注文住宅のトイレ間取りはどこがいい?事例4選とポイント5つ
注文住宅の間取りでは、トイレをどこに配置するかによって、新居の住みやすさが変わります。配置が悪いと不便を感じて、後悔の原因になります。また、音やニオイ、プライバシー性などにも配慮が必要です。今回は、トイレの間取り事例4選とそれぞれのメリット・デメリット、失敗例や検討すべきポイント5つも解説します。
トイレの間取り事例4選のメリット・デメリット
トイレの間取りは、リビングや洗面所、玄関の近く、また面積が取れない場合には階段下、という4つのパターンが多いと思います。それぞれのメリット・デメリットを解説します。
・リビングに近い間取り
〈メリット〉
●温度差が気にならない
リビングの近くに位置していると、リビングと同じように、夏も冬も快適な温度に保たれやすいというメリットがあります。一般的にトイレには冷暖房設備がありません。しかし、トイレがリビング近くにあれば、温度差が気にならず、安心して利用できます。
●お子さんや高齢の方も使いやすい
トイレがリビングから近いと、お子さんや高齢の方にとっても使いやすいでしょう。お子さんがトイレトレーニングを行う際も、トイレを怖がったり、遠くて間に合わなかったりすることが少なくなります。また高齢の方が、足腰が弱くなって移動が億劫になっても、段差もなく、リビングから近い距離なら行きやすいでしょう。
〈デメリット〉
●音やニオイが気になる
リビングが近いと、音やニオイが気になることがデメリットです。トイレを使うとき、用を足す音や紙を巻き取る音が聞こえないか心配、という人もいるでしょう。音やニオイ問題があると、トイレを使う人もリビングで過ごす人も、お互いに不快な思いをしてしまいます。また、家族だけでなく、来訪者が使いづらいと感じる場合もあるでしょう。
●リビングから中が丸見えになる
トイレのドア位置によっては、リビングから中が丸見えになってしまいます。リビングで寛いでいるとき、トイレの中が見えるのは、気分の良いものではありません。ましてや、食卓から見えてしまうことは、避けたいですよね。トイレから出る人も、開けた瞬間に家族や来客と目が合うと、気まずい思いをしてしまいます。
・玄関近くの間取り
〈メリット〉
●生活スペースと距離がある
玄関近くに配置すると、生活スペースから程よい距離があり、音やニオイが気になりにくいことがメリットです。最近では、近所の人と玄関で話し込むようなことも減っているため、玄関付近にトイレを配置しやすくなっています。賑やかなリビングから離れ、静かな環境で落ち着いて利用できます。
●外出前や帰宅後すぐに使える
トイレが玄関付近に位置していると、外出前や帰宅後に使いやすいこともメリットです。出かける前にトイレを済ませておくという人は多いと思います。また、お子さんが公園や学校からの帰りに、トイレを我慢して急いで帰って来ることもあるでしょう。玄関付近の間取りなら、帰宅後すぐに利用できる安心感があります。
〈デメリット〉
●来訪者がいると出入りしづらい
玄関に宅急便の配達員さんや来客がいると、出入りしづらいことはデメリットです。とくに、ドアを開けた瞬間に目が合ったり、中が見えたりしてしまうと、お互いに気まずい思いをします。
●夏は暑く、冬は寒くなりやすい
玄関付近の間取りは、夏は暑く、冬は寒い空間になりやすいと言えます。玄関から入って来る冷気や暖気の影響を受けてしまうためです。とくに寒さが厳しい時期には、暖かい部屋から移動する際、寒暖差が原因となるヒートショックには気を付けなければなりません。
・洗面所近くの間取り
〈メリット〉
●建設コストが抑えられる
トイレや洗面所、お風呂などの水回りを一箇所に集めると、建設コストが抑えられることがメリットです。水回りが一箇所にまとまっていると、配管などの排水溝造が複雑にならず、余計なコストをかけずに済みます。また、メンテナンスもしやすいでしょう。
●動線がスムーズ
トイレから出てすぐに洗面所が利用できれば、動線がスムーズです。洗面所が離れていると、動線が複雑になってしまい、不便さを感じます。また、トイレ内に手洗い器を設けると、広さや費用が増え、掃除やメンテナンスの手間も増えてしまいます。
〈デメリット〉
●来客に生活スペースを見られる
トイレ後に洗面所を利用する動線では、来客に生活スペースを見られてしまうことはデメリットと言えるでしょう。洗面所は生活感が出やすい場所です。洗面所に洗濯物を山積みにしていたり、干していたりすると、トイレを貸すのに抵抗を感じてしまうでしょう。
●帰宅後に直行できない
洗面所などの水回りが奥にある間取りでは、帰宅後に直行できない不便さがあります。出かける直前にトイレを済ませようと思っても、奥に戻らねばならず、余計な時間がかかってしまいます。家族の生活動線をよく考えて間取りを決めるようにしましょう。
・階段下の間取り
〈メリット〉
●スペースの有効活用になる
デッドスペースになりがちな階段下を利用できると、スペースの有効活用になります。階段下の活用には、収納を作ることも多いと思います。しかし、奥行きが深すぎて使いづらい場合もあります。トイレは奥行きが必要なため、階段下に適しています。階段の幅は、トイレの横幅にもちょうど良いと言えます。
●間取りに余裕ができる
デッドスペースにトイレを配置すると、間取りに余裕ができます。リビングやキッチンは、なるべく広く確保したいと考える人は多いと思います。せっかく注文住宅を建てるなら、パントリーなどの収納も充実させたいですよね。トイレを階段下に配置すれば、他のスペースを圧迫せずに、余裕をもった間取りにできます。
〈デメリット〉
●圧迫感が出やすい
階段下は、天井の高さが低くなってしまうことも多く、圧迫感が出やすいことがデメリットです。天井には階段の段の形状が反映され、低い部分が出来てしまいます。背の高い人にとっては、窮屈に感じることもあるでしょう。天井付近に収納を設けることも難しいため、トイレットペーパーの在庫などの収納場所を検討しておかなければなりません。
●窓が作れない場合もある
階段下のトイレでは、窓が作れなかったり、作れても小さくなったりする場合があります。窓無しや小さい窓だと、換気がしづらく、十分な採光が取れません。階段下は湿気が溜まりやすく、暗くなりがちな場所です。換気設備の導入や、照明計画をしっかりとしておきましょう。
トイレの間取りのよくある失敗例
次に、トイレの間取りの失敗例を解説します。一度設置すると、位置は変更しづらいため、失敗例を参考にして対策をしましょう。
・狭すぎて使いにくい
狭すぎて使いにくいと後悔につながります。他のスペースを広く取るために、トイレは最小限で良いと考えがちです。しかし家族の体格によっては、狭すぎて使いにくかったり、落ち着かなかったりして、ストレスに感じることもあります。また、予備のトイレットペーパーや、清掃用具を置くスペースが取れないと不便になります。毎日使う場所なので、快適に利用できる広さを確保しましょう。
・1箇所にしか設置しなかった
2階建てや3階建ての住宅で、トイレを1箇所にしか設置しなかったことを後悔する場合もあります。平屋やマンションでは、トイレは1箇所ということが多いでしょう。しかし、複数フロアのある一戸建ての住宅では、夜中にトイレに行くときや体調の悪いときに、階段を上り下りして行くのは大変です。慌てていると階段を踏み外す危険もあります。トイレの設置個所は、家族の人数や生活リズムをよく検討して決めることが大切です。
・寝室の真上に配置したら音がうるさい
トイレの間取りを寝室の真上や近くにすると、音がうるさくて失敗したと感じる人もいるようです。寝室付近にあると、夜中や体調の悪いときでも行きやすいことはメリットです。しかし、静かな環境では水を流す音が響いて、他の家族を起こしてしまうことがあります。また、上階のトイレの配管は、下の階を通って下水道につながっているため、下にも音が響きます。トイレの間取りは、同フロアだけでなく、下の階も考慮して決めなければなりません。
・出入りに脱衣所や洗面所を通らなければならない
トイレの出入りに脱衣所や洗面所を通る間取りでは、気まずい思いをして後悔してしまう場合があります。トイレを使いたいときに洗面所を使っていたり、個室から出るときに着替えている人と鉢合わせてしまったりすると使いづらさを感じます。お子さんが小さい頃は気にならなくても、成長後は嫌がることもあるでしょう。脱衣所等の近くに配置した場合でも、ドアの位置には配慮が必要になります。
トイレの間取りのポイント5つ
最後に、トイレの間取りで検討すべきポイント5つを解説します。
・数
間取りを検討する際は、まずトイレの設置数を決めておくようにしましょう。家族の人数が多い場合や、2階建て以上の住宅では、複数設置した方が不便さやストレスを軽減できます。とくに、高齢の方や小さいお子さんがいるご家庭では、夜中にトイレに行くときなど、距離が遠かったり、階段を上り下りしたりすると、安全面で不安があります。また、朝の登校時や出勤時の混雑回避にも役立ちます。
・広さ
広さは、1畳以上を目安にして下さい。1畳を基準に、手洗い器や収納、カウンターなどを設けたいときは、幅や奥行きを広げていくと良いでしょう。また、どうしても広さが確保できない場合は、コンパクトな便器を選ぶ方法があります。省スペースのタンクレストイレがおすすめです。スタイリッシュなデザインなので、おしゃれな空間になります。
・ドア位置
トイレの間取りを決める際には、ドア位置に配慮が必要です。例えばリビングや玄関の近くに設ける場合、中が丸見えにならない位置に設置しましょう。リビングと直結させる場合には、目隠しに袖壁を建てる方法も有効です。丸見えにならない工夫をすることで、音やニオイの軽減にもつながります。
・掃除のしやすさ
トイレは、掃除がしやすいことも大切です。毎日使う場所なので、清潔で快適に保ちたいとは思うものの、掃除はラクな方が良いでしょう。床材や壁紙は、水拭きなどができる、お手入れしやすい素材を選ぶようにして下さい。床材では、タイルやクッションフロアは耐水性が高いので掃除しやすく、黄ばみや臭いの発生を抑えられます。壁紙は、ビニールクロスや汚れ防止機能、消臭機能付きの製品を選ぶようにして下さい。また、空間に余裕がないと、掃除がしにくくなります。便器と壁との幅が狭いと、掃除の際に置くまで手が届きません。掃除のしやすさからも、幅や広さには余裕があることが望ましいと言えます。
・バリアフリー
先々のことを考えて、バリアフリー対応にしておくと安心です。ゆとりのある幅や面積を確保し、手すりや引き戸の設置、入口付近を広めにとることなどが必要になります。便器も、細かい操作をしなくても、センサーで自動洗浄できたり、手をかざせば洗浄できたりという多機能タイプを選んでおくと、清潔に保ちやすくなります。内装には、汚れに強い材質や、滑りにくい材質、抗菌仕様などを選ぶと良いでしょう。予算に合わせて検討して下さい。
まとめ
今回は、トイレの間取り事例4選とそれぞれのメリット・デメリットをご紹介し、間取りの失敗例や検討すべきポイント5つを解説しました。トイレの使いやすさは、快適な暮らしには欠かせない要素となります。間取り事例には、リビングや玄関の近く、階段下などがあります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、優先順位をつけておきましょう。また、失敗例を参考にして頂き、検討すべきポイントについては、家族でよく話し合って決めるようにして下さい。