一戸建ての維持費はいつ頃いくらかかる?マンションとの違いも解説

一戸建てを建てたいと考え始めると、毎月、毎年、支払いがいくらになるのか、気になる人は多いと思います。住宅ローンの支払い以外に、維持費はどれくらいかかるのでしょうか。メンテナンスの頻度や、費用も知っておきたいですね。今回は、一戸建ての維持費やメンテナンスについてと、マンションとの違いも合わせて解説します。

一戸建ての維持費、税金と保険料について

一戸建てを建てると、維持するためのお金もかかります。維持費の主な項目は、以下の3つになります。

●税金  ●保険料  ●修繕費

上記の中で毎年かかるものは、税金と保険料です。まずは、それらの内容から詳しくみていきましょう。

・税金

一戸建てやマンション、土地などの不動産を所有すると、支払うべき税金があります。固定資産税と都市計画税です。これらは、土地や家屋の1月1日時点の所有者に課せられます。固定資産税と都市計画税は、地方税です。家や土地がある市町村(東京23区は東京都)から、毎年納税通知書が届きます。年4回に分けて、納付期限が定められています。それぞれ、どのような税金なのかと、相場や計算方法についてご説明します。

●固定資産税

固定資産税は、土地や家屋、償却資産などの固定資産にかかる税金です。一戸建てでも、マンションでも、所有者には納税義務があります。固定資産税は普通税で、税収の使途が定められていない税金です。市町村によって、使い道が異なります。例えば、道路や学校、公園など、公共施設の整備のほか、介護・福祉などの行政サービスにも使われています。

固定資産税の計算には、固定資産税評価額が使われます。評価額は、実際に土地や家屋を購入した時の価格とは異なります。建物では、新築購入時の6割程度、土地は、時価の7割程度と言われています。なお一戸建ての場合、家屋の固定資産税は、新築から3年間は、1/2になる軽減税率が適用されます。一戸建ての固定資産税の相場は、年10万~20万円程度です。固定資産税の計算方法は下記になります。

〈計算方法〉*200㎡以下の小規模住宅用地の場合

家屋の固定資産税=固定資産税評価額×標準税率(主に1.4%)

土地の固定資産税=固定資産税評価額×1/6×標準税率(主に1.4%)

●都市計画税

都市計画税は、主に市街化区域内の不動産の所有者に課されます。不動産の所有者全員ではありませんが、多くの人が当てはまるでしょう。都市計画税は、使途を特定して徴収される目的税です。都市での生活や活動に必要となる、道路や公園、下水道などの整備や、都市計画事業などを行うために徴収されます。税率は地域ごとに異なりますが、上限が0.3%と定められています。価格の相場は、年2~3万円程度です。都市計画税の計算方法は下記です。

〈計算方法〉*200㎡以下の小規模住宅用地の場合

家屋の都市計画税=固定資産評価額×税率(上限は0.3%)

土地の都市計画税=固定資産評価額×1/3×税率(上限は0.3%)

・保険

一戸建てを建てたり、マンションを購入したりする際、多くの人が住宅ローンを組みます。住宅ローンを組む際、火災保険と団体信用保険への加入が必須になっていることがほとんどです。保険は、自分達家族のためでもあります。それぞれどのような保険かみていきましょう。

●火災保険

家や家財などの財産が、火事や、台風などの自然災害によって受ける損害に備えた保険です。住宅ローンを組むと、土地や建物を担保にお金を借りることになります。万が一、建物が火事などで焼失した場合、ローン残債の返済が難しくなります。そのようなリスクを避けるために、火災保険への加入が、融資の条件になっていることが多くあります。火災保険は、保険会社や加入するプランによって、補償内容や保険料が異なります。保険の加入には、次の3パターンがあります。

①建物のみ

②建物+家財

③建物+家財+地震

家財や地震の保険は、火災保険にプラスして加入することができます。補償範囲には種類があり、火災や爆発、落雷、風災などに備えたものや、水災を加えたものなどがあります。補償範囲によって金額が変ります。また、建物の構造によっても金額が変り、木造は鉄骨や鉄筋造と比べて高くなる場合が多いようです。木造一戸建ての、火災保険の一般的な相場は、年1~1万5千円程度、10年間では10万~15万円程度です。保険料を抑えるには、一括払いにすることや、長期契約にするなどの方法があります。

●団体信用生命保険

団体信用生命保険とは、団信(だんしん)とも呼ばれている、住宅ローンに特化した生命保険です。住宅ローン返済期間中に、ローン契約者の死亡や高度障害などで、返済ができない状態になった場合、保険会社からの給付金で、ローン残債が完済されるという仕組みです。遺族にローンの返済義務が移らず、そのまま住み続けられることがメリットです。団信の加入は必須ではありません。しかし、ほとんどの金融機関が融資の要件としているため、住宅ローンを組む場合、ほとんどの人が加入します。一部、フラット35などでは任意であったり、健康上の理由で加入できなかったり、といったケースがあります。また、団信の保険料は金融機関が負担するため、実際の支払いはありません。一般的に、団信の保険料相当額は、住宅ローンの金利に含まれています。

一戸建ての維持費、修繕費とメンテナンス計画

次に、毎年ではなく、築年数の経過で発生する、一戸建ての修繕費についてみていきましょう。また、メンテナンス計画についても解説します。

・修繕費

一戸建ての維持には、修繕費もかかります。マンションの管理費のように、毎月支払うというものではありません。しかし、新築から10年を過ぎたあたりから、修繕箇所が発生してくることが多いようです。一戸建ての主な修繕箇所、おおよその周期と費用相場を一覧にまとめました。

・メンテナンス計画

一戸建てのメンテナンス一覧を見て頂くと、箇所によって、周期が異なることが分かります。しかし、それぞれに最適な時期を覚えておくのは、難しいですよね。そこで、メンテナンス計画を築年数ごとに分けてみましょう。

●築5年~10年のメンテナンス

この時期はまだ大規模な修繕費用はかかりません。たとえば、室内の壁クロスは、5年を過ぎたあたりから、汚れや、継ぎ目のはがれが目立つようになってきます。専用の洗剤で拭いたり、ホームセンターで販売している接着剤で部分補修したり、自分でできるメンテナンスをしておきましょう。また、排水口や雨どいの詰まりがないかは、日ごろから点検して下さい。

●築10年~20年のメンテナンス

少しずつ修繕箇所が発生してくる時期です。外壁や屋根の塗装、給湯器、内装など、不具合が色々と出てくるでしょう。しかし、それだけ費用もかかります。一戸建ての外壁や屋根の塗装には、足場を組む必要があり、費用も高くなります。住宅ローンが残るなかでの大規模な修繕は、負担が大きくなるため、優先順位をつけて実施しましょう。目視でどうしても気になる部分や、バルコニーの防水工事などは、優先して実施しておくと良いでしょう。

●築20年~30年のメンテナンス

築20年を超えると、給排水設備が傷んで、入れ替えが必要になってきます。フローリングや、バス、トイレ、キッチンといった水回りも、修繕や交換を検討する時期です。もし外壁や屋根、内装のメンテナンスをここまで怠ってきた場合、この時期には、大規模な修繕を行うことになるでしょう。建物の寿命を延ばすには、こまめなメンテナンスが大切です。

一戸建てとマンションの維持費の違い

最後に、一戸建てとマンションの維持費の違いについて解説します。どちらが得なのか、見ていきましょう。

・マンションの維持費

マンションの部屋を購入すると、区分所有者となります。マンションの維持費の項目には、一戸建てと同様に、税金、保険料、修繕費(専有部分)があります。税金は、軽減税率の適用期間が異なるくらいで、計算方法は一戸建てとほぼ同じです。税金と保険は、マンションの方が安くなることが多いようです。修繕費は、例えば、壁クロスや床の貼り替え、水回りの修繕など、専有部分にあるものは、各自で行う必要があります。

一戸建てと大きく違う点は、共用部分という、他の住人と一緒に使う部分もあることです。マンションにのみ必要になる維持費は、下記の項目です。

●管理費

マンションには専有部分と共用部分があります。専有部分は各自で管理します。一方共用部分は、エントランスや廊下、エレベーターなどのことで、住民みんなで費用を出し合い、管理します。専有面積によって負担する金額は異なります。また、共用設備が充実していると高くなり、規模が大きなマンションでは安くなる傾向にあります。管理費の相場は、月1万~2万円程度です。管理費で行うのは、たとえば下記のような内容です。

 〇エントランスや廊下の掃除

 〇ごみ収集場の掃除と管理

 〇駐車場、駐輪場の管理

 〇共用部の電気代

 〇共用部の火災保険料

 〇管理人費用

●修繕積立金

マンションの外壁、屋根、エントランス、エレベーターなどの共用部分の修繕工事を行うため、区分所有者がみんなで負担する積立金です。大規模修繕は、10年~20年ごとに計画的に行います。修繕積立金は、毎月、管理費と一緒に管理組合が集めて積み立てます。修繕積立金の相場は、月1万~2万円程度です。機械式駐車場がある場合は、高くなる傾向にあります。

●駐車場、駐輪場代

マンションの駐車場や駐輪場を借りる場合、かかる費用です。駐車場の費用相場は、立地や住むエリアによって格差が大きく、月5千円~3万円程度です。駐輪場の相場は、1台につき、月500円~千円程度でしょう。

●専用庭、ルーフバルコニー使用料

専用庭やルーフバルコニーは、特定の住民が専用に使用できる場所です。物件によっては、使用料がかかります。管理費や修繕積立金と一緒に、毎月支払います。専用庭、ルーフバルコニー共に、使用料の相場は、月300円~1,500円程度です。

・一戸建てとマンション、どちらがお得?

維持費を比較すると、マンションよりも一戸建ての方が負担は小さくなります。マンションで駐車場も借りる場合、30年間では1千万円近く、一戸建ての方が安くなるとも言われています。建物の管理を自分でするのか、依頼するのか、という違いは大きいと言えます。また、支払いの時期も、マンションの管理費や修繕積立金は、毎月かかりますが、一戸建てでは、自由に決められます。しかし、かからないわけではありません。自分で修繕費用を準備し、時期や内容を決め、業者選びもしなければなりません。手間がかかるのは、一戸建てでしょう。どちらがお得かは、タイプによると言えます。自分で管理できる人には、維持費用が抑えられる、一戸建てがお得になります。

まとめ

今回は、一戸建ての維持費やメンテナンス計画、マンションとの違いについても解説しました。一戸建ての維持費は、マンションより負担が小さく、好きなタイミングで行うことができます。しかし、その分手間がかかり、メンテナンス計画を自分で立てる必要があります。家の寿命は、メンテナンス次第で延ばすことも可能です。また、一戸建ての家づくりにおいて、耐久性のある素材を選ぶなど、手間がかからない方法にしておくことも大切です。