家の方角、本当に南向きがいいの?方角別メリット・デメリット

日当たりの良い家に住みたい、という人は多いですよね。方角では、南向きを想像するのではないでしょうか。実は、家づくりで登場する『方角』に関することは、2つあります。1つめは、土地の向きです。2つめは、家の向き(間取り)です。今回は、家づくりで悩む、『方角』について考えていきましょう。土地も、家も、本当に南向きがいいのでしょうか。それぞれの方角のメリット・デメリットと、家を明るくする方法5選を解説します。

家を建てる土地の方角

注文住宅を建てる場合、最初に土地を探すことになります。まずは、土地の方角についてみていきましょう。

・土地の向きとは

土地探しの際、エリアや土地の大きさ、形と共に気になるのが、土地の向きではないでしょうか。土地の向きとは、敷地に対して道路が面している方角で決まります。南側に道路があれば『南向きの土地』、西側に道路があれば『西向きの土地』となります。『前面道路』という言葉で記されていることも多いでしょう。

・土地の向きと家の向きの関係

西向きの土地でも、南向きにリビングやベランダを配置することはできます。土地の向きと家の向きは、必ずしも一致しません。また、日当たりは、方角だけでなく、周囲の建物や環境によっても大きく変わります。しかし、住宅街では、周囲を家に囲まれていることが多く、もっとも太陽の光を取り入れやすいのは、道路に面している方角からになります。土地の向きによって間取りに制約が出る場合もあり、土地選びが重要である事は間違いありません。

・人気の方角

土地にはエリアや大きさ、形など色々な条件があります。その条件によって価値が変ってきます。条件の1つとなるのが、土地の向きです。人気がある方角は、値段も高くなります。人気がある方角の順位は下記のとおりです。

1位:南向き
2位:東向き
3位:西向き
4位:北向き

人気の順位は、価格の順位とも言えます。また、同じ方角でも、角地(かどち)は値段が上がります。理由は、角地は建築制限がゆるくなり、建ぺい率が増えて少し大きな家が建てられることや、間口が2方向から取れ、間取りの自由度が上がることなどです。

やはり人気があるのは、南向きです。しかし、家に望む条件は、お住まいになるエリアが温暖な地域か、寒い地域かによって、またライフスタイルによっても変わります。全ての人にとって、南向きの土地であることが、必ずしも良い家の条件とは言い切れないでしょう。次に、家の方角について、それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。

家の方角別、メリット・デメリット

家づくりにおいて、家の方角も重要になります。住宅街では、北側斜線や高さ規制などにより、南側の、特に2階については日当たりが確保される場合が多く、明るい陽射しが降り注ぎます。家のメインとなるリビングや、ベランダの日当たりを重視し、南向きにしたいと考える人は多いでしょう。しかし、南向きにもデメリットはあります。それぞれの方角のメリット・デメリットを知り、ご自身の重視するポイントや、ライフスタイルに合った方角を見つけて下さい。

・南向き

〈メリット〉

●日当たりが良く、明るい
●洗濯物がよく乾く
●冬も陽が差し込んで暖かい

〈デメリット〉

●家具や内装が日焼けしやすい
●土地や物件価格が高め
●プライバシー確保に工夫が必要

南向きの家は、日当たりが抜群で、明るく、洗濯物も乾きやすいなど、メリットが多くあります。冬でも太陽の位置が低くなって、陽が差し込んでくるため、一年中太陽の恩恵が受けられます。

しかし、気象庁のデータによると、日本の年平均気温は、1991年〜2020年の30年間、変動をしながら上昇しています。温暖化による夏の暑さは年々厳しさを増し、日当たりの良い家は、夏は夜まで暑くて眠れないと、いった声もあります。

寝室を北側に作ったり、窓を多く作って風通しを確保したり、熱を逃がす工夫も設計時に考えておくと良いでしょう。また、南向きの土地に南向きのリビングを配置する間取りも人気ですが、道路から丸見えにならないように、工夫が必要になります。

・東向き

〈メリット〉

●朝日が差し込んで気持ち良い
●午前中から洗濯物が干せる
●夏も午後は比較的涼しい

〈デメリット〉

●午後になると日が当たらない
●照明を使用する時間が長め

東向きの最大のメリットは、朝日が差し込んで気持ちが良いことではないでしょうか。南向きに次いで人気の方角です。朝型ライフスタイルの人や、規則正しい生活をしたい人に適しています。洗濯物を乾かすのも午前中が勝負です。午後になると日が当たらなくなるので、夏の日中でも快適に過ごせます。

一方で、照明を使う時間は長めになります。また、洗濯物を干す時間が遅れると、午後は乾きづらいと言った面もあります。夜勤などで朝は寝ていたい人や、午後から洗濯物や布団を干したい人には向いていません。

・西向き

〈メリット〉

●午後から夕方まで明るい
●日照時間が長く、洗濯物が乾きやすい
●冬でも午後は暖かく過ごせる

〈デメリット〉

●夕方、西日が眩しい
●午前中は日が当たらない
●夏は夜まで暑くなる

西向きのメリットは、家の中が明るい時間が長く、洗濯物もよく乾くことです。冬でも午後は暖かく過ごせます。朝はゆっくりスタートしたい、という人に向いています。

一方で、西日の眩しさを嫌う人もいます。また、午前中は日が当たらないため、室内が暗めです。午後からは夕方まで日が当たるため、夏は夜まで暑さが続いてしまう場合もあります。断熱ガラスを採用したり、カーテンやシェードを設置したり、直射日光を遮る工夫が必要になります。

・北向き

〈メリット〉

●夏でも比較的涼しい
●リビングや庭のプライバシーを確保しやすい
●家具や内装が日焼けしない
●土地や物件価格が他の方角よりリーズナブル

〈デメリット〉

●日当たりが悪い
●湿気が溜まりやすい
●冬に寒い

北向きは、日当たりを重要視する人には人気がありません。しかし、意外にメリットも多くあります。夏の暑さが苦手な人や、もともと洗濯物は洗濯乾燥機や浴室乾燥機を利用する人には適しています。 一方で、冬の寒さ対策や、湿気対策はしておいた方が良いでしょう。寒さ対策では、例えば、床をフローリングではなくカーペットにしたり、床暖房を導入したりといった方法があります。また、湿気対策では、家の風通しが重要なので、窓の位置を工夫することや、エコカラットなどの壁材を利用することなどがあります。

南向きじゃなくても、家を明るくする方法5選

最後に、家が南向きではなくても、家の中を明るくする方法5選について解説します。

・天窓や大開口をつくる

天窓(トップライト)は天井部分に作る窓のことで、壁に作る窓よりも、3倍もの光が取り入れられると言われています。また、大開口窓をリビングに作ることも、近年人気があります。大開口窓は、面積の広い窓のことです。横幅が広く、高さも天井近くまであって意匠性も高いのが魅力です。大きな面で採光でき、空間の広がりが感じられます。

しかし、開口部を大きく取る場合、冷暖房効率が下がることへの対策や、防犯や耐震面での対策も同時に必要になります。

・吹き抜けをつくる

リビングや玄関に吹き抜けをつくり、高窓を設置することで採光する方法もあります。高窓は天井近くの壁面に作る窓で、天窓ほどではありませんが、十分な採光をとる事ができます。また、天井が高いことで開放感を演出できます。

・中庭をつくる

中庭をつくることで、家中に光を届けることができます。特に、室内に光を取り入れることを目的とした庭は、光庭(ひかりにわ)とも呼ばれています。住宅密集地や、隣に大きな建物がある場合などでも、室内に自然光を採り入れることができます。家の風通しもよくなり、湿気対策にも有効です。中庭や光庭は、外部の視線が気にならない、プライベートな空間になります。ベンチなどを置いてリラックスしたり、お子さんがプール遊びをしたりするのにも向いています。

・内装やインテリアを明るい色にする

室内が薄暗くなりがちな場合、内装やインテリアを明るい色にすることも効果があります。黒やグレー、ブラウンなどのインテリアは、一層暗いイメージになってしまいます。床材や壁材、カーテンなど面積の大きい部分には、ホワイト系やベージュ系を選び、家具も明るめのトーンを選択すれば、明るい印象になります。           

・白砂利、白い床材

庭に白砂利を敷いたり、ウッドデッキやテラスに白い床材を採用したりという方法もあります。白は光が反射する色です。外部に工夫をすることで、太陽の光が反射して、室内にも優しく光が差し込みます。また、室内とデッキやテラスの床材の色を揃えれば、空間の広がりや開放感も演出でき、明るく広々とした印象にしてくれます。

まとめ

新築を建てる際、方角は、後から変えることができないため、多くの人が悩みます。人気の方角は南向きですが、全ての人にとって、良い家の条件というわけではありません。周りの環境や土地の形によってもベストな間取りは変わります。普段のライフスタイルや生活時間などを考慮して、方角を決めることが大切です。それぞれの方角のメリット・デメリットを知り、対策や工夫も加えて、快適な家を建てて下さい。

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