天井の種類と特徴とは?リビングの天井高と仕上げ材3選も解説

天井のデザインや高さが違うと、同じ面積の部屋でも、印象が大きく変わります。とくにリビングは、開放感や安心感など、理想とするイメージをもつ人も多いと思います。天井にもこだわって、そのイメージをカタチにしましょう。今回は、天井の種類や特徴をご紹介し、リビングのちょうど良い高さや、仕上げ材についても解説します。

リビングの天井、種類と特徴とは

まず、リビングで採用される主な天井の種類5つと、それぞれの特徴をご紹介します。

・平天井とは

もっともポピュラーな、平らな天井です。段差がなく水平で、シンプルな構造のため費用が抑えられます。白などの明るい色を使用すると、開放感がでます。暗い色や大きな柄を選ぶと、圧迫感や閉塞感が出てしまう場合があります。メリハリをつけたいときは、回し縁と呼ばれるフチを、壁との境目に付けるのがおすすめです。

〈特徴〉

●平らで段差がない
●シンプル
●費用が抑えられる
●回し縁を付けるとメリハリができる

・勾配天井とは

屋根の形に合わせて、斜めになっている天井です。2階にリビングがある間取りや、平屋などでよく導入されています。形状は、片流れタイプと、三角屋根タイプがあります。空間を最大限広く使うことができ、開放感が生まれます。勾配があることで、空間に動きが出て、おしゃれな雰囲気になります。しかし、屋根が近いことで外気の影響を受けやすいため、屋根には断熱性が必要です。また高い位置の照明器具や窓は、メンテナンスや修理に、手間や費用がかかります。あらかじめメンテナンス方法も考慮して、設置場所や製品を選びましょう。

〈特徴〉

●斜めで開放感がある
●おしゃれ
●外気の影響を受けやすく、屋根に断熱性が必要
●メンテナンスや修理に手間と費用がかかる

・折り上げ天井とは

リビングの中央付近に段差をつけて、部分的に高くしている天井のことです。折り上げることで、デザイン性が高くなり、空間に奥行きがでます。また、折り上げ部分に間接照明を取付けると、陰影が出て、高級感がアップします。優雅で、ホテルライクな雰囲気が楽しめるでしょう。しかし、折り上げ部分に溝がある場合は、ほこりが溜まりやすいので、小まめな掃除が必要です。また、費用も高くなる傾向です。

〈特徴〉

●段差があり、部分的に高くしている
●空間に奥行きがでる
●ホテルライクな雰囲気が楽しめる
●費用は高め

・下がり天井とは

部分的に低くしている天井のことです。安心感のある、落ち着いた雰囲気を演出できます。折り下げ天井と呼ぶこともあります。低くした部分だけ色や素材を変えると、アクセントになり、おしゃれでスタイリッシュです。ダウンライトや間接照明などを設置するのもおすすめ。リビングとダイニング、キッチンなどをゆるやかに間仕切ることもできます。しかし、高さや色、照明器具の種類によっては、圧迫感や閉塞感が出てしまうため、完成予想パースなどを事前によく確認しましょう。費用も高くなる傾向です。

〈特徴〉

●部分的に低くしている
●安心感のある、落ち着いた雰囲気になる
●空間をゆるやかに間仕切れる
●費用は高め

・吹き抜けとは

下階の天井をつくらず、上層階とつなげた部分を吹き抜けと言います。リビングでは、平天井と組み合わせ、一部を吹き抜けにしたデザインが人気です。おしゃれで開放感があり、同じ面積でも広く感じさせる効果が期待できます。高い位置の窓からは、採光や通風がとりやすく、明るく居心地のよいリビングになります。一方で、対策をしないと冷暖房効率が下がり、夏は暑く、冬寒い家になってしまいます。住宅の断熱性や気密性を高め、換気や空気の循環方法についても、充分検討しておくことが大切です。

〈特徴〉

●上下階をつなげた部分
●おしゃれで開放感がある
●採光や通風がとりやすい
●高い断熱性や気密性が必要

リビングの天井、ちょうどよい高さとは?

リビングの天井の高さに迷う人は多いと思います。次は、ちょうど良い高さはどれくらいかを解説します。また、高い天井のメリット・デメリットについてもご紹介します。

・ちょうどよい天井の高さとは?

一般的なリビングの天井の高さは、2m40cm~2m50cmです。標準的な体型の日本人にとって、ちょうど良い高さと言えるでしょう。建築基準法では、居室の天井高は2m10cm以上と基準が定められています。ひと昔前の、和室で畳に座っての生活が中心だった時代には、2m20cm程度が標準でした。現在は、以前より高くなっています。理由は、椅子やソファに座っての生活が多くなったことや、日本人の平均身長が高くなっていること、狭くても住宅に快適性を求めることなどが挙げられます。また、輸入住宅や、勾配天井などでは、2m70cm~3m程度の場合もあります。

・天井を高くするメリット・デメリット

リビングの高い天井は、開放感があって憧れますよね。しかし、メリットがあればデメリットもあります。デメリットは、あらかじめ対策しておくことが大切です。それぞれ見ていきましょう。

〈メリット〉

●開放感があっておしゃれ
●狭いリビングでも広々とした印象になる
●高い位置の窓から採光や通風ができる

〈デメリットと対策〉

●冷暖房効率が悪くなりやすい

リビングの天井を高くすることで、お部屋の容積が増え、冷暖房効率は下がります。冷暖房効率が悪くなると、快適性が下がるだけでなく、光熱費は上がってしまいます。とくに、勾配天井や吹き抜けの場合は、対策が必要です。断熱材やサッシに工夫し、断熱性や気密性を高めれば、エアコンだけでも快適な温度を保つことができます。また、リビングの寒さ対策には、床暖房がおすすめです。暖かい空気は上昇するので、下から暖めることが大切です。

●メンテナンスが大変

リビングの高い位置にある窓や照明器具は、快適性は上がりますが、メンテナンスが大変です。窓の開閉や掃除には手間がかかります。開閉は電動にしておくと良いでしょう。また、照明の電球交換や修理の際は、高い脚立を使ったり、業者に依頼したりする必要があります。電球は、長期間使えるLEDがおすすめです。LED電球の寿命は約4万時間と言われています。計算上は、1日6時間の点灯で約18年、10時間の点灯では約10年もつことになります。

●建築の費用が高くなる

リビングの天井が高いと、壁の面積が増え、部材をより頑丈なものに変えるため、建築の費用も高くなります。初期費用が上がるだけでなく、メンテナンスにも手間やコストがかかることは理解しておきましょう。その上で、高くすることで得られる開放感や快適性に、より価値があると思えるかが重要です。

リビングの天井、仕上げ材の種類とおすすめデザイン3選

最後に、主な仕上げ材の種類と、おすすめデザイン3選をご紹介します。

・クロス系

クロス系は、もっともポピュラーな仕上げ材です。クロスには、ビニールクロス、紙クロス、織物クロスなどの種類があります。柄や色のバリエーションが豊富で、防カビ、汚れ防止、抗菌など、様々な機能性をもつ製品があります。

〈おすすめデザイン〉

●折り上げ天井+アクセントクロス

内装の色選びでは、床→壁→天井の順に明るい色を選ぶと、広々と見えると言われています。リビングの天井が低いのに、濃い色を一面に貼ると、圧迫感が出る場合があります。しかし、折り上げた面なら、少し濃い色のアクセントクロスを貼っても問題ありません。奥行き感がより強調され、ホテルライクなインテリアが楽しめるでしょう。

・木質系

無垢材や天然木の化粧合板、木目シートタイプなどがあります。天井に木目を取り入れることで、温かみあるリラックス空間が演出できます。また、無垢材なら、素材感を楽しめるだけでなく、調湿効果も期待できます。

〈おすすめデザイン〉

●勾配天井+板張り

リビングの勾配天井の部分を木質系で仕上げると、木のぬくもりが感じられる、おしゃれでナチュラルな雰囲気になります。部分使いなら木目調のクロスでも大差ありません。しかし、長い時間を過ごすリビングでは、無垢材や合板などの板張りがおすすめです。インテリアのポイントになり、高級感が出ます。費用は高くなるため、優先順位を考えて導入して下さい。一方、天井高が低い部屋では、板張りにすると、余計に狭く感じたり、圧迫感が出たりするので注意しましょう。

・塗装や左官

刷毛やコテなどを用いて仕上げる方法です。塗料や漆喰、珪藻土、モルタルなどの種類があります。継ぎ目のない仕上げができることや、さまざまな表情が出せることが魅力です。

〈おすすめデザイン〉

●平天井+左官仕上げ

リビングをシンプルな平天井にする場合、表面のテクスチャーで印象が変わります。壁と天井を同じ左官仕上げにすれば、さりげないおしゃれを楽しむことができます。シームレスに仕上げられるのが、塗装や左官の魅力です。間接照明やシーリングライトで陰影を出すと、より凹凸感を演出できます。北欧風やナチュラル、カントリー風のインテリアとの相性も抜群です。費用を抑える場合は、左官風のマットなクロスを使うと良いでしょう。

まとめ

今回は、天井の種類や特徴をご紹介し、リビングの天井の高さや仕上げ材についても解説しました。種類は、一般的な平天井のほか、勾配天井や折り上げ天井などがあります。仕上げの素材や色を変えることでも、雰囲気や印象が大きく変わります。また、天井を高くすることで、開放感やリラックス感が生まれます。しかし、建設費用が高くなったり、メンテナンスがしづらかったりというデメリットもあります。メリットとデメリットを十分理解した上で選ぶようにして下さい。