強風に備える「耐風等級」とは?台風に強い家づくりのポイント4つ

毎年、強風の被害が多く出ています。せっかく家を建てるなら、台風でも安心できる家にしたいですよね。地震への強さを示した『耐震等級』と同じように、強風への強さを示した『耐風等級』があるのはご存知ですか。今回は、耐風等級とはなにか、また台風に強い家づくりのポイント4つも解説したいと思います。

耐風等級について

耐風等級とはなにか、どれくらいの風に耐えられるのかなど詳しくご説明します。

・耐風等級とは

風が吹くと建物に圧力がかかり、これを風圧力といいます。耐風等級とは、強風による風圧力に対し、建物の倒壊や損傷のしにくさを示したものです。耐風等級は、『住宅の品質確保の促進等に関する法律』(品確法)で規定されている住宅性能表示基準の評価項目の1つです。ほかに耐震等級、耐雪等級もあります。耐風等級には1と2があり、2の方が高性能になります。

・耐風等級1

耐風等級1とは、『500年に1度程度の、極めて稀に発生する暴風でも倒壊せず、また50年に1度程度の、稀に発生する暴風では損傷しない程度』とされています。『極めて稀に発生する暴風』は、『稀に発生する暴風』の1.6倍の強さだそうです。耐風等級1は建築基準法を満たすくらいのレベルです。

・耐風等級2

耐風等級2は、耐風等級1の1.2倍の強さの暴風でも、損傷や倒壊しないとされています。台風に強い家を建てたいなら、よりグレードが高い、耐風等級2の評価を受けられる構造にすると、安心度が高くなります。

・500年に1度の暴風とは

『500年に1度の暴風』とはいったいどれくらいの強さなのでしょうか。たとえば東京近郊の住宅地では、高さ10mの位置で平均風速が約35m、瞬間最大風速が約50m程度になるそうです。風速10mで傘がさせず、風速20mを超えると、何かにつかまらないと立っていられないような状態になるため、風速35mは相当な大きさといえます。

500年に1度の暴風は、具体的には昭和34年9月に発生した伊勢湾台風に相当します。死者は約5,000人、負傷者数は約39,000人、住宅被害も甚大で、明治以降の日本の台風史上最悪の惨事となりました。一方、50年に1度の暴風とは、同じ地点で平均風速が約30m、瞬間最大風速が約45m程度だそうです。

・風の強さについて

では、平均風速約35mとはどの程度なのかご説明します。ニュースなどで、風の強さについて『非常に強い風』と言ったり、『猛烈な風』と言ったりするのを聞いたことがあると思います。

気象庁の定めによると、平均風速35m以上は猛烈な風と表現され、もっとも強いランクになります。これは時速でいえば130㎞程度です。プロ野球のピッチャーが投げる球や、電車の速さと同じくらいと言えます。そんな速さの風が吹いてくることを想定しているのは、驚きと共に安心感がありますね。

強風で損傷しやすい箇所

次に、そもそも倒壊や損傷とはどんな状態のことなのかご説明します。また、強風では家のどこが損傷しやすい箇所なのか考えてみたいと思います。

・倒壊や損傷とはどのような状態か

倒壊とは、構造躯体(建物の骨組み部分)が倒壊や崩壊するなど、人命にかかわるような壊れ方のことです。また損傷とは、構造躯体に大規模な修復が必要な著しい被害のことです。建物の強度に影響をしないような軽度なひび割れや、内装の被害は含まれません。

・損傷しやすい箇所1:屋根

木造の建物の場合、軒下からの風にあおられて屋根に負荷がかかり、屋根材がはがれたり、吹き飛ばされたりしてしまうことがあります。軒(のき)や庇(ひさし)は、外壁から外に向かって突き出している場所のことです。

軒や庇があることで雨風が外壁に直接当たらず、外壁の劣化を抑えられる効果があります。外壁を守るためには大きくつきだせば良さそうですが、下から吹き上げる風の影響を受けやすくなり、屋根の被害が発生しやすくなるので注意しましょう。もし屋根材がはがされてしまうと、住宅の防水性能が落ち、雨漏り被害の可能性も出てきます。

・損傷しやすい箇所2:壁

風速35mを超えると、外壁材がはがれるなどの被害が発生しやすいと言われています。飛散物によっても、サイディング等の外壁材や構造材に穴が開くことがあります。穴からは雨水や強風が吹き込み、屋根を外側に引っ張る負圧が増大して、屋根そのものが飛んでしまうなどの大きな被害がでる可能性もあります。

・損傷しやすい箇所3:ドアや窓

ドアや窓といった建物の開口部にも注意が必要です。窓ガラスは、風によってガタガタ音がなることはあっても、強風だけで割れることはほとんどありません。しかし、飛来物がぶつかると簡単に割れてしまいます。 また暴風の中でドアを開けると、風が勢いよく家に入り込み、巻き上げる力によって屋根が吹き飛ぶなどの大きな被害につながることもあります。それ以前に、暴風時に外出することは大変危険なのでやめましょう。

台風に強い家づくりのポイント4つ

最後に、台風に強い家づくりの際に検討すべきポイント4つを解説します。

①台風に強い屋根をつくる

強風では屋根に被害がでやすいとご紹介しました。台風に強い屋根をつくるには、屋根の形状と屋根材の耐風性能、防水性能が大切です。屋根の形状は、風の抵抗を受けにくい勾配の少ないタイプが強いと言われます。一方、片流れなどの風圧力が集中しやすい形状は、風に弱いとされています。

屋根材の耐風性能で求められるのは、強風でもはがれたり変形したりしない頑丈さです。また工法も重要で、ズレたり飛散したりしないようにしっかりと固定しなければなりません。防水性能の面では、台風ではさまざまな角度から強い風や雨が吹きつけてくるため、建物上部を隙間なく覆うことができる屋根材と工法を選ぶことが大切です。

また、経年劣化により屋根材に塗装の剥がれやひび割れが出来ると、そこから水が浸入し、建物全体を劣化させる可能性があります。防水性能だけでなく、耐久性と耐食性も求められ、何より重要なのはメンテナンスをしっかりと行うことです。

②窓には雨戸やシャッターを設置する

強風による飛来物から窓ガラスを守るために、窓にはできる限り雨戸やシャッターを設置しましょう。家にはたくさんの窓があり、全ての窓への設置は現実的に難しいかもしれません。

その場合は、窓に飛散防止フィルムを貼ることや、防犯合わせガラスを採用することでも、割れた際の破片の飛び散りを防ぐことができます。また台風の際は、カーテン等をしっかり閉め、窓際では寝ないようにしてください。

③立地条件にも気をつける

台風の際、障害物のない海沿いのほうが内陸部よりも風が強く、大きな風速が観測されることが多くあります。台風に強い家を建てたいなら、立地条件も重要です。市街地のような周りに建物が多く建っている場所では、近隣の建物が盾となり、直接風を受けるダメージは小さくなります。

一方、海沿いや開けた田畑、ポツンと建つ民家などは風を受けやすくなります。こういった立地では、昔から防風林などで建物を防御していました。現代では防風フェンスや柵などがあります。台風に強い家づくりでは、立地条件を選ぶことや、その立地に適した対策をしておくことが大切です。

④『平屋』も検討してみる

1階建ての『平屋』は、台風に強いと言われています。その理由は、建物の低さとシンプルなつくりにあります。2階建てや3階建てでは風圧力を受ける面積が広く、その分強度が必要になります。

その点平屋は、風圧力を受ける面積が小さく、下から吹き上げる風の影響も受けにくいというメリットがあります。バリアフリーが実現しやすく、ワンフロアで生活が完結できる利便性からも近年注目されています。台風に強い家を建てたいなら、平屋を検討することもおすすめします。

まとめ

ここ数年自然災害が多く、台風も大型化している印象があります。そんな中、家を建てるなら、地震だけでなく台風にも強い家を建てたいですよね。今回は「耐風等級」とはなにかご説明し、強風で損傷しやすい箇所や、台風に強い家づくりのポイント4つも解説しました。台風シーズンでも安心して過ごせる、安全で快適な家づくりの参考にしてください。

vacances(バカンス)の家は、性能が優れていることは当たり前と考えています。

構造計算は許容応力度計算を用い、また建築基準法の1.2倍の強度がある耐風等級2を標準としています。365日バカンスを楽しめる住宅、バカンスの家。 「住み心地」や「安心」を兼ね備えたバカンスの家をぜひ一度ご覧ください。