注文住宅で使いやすい駐車場を作る4つのコツと寸法の決め方

注文住宅の家づくりでは、駐車場をどう作るか悩む人は多いと思います。車やバイクを自宅に駐車できることは、一戸建ての大きな魅力と言えます。しかし、駐車場などの外構は、間取りや内装に比べて後回しになりがちです。今回は、使いやすい駐車場を作る4つのコツをご紹介し、注文住宅の駐車場の種類とメリット・デメリット、寸法の決め方についても詳しく解説します。

注文住宅の駐車場の種類とメリット・デメリット

注文住宅の駐車場には、次の4つの種類があります。それぞれの特徴とメリット・デメリットを解説します。

・オープンタイプ

駐車スペースに屋根や壁を設置せず、地面の整備だけをするのがオープンタイプです。駐車場に予算をかけたくない人や、スペースの幅が狭い場合などに向いています。

〈メリット〉

●費用を抑えられる

●駐車スペースを広く取れる

●運転に自信がない人でも停めやすい

〈デメリット〉

●雨風にさらされて汚れたり劣化したりしやすい

●夏は車内が高温になる

●駐車スペースに簡単に侵入できる

・ガレージタイプ

壁や屋根に囲まれた、耐久性に優れた駐車スペースです。家とは別に独立して建てるため、建築物として法律に適合させる必要があります。シャッターを付けると防犯性がアップします。

〈メリット〉 

●雨風や紫外線からしっかり車を守れる

●耐久性や防犯性に優れている

●DIYなど、他の作業スペースとしても活用できる

〈デメリット〉

●広い敷地が必要

●建築物として扱われ、確認申請などの手続きが必要

●固定資産税の対象になる

・ビルトインガレージタイプ

駐車スペースを、家の1階部分に組み込んだタイプの車庫です。インナーガレージとも呼ばれ、車やバイク好きに人気があります。家の中に車を格納できる安心感があり、出入口にシャッターを設けると、防犯性がアップします。

〈メリット〉 

●雨風や紫外線、イタズラや盗難からも車を守れる

●敷地に余裕がなくても駐車スペースを確保できる

●雨の日の乗り降りや、荷物の出し入れにも便利

〈デメリット〉

●耐震面の強化などで建築コストが高くなる

●エンジンやシャッター音、排気ガスなどが気になる場合がある

●車の買い替えでは、サイズや車種を選ぶ必要がある

・カーポートタイプ

屋根と柱で構成された駐車スペースのことです。規制品も多くあり、後付けも可能です。ガレージより簡易的なものの、十分、雨や直射日光を防ぐ役割を果たしてくれます。

〈メリット〉 

●ガレージより費用が安い

●家の外観の邪魔をしない

●固定資産税の対象にならない

〈デメリット〉

●強風には弱く、屋根材が飛ばされることがある

●駐車スペースに侵入されやすい

●柱の位置によっては邪魔になる

注文住宅で駐車場の寸法を決める方法

駐車スペースをどれくらいの広さにすれば良いのか分からない、という人もいるでしょう。次は、使いやすい駐車場の寸法の決め方について解説します。

・最低限必要な寸法を知っておく

まず、駐車スペースに最低限必要な寸法を知っておくことが大切です。普通免許で乗れる車の規格には3種類あり、軽自動車、小型自動車、普通自動車に分類されます。規格は車両のサイズと排気量で決められています。軽自動車は全長3.4m以下、全幅1.48m以下、全高2.0m以下で、総排気量が660㏄以下のもの。小型自動車は全長4.7m以下、全幅1.7m以下、全高2.0m以下で、総排気量が2,000㏄以下とされ、コンパクトカーが該当します。小型自動車より大きいものは普通自動車に分類され、セダンやミニバン、ワンボックス、SUVなどが該当します。また国土交通省では、駐車スペースの1マスの最低限のサイズを、次のように定めています。

〈駐車場1マスの最低限のサイズ〉

●軽自動車:幅2m、長さ3.6m

●小型自動車:幅2.3m、長さ5m

●普通自動車:幅2.5m、長さ6m

*国土交通省 「駐車場設計・施工指針について」より

しかし、実際には『車の全幅+1~1.2m、全長+1~1.3m程度』が理想と言われています。駐車場の寸法は、乗り降りや、荷物の出し入れもイメージして、ゆとりを持たせておくことが大切です。

・出入りのしやすさも考慮して決める

駐車スペースの寸法を決める際は、乗り降りしやすいだけでなく、道路への出入りがしやすいことも重要です。前面道路の幅や、駐車場と前面道路の位置関係などにより、必要な寸法が変わります。車の停め方によっては、回転するスペースを考慮して、間口を広くとった方が良いケースもあります。停め方には次の3つがあり、それぞれの特徴を解説します。決める際の参考にして下さい。

●道路に対して直角

もっとも一般的で、左右どちらにも出入りしやすいというメリットがあります。しかし、5m以上の奥行きが確保できることや、前面道路が4m以上あることなどの条件が必要です。また、ポストやインターホンなどの位置決めを先にしておかないと、車を出しづらくなってしまう場合があるため注意しましょう。

●道路に対して平行

直角に停めるよりも奥行きを必要としないため、敷地や前面道路が狭い場合に向いています。しかし、縦列駐車の要領で駐車するため、苦手な人は、何度も切り返さなければなりません。また、停めた向きと逆方向には出にくい、というデメリットもあります。

●道路に対して斜め

細長い敷地や、間口が狭い土地では、道路に対して斜めに駐車スペースを設ける方法もあります。道路と並行に停める場合に比べて、約1.5m程度は間口を狭くできます。また、駐車したい台数が多い場合にも、有効なレイアウトと言えます。しかし、十分な奥行きや間口が取れるなら、直角や平行に配置した方が使い勝手が良いでしょう。

使いやすい駐車場を作る4つのコツ

最後に、注文住宅が完成してから後悔しないために、使いやすい駐車場を作る4つのコツを解説します。

・仕上げ素材はコンクリートがおすすめ

駐車場の仕上げには、強度があり、掃除もしやすいコンクリートがおすすめです。コンクリート以外では、砂利や砕石、芝生などが選べます。砂利や砕石は費用を抑えられる反面、車体を傷つけたり、沈んでしまったりというデメリットがあります。また、芝生は手入れに手間がかかります。コンクリートでもおしゃれに仕上げたいという場合は、スリットに砕石を使ったり、前面部分にタイルやブロックを敷いたりすると良いでしょう。

・照明でおしゃれと防犯対策を両立

駐車場に照明を設置してライトアップすれば、おしゃれな上に、安全性や防犯性がアップします。家の雰囲気に合わせて光の色を変えると良いでしょう。落ち着いた雰囲気にしたいなら電球色を使い、スタイリッシュな雰囲気には白色や昼白色がおすすめです。人感センサー付きの照明器具なら、帰宅時に出迎えてくれる安心感がある上に、防犯対策にもなります。また、屋根がない駐車場では、地面に埋め込むタイプのグランドライトを使うと、おしゃれにライトアップできます。

・駐車場作りは後回しにしない

家づくりにこだわり過ぎて、駐車場などの外構に予算が取れなかったり、後回しになったりというケースもあるようです。駐車スペースが必要か、迷っている場合もあるでしょう。しかし、外構を土のままにしておくと、玄関周りが汚れたり、見栄えが悪かったりして後悔に繋がります。駐車場作りは後回しにしないことをおすすめします。コンクリートで仕上げておけば、今は車を持っていなくても、来客用に使うことができたり、レンタルスペースとして貸し出したりもできます。雑草にも悩まずに済みます。また、家づくりと同時に検討すれば、ローンに組み込めることもメリットです。新築の家には、友人を招くことも多いでしょう。家の外観とマッチした、使いやすい駐車場を整えてお迎えしたいですね。

・駐輪スペースも一緒に計画しよう

駐車場よりさらに後回しになりがちなのが駐輪スペースです。とくに台数が多いと、注文住宅を建ててから置き場がなくて困る場合があります。例えば、ママに人気の子ども乗せ電動自転車は、サイズが大きくて幅を取ります。また、お子さんが小さいうちは自転車も小さいですが、数年後にはサイズアップし、広いスペースが必要になります。駐車場を検討する際は、駐輪スペースも一緒に計画しましょう。

まとめ

今回は、注文住宅の駐車場の種類や寸法の決め方、使いやすい駐車場を作るコツについて解説しました。駐車場の種類は4つで、屋根のないオープンタイプ、支柱と屋根のあるカーポート、壁と天井で囲まれたガレージ、建物に組み込まれたビルトインガレージがあります。駐車場の寸法は、車のサイズだけでなく、停め方や前面道路の幅などによっても必要な広さが変わります。また、駐車場作りは後回しにせず、家づくりのタイミングで同時に進めることが大切です。