玄関の手洗い場、メリット・デメリットや間取りの注意点とは
玄関に手洗い場を検討する人が増えています。洗面所が奥にある間取りの場合、手を洗う前にドアノブやスイッチなどを触ることになります。ウイルスの感染予防や花粉症対策として、帰宅後すぐに手が洗えれば、便利で安心ですよね。今回は、玄関に手洗い場を作るメリット・デメリットと、おしゃれな事例や間取りの注意点も解説します。
玄関に手洗い場を作るメリット・デメリット
まず、玄関に手洗い場を作ると、どんなメリット・デメリットがあるのかをそれぞれ見ていきましょう。
・手洗い場を作るメリット
●感染予防や花粉対策に役立つ
コロナ禍以降、帰宅後、すぐに洗面所やお風呂に直行するという人も多いのではないでしょうか。しかし、玄関の近くに洗面所やお風呂がない場合、手を洗う前に、扉やスイッチなどを触らなければなりません。玄関に手洗いスペースを作れば、室内を触ったり、歩いたりせず、すぐに手を洗えます。ウイルスや花粉を室内に持ち込みにくくなり、感染予防や花粉対策に役立ちます。
●手の汚れをすぐに洗い落とせる
手洗い場を作るには、給排水用の配管や洗面ボウル、水栓などのコストがかかります。仕様によって変わりますが、相場は10.万円~30万円程度でしょう。また、お湯も使えるようにするには、給湯工事が必要になります。衛生面や便利さを優先すると、追加コストがかかることは、覚悟しなければなりません。
●来客用として活用できる
玄関の手洗い場は、来客用として活用できます。一般的に、洗面所では歯ブラシや基礎化粧品、整髪料などを使うため、どうしても生活感が出やすくなります。また、洗面所とお風呂は隣接している間取りが多く、来客時に使用しづらいといった問題もあります。家族用と来客用を分けることができれば、キレイを保ちやすく、お風呂にも気兼ねなく入れます。
●お子さんの手洗い習慣づけに役立つ
小さいお子さんのいるご家庭では、お子さんが手を洗う習慣を付ける際に役立ちます。お子さんに、帰ってすぐに手洗い・うがいをしようと促しても、洗面所に辿り着く前に室内をあちこち触ってしまいがちです。おもちゃに気を取られて遊び始めてしまう場合もあるでしょう。家に入ってすぐに手が洗えれば、お子さんが手を洗う習慣をつけやすくなります。
・手洗い場を作るデメリット
●掃除の手間が増える
水回りの掃除は手間がかかります。手洗い場は床や壁に水が飛び散りやすく、放っておくと、水アカやカビの原因になってしまいます。衛生面や便利さを優先させて水回りを増やすことで、掃除の手間やタオル交換、ハンドソープの補充などの手間は増えることになります。
●水ハネする
一般的な玄関なら、床や壁紙は、水に強い素材かどうか意識せずに選べます。しかし、手洗い場を作る場合、水ハネを考慮した素材選びをする必要があります。飛び散った水が壁や床にしみ込むと、水アカやカビの原因になります。壁紙やフローリングは、耐水性の優れた製品を選び、水ハネ対策を講じておきましょう。
●玄関が狭くなる場合がある
玄関の一部分を手洗い場として使うため、間取りによってはスペースが狭くなってしまう場合もあります。また、手洗い場を設けることで収納が減ると、靴や傘、外用品が入りきらなくなり、ごちゃごちゃとした印象になってしまいます。家族が持っている靴の数や、収納したい物の量は、設計前にあらかじめ把握しておくことが大切です。
玄関のおしゃれな手洗いスペース事例3選
次に、おしゃれな手洗い場にはどんなタイプがあるのか、3つの事例を解説します。
・下駄箱一体型タイプ
1つめは、下駄箱と一体化しているコンパクトなタイプです。下駄箱の上のカウンターに洗面ボウルを置いたシンプルなデザインです。下駄箱は奥行きが十分あるため、無理なく設置できます。カウンターには、水や汚れに強く手入れがラクな、メラミン化粧板などの素材がおすすめです。おしゃれなハンドソープディスペンサーや観葉植物を飾るなどして、違和感なく空間に溶け込むような工夫をしましょう。
・大容量収納付きコの字型タイプ
2つめは、コートや傘なども収納できる、大容量のコの字型シューズボックスに手洗い場を組み込んだタイプです。壁面を利用し、鏡やタオル掛けを設置するなど、オールインワンで便利な仕様になっています。家族の人数が多いご家庭や、玄関が広めにとれる場合に向いています。大容量の収納があることで、機能的ですっきりとしたおしゃれが楽しめます。
・独立タイプ
3つめは、壁にカウンターを設置し、その上に洗面ボウルや水栓を取付けた独立タイプです。下駄箱の隣だけでなく、廊下のコーナー部分や、土間、ウォークインシューズクローゼット内などにも設置できます。空間に合わせ、省スペースにも設置できることが魅力です。カウンターや洗面ボウルの色やデザインが豊富なので、インテリアに合わせて選ぶことができます。ホテルライクや和風モダンなど、おしゃれな空間が演出できます。
玄関の手洗い場、間取りの注意点とは
最後に、手を洗うスペースを設ける際、どんなことに気を付けるべきか、間取りの注意点を解説します。
・動線を検証しておく
玄関に手洗い場を設置すると、帰宅後すぐに手を洗って部屋に入ることができ、帰宅時の動線はスムーズです。しかし、間取りを決める際、生活動線や来客動線についても検証しておかないと、かえって不便さを感じてしまいます。とくに、洗面所を玄関の1カ所だけにした場合は、しっかり動線を考えていないと後悔します。例えば、お風呂あがりに離れた玄関まで行って歯を磨く必要があったり、顔を洗っている最中の来客で気まずい思いをしたりといったことが起こります。帰宅時だけでなく、生活のあらゆるシーンを考慮して間取りを決めることが大切です。
・玄関ホールや廊下への設置も検討する
玄関にスペースが確保できない場合は、無理に詰め込まず、ホールや廊下への設置も検討してみましょう。階段下や廊下のコーナー部分、突き当りなど、空いているスペースを有効利用するのもおすすめです。また、ドアを開けてすぐに見えるのを避けたい場合、壁に段差を付けて設置したり、目隠しの壁を建てたりすると良いでしょう。来客時や帰宅後、なるべくどこにも触れないように、ドアや扉は付けないことがポイントです。
・水ハネ対策は必須
手を洗うと、どうしても水ハネします。玄関が狭くならないように、洗面ボウルやカウンターをコンパクトにし過ぎると、床に水が飛び散って後悔するケースもあるようです。床が濡れると拭き掃除の手間がかかるだけでなく、フローリングが劣化したり、置いていた靴が濡れたりということもあるでしょう。手洗い場は、位置とサイズをよく検討して決めて下さい。また、洗面ボウルやカウンターのサイズは、図面だけでなく、ショールームや展示場などで実物を見て選ぶことをおすすめします。
まとめ
今回は、玄関に手洗い場を作るメリット・デメリットをご紹介し、おしゃれな事例や間取りの注意点を解説しました。感染予防や花粉対策に役立ったり、来客用として活用できたり、メリットが多くありました。一方で、掃除の手間やコストがかかるなど、デメリットもあります。タイプは、下駄箱一体型や独立型などがあり、玄関の広さやデザインの好みで選べます。設置する際は、動線の検証や水ハネ対策が必須です。メリット・デメリットや注意点を参考にして頂き、玄関の手洗いスペースを検討してみてはいかがでしょうか。