家事が楽になる!家事動線の良い間取り事例3選とポイント
家事はなるべく楽に、短時間で済ませたいと思う人は多いでしょう。家づくりでは、間取りに工夫することで家事動線が短くなり、効率アップできます。余った時間は家族とゆったり過ごしたり、趣味の時間にしたり、自分をハッピーにする時間がつくれます。今回は、家事動線とは何かをご説明し、家事動線の良い間取り事例3選と家事を楽にしてくれるポイントについても解説します。
家事動線とは?家づくりで考慮すべき動線の種類
家づくりで考慮すべき動線には、いくつかの種類があります。まずはそれぞれの特徴をご紹介します。
・生活動線とは
生活のなかで、家族が家の中を移動する経路のことです。人は、起きてから寝るまで、食事をしたり、洗面やトイレ、外出や入浴をしたり、家の中を動き回ります。快適な暮らしには、スムーズな生活動線が欠かせません。例えば、身支度の際に何度も部屋を行き来しなければならなかったり、来客があると、お風呂やトイレから出づらかったりなどはストレスになります。生活動線はさらに分類され、『家事動線』、『外出・帰宅動線』、『来客動線』などの種類があります。
・家事動線とは
洗濯、料理、掃除、ゴミ出しなど、家事をするときに移動する経路のことです。生活動線の1つで、とくに、共働き家庭や子育て家庭の家づくりでは、もっとも重要視されています。家事動線が短くてスムーズな間取りなら、朝の出勤前や帰宅後などの短時間でも、効率よく動けます。無駄を省ければ、家族との団らんの時間や、自分のための時間を生み出すこともできるでしょう。
・外出・帰宅動線とは
家族が出かけるときと、帰って来たときに通る室内のルートです。とくに、朝の通勤や通学の時間帯は、家族みんながスムーズに動けることが重要です。出かける際、上着や雨具、帽子やハンカチなどを、何度も部屋まで取りに行くのは大変です。玄関付近にまとめて収納できれば、時短になります。また、帰宅した際も、上着をかける場所や洗面所が家の奥にある間取りの場合、汚れた手や衣服のまま、室内を動き回ることになります。玄関付近に上着をかけられる場所をつくり、洗面所や浴室に直行できる間取りなら、汚れや花粉をリビングや寝室に持ち込まずに済みます。また、コロナ禍以降、洗面所とは別に、玄関付近に手洗い器を設ける間取りも人気があります。
・来客動線とは
お客さんや友人が訪問したときに、家の中を歩くルートのことです。『うちはお客さんがあまり来ない』という場合でも、お子さんがお友達を連れて来たり、義両親や親戚が来たりすることがあるかもしれません。全く考慮していないと、家を建てた後で悔やむ場合があるので、注意しましょう。一般的には、来客は玄関で出迎え、リビングや客間に通すことが多いと思います。洗面所やトイレを使うこともあります。しかし、生活感のあるキッチンの内側や、部屋干しなどは見せたくないですよね。来客動線は、プライベートスペースを通らずに、トイレや洗面所に行けるようにつくりましょう。洗面所の奥に物干しスペースを設ける場合は、引き戸やカーテンを付け、来客時には閉められるようにするのがおすすめです。
家事動線の良い間取り事例3選
次は、家事動線の良い間取り事例3選をご紹介します。
・キッチンと洗面脱衣所が隣接する間取り
1つめは、キッチンと洗面脱衣所が隣接する間取りです。洗面脱衣所には洗濯機を置く場合が多く、家事で言えば、料理の場所と洗濯、お風呂の場所が近いことになります。通常、料理中はその場を離れることはできません。しかし、洗面所が隣接していれば、電子レンジの使用中に洗濯機をまわしに行ったり、お皿洗いの途中でお風呂上がりのお子さんを手伝ったりなどもできます。帰宅後に料理も洗濯もしたいという人には、とくにおすすめの間取りです。また、キッチンと洗面所は、ハンドソープやタオルなど、補充や交換が必要なものがどちらにもあります。場所が近いことで、ストックも1カ所で済み、補充や交換の作業も同時にできます。
・洗濯機と物干しスペースが隣接する間取り
2つめは、洗濯機と物干しスペースを隣接させた間取りです。従来の一戸建てでは、洗濯機は1階にあり、干す場所は2階という間取りが多かったと思います。水を含んだ洗濯物は重く、2階まで運ぶのは重労働です。昨今、家事動線を重要視する人が多くなり、洗濯機と干す場所を近くに配置する間取りが人気です。外干し派なら、バルコニーやベランダの近くに配置すると便利です。室内干し派なら、洗面脱衣所を広くとって物干しスペースを設けたり、ランドリールームやサンルーム、インナーテラスを隣接させたりすると、家事動線が短くなります。加えて、物干しスペースの近くにクローゼットを設ければ、畳んだ洗濯物が一気に片付き、さらに家事が楽になります。
・回遊動線の間取り
3つめは、フロア内が繋がっている回遊動線の間取りです。回遊動線には、行き止まりがありません。玄関、リビング、キッチン、パントリー、洗面所などが繋がっていて、効率的に動ける間取りです。ぐるりと回れるだけでなく、2方向から出入りできることが大きな魅力です。たとえば、お子さんが部活や遊びで衣服を汚して帰宅したとき、リビングを通って浴室に行くのは困りますよね。また、外出時に付いた花粉や黄砂、PM2.5なども、リビングには持ち込みたくない、という家庭もあるでしょう。玄関からリビングへのルートだけでなく、玄関から洗面所や浴室に直接行ければ、リビングを清潔で、くつろげる空間に保てます。注意点は、通路を確保するために、居室や収納など、ほかの場所が狭くなってしまう場合があることです。何を優先するか、よく検討して採用して下さい。
家事を楽にする間取りのアイデア
最後に、家事を楽にするための間取りのアイデア3つをご紹介します。
・パントリーを玄関とキッチンの間に配置する
パントリーは、常温保存できる食料品や、飲料を保管するための場所です。収納タイプと個室タイプがあります。パントリーが玄関とキッチンの間にあれば、重い飲料などを奥まで運ぶ手間がありません。ネットなどでまとめ買いをする人にも向いています。玄関からリビングへ向かう来客動線のほかに、玄関からパントリーに直結する動線を設ける間取りも人気です。さらに、パントリーからキッチンにつながるようにすれば、家事動線が短くなって効率的です。
・ファミリークローゼットがあると洗濯家事が楽になる
ファミリークローゼットとは、家族みんなの洋服やバッグ、帽子などを1カ所にまとめて収納できる場所です。ウォークインタイプとウォークスルータイプがあります。洗濯後、干したものを各自の部屋にあるクローゼットやタンスに戻す作業は、結構な手間です。後回しになり、リビングに山積みになってしまうこともあるでしょう。ファミリークローゼットがあれば、取り込んだ洗濯物を1カ所に運べば良いので楽です。また、リビングを綺麗に保ちやすくなります。
・ランドリールームは天候もひと目も気にならない
ランドリールームは、洗濯にまつわる家事が1カ所で行える専用の部屋です。洗濯家事をスムーズにしてくれるため、新築で取り入れる人が増えています。具体的な設備としては、洗濯機、乾燥機、物干し、収納、作業台(アイロン台)などを設置します。洗って、干して、たたんで、しまう、という一連の作業がすべて行えます。雨の日や花粉の時期、梅雨の時期にも、天候を気にせず洗濯物を干せるとストレスになりません。洗濯の時間が夜になる場合でも、近隣からのひと目を気にせずに済みます。注意点は、湿気がこもらないようにすることです。窓や換気扇を設け、空気を循環させるようにしましょう。また、引き戸を設けておくと、来客時には目隠しになります。
まとめ
今回は、家づくりで考慮すべき動線について説明し、家事動線の良い間取り事例やアイデアについても解説しました。家事は、料理や洗濯、掃除だけではありません。洗剤やハンドソープなどの補充やタオル交換など、名もなき家事も、誰かがやらなければ家族が困ります。家づくりで家事動線が短い間取りにできれば、複数の家事が同時進行可能になります。家事が楽な家を建て、自分のための時間も大切にできると良いですね。