階の声やテレビの音が階段を伝い、スキップフロアや2階まで響いたり、キッチンのニオイが充満したりがあるようです。テレビと位置を離したり、換気をして空気を循環させたりなどの対策が必要です。

●フロアが狭く、活用が難しい

部屋が小間切れになってしまい、活用が難しいと感じる人もいます。スキップフロアの広さは三畳や四畳半などが多く、お子さんが小さいうちは活用できても、成長して自室を使うようになると、物置になってしまうケースもあるようです。将来に渡って活用していくためには、家族のライフステージの変化を見越して、広さや設備を決める必要があります。

スキップフロアの間取り事例4選

続いて、どこに作れば良いのか、おすすめの間取り事例4選をご紹介します。

・リビング付近

リビング付近に配置した間取りでは、お子さんの遊び場や勉強スペース、親のワークスペースなどの使い方が人気です。リビングから2階に上がる途中に設けるケースが多く、見守りやすく、コミュニケーションも取りやすくて安心です。また、スキップフロアの下は収納として使えるため、リビングの収納量が増え、散らかりにくくなります。

・ダイニング・キッチン

ダイニングやキッチン部分をスキップフロアにした間取りは、狭小地や、傾斜のある土地を活かす際に効果的です。リビングと高低差をつくることで、空間をゆるやかに仕切って、部屋数を多く見せられます。また、リビングの床面がキッチンやダイニングより下がっている分、天井が高くなって広々とした開放感がでます。

・和室

スキップフロアの和室は、モダンな雰囲気が人気です。ゴロンと横になれる畳スペースは、癒しの空間になります。壁沿いにカウンターを設置し、床を堀こたつ式にしておけば、ワークスペースとしても利用できます。また、生活空間と緩やかに切り離されているため、落ち着いて話せる来客スペースとしても使えます。来客用の寝室として使っても良いでしょう。また、小さいお子さんの遊び場にもおすすめ。引き戸などで仕切れるようにしておけば、オモチャが散らかっていても気になりません。

・平屋

平屋はワンフロアで生活が完結し、生活動線がフラットで使いやすいことが魅力です。しかし、収納が少なかったり、家族同士のプライバシーの確保が難しかったりというデメリットも併せ持ちます。スキップフロアを設けることで、十分な収納量や隠れ家のように落ち着ける場所が確保でき、空間にメリハリが生まれます。

スキップフロアで後悔しないためのポイント

せっかく作っても活用できないと勿体ないですよね。最後に、後悔しないためのポイントを解説します。

・しっかりイメージを掴んでおく

SNSや雑誌などで見たことがあっても、実際にスキップフロアがある住宅には行ったことがないという人は多いと思います。家を建ててから後悔しないためには、事前にしっかりイメージを掴んでおくことが大切です。図面や資料などではイメージが分かりづらいため、見学させてもらうのが一番の近道です。住宅展示場を利用したり、ハウスメーカーが開催している、実際に注文住宅を建てたお宅の見学会に行ったりすると良いでしょう。

・断熱性、気密性を高める

スキップフロアを設けると、空間が広がり、空調が効きにくくなります。空調の負荷を軽減し、快適に暮らすためには、高断熱・高気密住宅にする必要があります。室内の温度を一定に保つには、全館空調を取り入れる方法もありますが、初期費用が高くなります。住宅の断熱性、気密性が高められれば、ルームエアコンでも快適に暮らすことが可能です。

・床面積を最大化し、希望のデザインも叶える

スキップフロアは、住宅の高さや広さが制限される場合に床面積を増やすためや、希望のデザインを叶えるためにも活用できます。高さや容積など広さの制限は、建築基準法によってルールが定められています。建築基準法には緩和規定があり、天井の高さが1.4m以下、直下の階の床面積の1/2未満などの条件を満たせば、延床面積に算入されません。スキップフロアを活用して天井の低い部分を計画すれば、床面積の最大化が図れます。また、希望のデザインを叶えるためにも利用しましょう。例えば防火地域においては、3階建てにすると、木の梁を見せるデザインは制限されてしまいます。しかし、2階建てにスキップフロアを設ければ、梁を見せるデザインも可能になります。必要な部屋数を確保しながら、デザインにもこだわりたいというケースにおすすめです。

まとめ

今回は、スキップフロアのメリット・デメリットをご紹介し、間取り事例4選と、後悔しないためのポイントを解説しました。注文住宅ならではの間取りで、個性的でおしゃれな雰囲気になります。メリットが多く、狭小地や傾斜のある土地の活用、必要な部屋数の確保、床面積の最大化などの目的にも使われています。しかし、空調が効きにくいなどのデメリットもあります。建ててから活用できずに後悔しないよう、事前にイメージをしっかりと掴み、高断熱・高気密な家づくりと合わせて検討しましょう。