ペットと暮らす家づくり 犬や猫、人も快適な間取りの工夫

ペットと暮らす家にはどんな工夫が必要なのでしょうか。家を建てるなら、家族の一員であるペットも、心地よく過ごせる場所にしたいと願う飼い主さんは多いと思います。また、一戸建ての家を建てる機会に、ペットを迎えたいというご家庭もあるでしょう。今回は、ペットと暮らす家づくりについて解説します。犬と猫、それぞれ違った間取りの工夫もご紹介します。

ペットと暮らす家づくりのポイント

まずは、ペットと暮らす家づくりで、知っておくべきポイントについて解説します。

・床はグリップ感のある素材を選ぶ

多くの住宅で一般的なフローリングは、ペットにとっては滑りやすく、怪我の原因になる場合もあります。ペットと快適に暮らすためには、滑りにくい床材を選んでください。しかし、滑り止め効果が強すぎると、人がつまずいて危険です。ちょうど良いグリップ感のある床材を選ぶことが大切です。たとえば、フローリングにシリコン加工をしたり、コルクの床材を使ったり、汚れても交換ができるタイルカーペットなどがおすすめです。

・ペットスペースは明るい場所がおすすめ

ペットがごはんを食べたり、くつろいだりするためのペットスペースは、日当たりのよい、明るい場所が向いています。犬や猫は、日向ぼっこをすると、血液の循環や内蔵の動きが良くなり、病気を予防して心身の健康につながります。また、日光浴はペットの体内時計を整える役割を果たします。夏場の直射日光は避けつつ、日が入って明るく、風通しも良い場所を選ぶようにしてください。

・トイレスペースは静かで落ち着けることが大切

ペットのトイレスペースは、静かで適温、清潔であることが大切です。落ち着かないと、ストレスを感じて粗相をする場合があります。しかし、目の届かない場所では、ペットがおしっこやうんちをしても気付かず、長時間放置して臭いの原因になってしまいます。また、ペットの健康状態の把握もしづらくなります。ペットのトイレスペースは、動線のじゃまにならずに、気配は感じられるような場所が良いでしょう。たとえば、リビングの隅や、トイレの近く、洗面所などが向いています。臭い対策としては、風通しのよい場所を選んだり、換気扇を設けたり、空気清浄機を置くなどしましょう。壁紙には、消臭機能がついているものをおすすめします。

・安全に配慮する

ペットを飼う上で、安全への配慮は欠かせません。ペットにとっての危険は、次のようなことが考えられます。それぞれ対策しましょう。

●落下

窓やベランダ、階段からのペットの落下は非常に危険です。転落・侵入防止柵や、ネットをつけるなどの対策をしましょう。また、階段の傾斜は、なるべく緩くしておくと、人もペットも、高齢になってからも安心です。小型犬などの場合、ソファや椅子など、少し高い場所からの転落やジャンプでも、骨折してしまう場合があります。犬が登りそうな家具の近くには、ステップになるようなものや、クッションを置くなどの対策が必要です。

●怪我やヤケド

刃物やとがったものでの怪我や、火や暖房器具なのでのヤケドからも、ペットを守ってあげなければなりません。実際、飼い主が留守中に、ペットがガスコンロのボタンに触れて点火させてしまったという事故もあったそうです。キッチンはなるべく独立型にし、ゲートなどをつけて、ペットが入れないようにしましょう。寒い時期にヒーターやストーブを使う場合は、柵やガードをつけて、ペットが近づき過ぎないように配慮してください。また、犬や猫がコンセントやケーブルを噛んで、感電してしまう心配もあります。コンセントを高い位置に付けたり、コード類は壁に固定したりしましょう。

●誤飲・誤食

とくにペットの留守番中に多い事故が、誤飲や誤食です。小さなおもちゃやつま楊枝などを誤って飲み込んでしまうと、ペットの体内を傷つけてしまう恐れがあります。また、観葉植物のなかには、犬や猫が食べると、中毒症状を引き起こす原因となるものもあります。下痢や嘔吐、発熱、呼吸困難などの症状があり、注意が必要です。小さなおもちゃなどは、届かない場所に置いたり、鍵のかかる収納にしまったりすることを徹底しましょう。ゴミ箱もふた付きがおすすめ。また、観葉植物や庭の草花を育てる場合は、ペットにとって安全な種類を選びましょう。

●道路への飛び出し

家族が外出や帰宅で玄関ドアを開けた時、ペットが道路に飛び出さないように防ぐ必要があります。ペットスペースと玄関の間には、柵やドアを付けてください。また、敷地はフェンスなどで囲い、門扉もあると安心です。庭と駐車場の間に仕切りがない場合は、駐車場にも門扉やゲートを設けておきましょう。庭をドッグランのように使う場合にも安心です。また、窓や網戸にも対策が必要です。犬や猫が前足を使って開けてしまうこともあるので、フェンスやストッパーなどを利用してください。

・抜け毛対策には素材選びが大切

ペットの室内飼いで起きる悩みの1つが抜け毛問題です。カーペットやカーテン、ソファなど、繊維質にはペットの毛がつきやすく、お掃除も大変です。床は滑り止め加工をしたタイルやフローリングなどにし、ソファも布地より合成皮革がおすすめです。カーテンは表面がつるつるした、厚地のものを選ぶと良いでしょう。また、デザインについては、濃い色や無地よりも、明るめの色で、模様や柄入りだとペットの毛が目立ちにくくなります。床は、掃除のしやすさや、お掃除ロボットを活用するためにも、フラットにしましょう。

犬と暮らす家、間取りや性能の工夫

次に、犬と暮らす家の間取りの工夫を解説します。犬の特徴を理解した上で、間取りを決めることが大切です。人も犬も、みんなが快適に過ごすための工夫をご紹介します。

・犬の特徴とは

一般的な犬の特徴には、主に次のようなことが挙げられます。

●お散歩や外が好き

犬には社会性があり、お散歩や外が好きな場合が多いでしょう。外の世界で得られる五感への刺激や、ほかの犬や、人とのふれあいを楽しみにしています。お散歩という言葉を聞いたり、飼い主さんがリードを持ってきたりするだけで、尻尾をブンブンふって喜びます。犬にとってお散歩は、運動不足やストレス解消の役割も果たします。また、犬は好きな時に外に出られるわけではありません。犬がいつでも外を感じられるように、床に近い位置に小窓を付けてあげても喜ぶでしょう。

●飼い主さんが好き

犬は飼い主さんが大好きで、かまってもらったり、遊んでもらったりすると喜びます。犬の祖先は群れで生活していたため、今もリーダーに従順で、寂しがりやの一面があります。また犬は人間との共存の歴史が長く、人懐っこい性格の犬も多いでしょう。

●暑さには弱い

犬は人間よりも暑さに弱い動物です。全身が毛で覆われ、体のごく一部でしか汗をかけません。体温調節が難しく、犬は熱中症になりやすいため、注意が必要です。熱中症は室内でも起こります。暑い時期にはエアコンを利用し、シェードやカーテン、ブラインドなどで日陰をつくり、直射日光から逃れられる場所をつくってあげましょう。

・間取りや性能の工夫3つ

●お散歩動線はスムーズに

お散歩は、準備や片付けがスムーズにできると、飼い主さんにとっても快適です。お散歩グッズは、玄関横のシューズクロークや土間収納などにまとめて置けると便利です。また、室内飼いの犬は、お散歩から帰ってくると足を洗います。お風呂で洗う場合、1階の奥や2階にあると、犬を抱えて移動するのは重労働です。しかし、玄関近くに足洗い場があれば、動線が短くスムーズです。お湯と水のシャワーが使い分けられる水栓を選べば、寒い時期や寒冷地でも外で洗うことができます。

●運動と遊びのコーナーをつくる

お天気が悪い日が続くときや、お散歩の時間が十分に取れないときなど、家の敷地内にも運動できるコーナーがあると安心です。犬は飼い主さんと遊べることを喜び、運動不足解消にも役立ちます。たとえば、インナーテラスを設けたり、庭にドッグランをつくったりしても良いでしょう。ルーフバルコニーに人工芝を敷いてドッグランにすることも可能です。バルコニーでは、落下防止柵も忘れずに設置しましょう。また、間取りを回遊動線にして、犬が室内を動き回れるようにする方法もあります。

●部屋の空気を循環させる 暑さが苦手な犬のために、夏も室内を涼しく保つ必要があります。しかし、エアコンでガンガン冷やすと、冷たい空気は下に溜まり、床付近で過ごす犬が体調を崩してしまう恐れがあります。部屋全体をまんべんなく冷やし、湿気をためないようにするには、部屋の空気を循環させましょう。気密性・断熱性を高めた上で、24時間換気システムや、温度調節もできる全館空調などの導入を検討してみてください。

猫と暮らす家、間取りや性能の工夫

最後は、猫と暮らす家の間取りや性能の工夫を解説します。猫の特徴を理解し、一緒に楽しく暮らすための家づくりに活かしてください。

・猫の特徴とは

一般的な猫の特徴には、主に次のようなものが挙げられます。

●マイペースで高いところが好き

猫の多くは自由でマイペースです。高いところも大好き。猫はもともと単独で行動する動物だったため、甘えたい時には思いきり甘え、ひとりになりたいときにはフラッと姿を消して、高いところなどにいます。猫が高いところを好きな理由は、縄張り意識があり、広く見渡せるからといった理由や、高いところが安全だからといった理由があるようです。

●寒さに弱い

猫は寒さに弱い動物です。寒い時期には、体調を崩しやすく、暖房器具などを利用して適温を保ってあげることが必要です。しかし、猫がお留守番をしている時にヒーターや電気カーペットをつけっぱなしにすると、火事やヤケドの危険があるのでやめましょう。暖かい空気は上にいくので、ハンモックを吊るしたり、窓の近くに日向ぼっこできるスペースをつくったりすると猫は喜びます。それでも寒い場合には、エアコンを使ってお部屋を暖かく保つようにして下さい。

●爪とぎの習性がある

猫は、生後半年くらいから、本能で爪とぎをし始めます。爪とぎはやめさせられないので、専用の場所を設けて、他の場所ではしないようにしつけると良いでしょう。猫の気に入った専用スペースがあれば、家具や壁で、ガリガリと爪とぎすることを防ぐ効果が期待できます。

・間取りや性能の工夫3つ

●くぐり戸で猫が自由に移動できるようにする

自由でマイペースな猫には、部屋と廊下などを行き来できる、くぐり戸を設置してあげるのがおすすめ。くぐり戸があれば、トイレスペースが洗面所やトイレなどにある場合でも、ドアを開け閉めしてあげる必要がありません。エアコンや暖房器具を使っているときも、空調効率を下げずに、適温を保つことができます。

●高さのある遊び場をつくる

リビングなどにキャットタワーを設けると遊び場になります。スペースが取れない場合には、壁の上部に棚をいくつか付けるだけでもキャットウォークになります。猫が下りやすいように、段差をつけるとよいでしょう。吹き抜けや梁など、縦の空間を活用するのもおすすめです。また、猫が高いところから飛び降りるとき、衝撃が大きいと怪我をしたり、大きな音がしてうるさかったりします。床材は、防音タイルカーペットやコルク、爪とぎにも強い畳など、衝撃を吸収できるものだと安心です。

●断熱性を高める 寒さに弱い猫たちが、冬も健康にすごすために、室内の温度を一定に保つのが理想です。家の断熱性を高めれば、エアコンだけで、冬も暖かく、安全に過ごすことができます。熱が一番逃げやすいのは窓です。窓のサッシには、樹脂製や木製がおすすめです。ガラスはペアガラスやトリプルガラスにすると断熱性能が上がります。

まとめ

回は、ペットと暮らす家づくりについて解説しました。犬と猫、それぞれの特徴と、ペットの特徴に合った間取りの工夫についてもご紹介しました。ペットも人間と同様に性格や個体差があり、全て同じ特徴が当てはまるわけではありません。自分の家族であるペットの好みや性格に合わせ、家族みんなが快適に暮らせる家づくりをしてください。