大開口窓のメリット・デメリットと断熱性を高める3つの方法

大開口窓がある家は、明るくて開放感があり、憧れる人は多いと思います。大きくておしゃれな窓は、注文住宅だからこそ取り入れられます。しかし、断熱性や防犯性などが心配、という声もあります。今回は、大開口窓のメリット・デメリットをご紹介し、断熱性を高める方法についても解説します。

大開口窓ってなに?メリット4つ

まず、大開口窓とはなにかご紹介し、取り入れるメリットについて解説します。

・大開口窓とは

サイズが大きい窓のことです。一般的な掃き出し窓よりも大きいものを指す場合が多いでしょう。建築用語では、室内外に向けて開いている、窓やドアのことを『開口」や、『開口部』と呼ぶことから、『大きく開いている窓』という意味で使われています。リビングに取り入れて、庭やウッドデッキ、テラスなどの外空間とつながる間取りが人気です。

・大開口窓のメリット4つ

●開放感が得られる

リビングなどに採用すると、広々とした開放感が得られます。外に段差のないウッドデッキやテラスを設ければ、空間に広がりが生まれ、お部屋が広く感じられます。外空間とのつながりとなり、部屋にいながらも自然との一体感を楽しめます。

●採光性が高い

採光性が高いこともメリットです。たくさんの光や風を採り入れられるため、明るく心地よい空間になります。日光を浴びると、免疫力アップにもつながると言われています。また、大きな窓は風通しがよく、短時間でも十分な換気ができます。カビの発生やシックハウス症候群などの予防にもなります。

●おしゃれでセンス良く見える

大きな窓があると、ほかの住宅とはひと味違い、おしゃれでセンス良く見えます。床から天井までの大きなガラスは、スタイリッシュで高級感があります。リゾートホテルのような、贅沢な雰囲気を満喫できるでしょう。また、窓から見える風景が、絵画のようにインテリアのアクセントになります。カーテンやブラインドなどのアイテムにもこだわりたいですね。

●眺望や景色が楽しめる

眺望や景色が楽しめることも魅力です。四季折々の自然の豊かな表情を、大パノラマで楽しめます。室内にいながらも、庭やテラスとつながりを感じられ、ゆったりとくつろいで過ごせます。また、美しい眺望が望めない立地でも、自分でベランダガーデンイングやイルミネーションを飾るなど、アイデアひとつで素敵に演出できます。

大開口窓のデメリットと対策

続いて、デメリットについてもしっかり見ておきましょう。事前にできる対策も合わせて解説します。

・断熱性や気密性が低くなりやすい

開口部が大きかったり、数が多かったりすると、断熱性や気密性が低くなりやすいため注意が必要です。建物において、熱の出入りが大きい箇所は、開口部です。壁や屋根には断熱材が入れられても、窓には入れることができません。夏は熱気が入り込み、冬は室内の暖かい空気が逃げやすくなります。高気密高断熱住宅は、外気の影響を受けにくく、室温をコントロールしやすいため、一年中快適に過ごせます。大開口窓を設ける場合は、断熱性の高いサッシやガラスを選んだり、開口部の数を減らしたりなど、設計時に対策しましょう。

・外からの視線が気になる

眺望や外の景色が楽しめる一方、外から視線が気になる場合もあります。昼間だけでなく、暗くなってからも、明るい室内はよく見えてしまいます。せっかく大開口窓を採用したのに、一日中カーテンやシャッターを閉めているのは勿体ないですよね。近隣や道路が近い場合、プライバシー確保のために、フェンスを建てたり、庭木を植えたりという工夫をしておきましょう。

・耐震面や防犯面に配慮

耐震面や防犯面には配慮が必要です。開口部を大きくすると、壁や柱の面積が減ります。無理な設計をしたり、建物のコーナー部分に窓を設置したりすると、耐震性が下がりやすいため、気を付けましょう。近年では様々な工法が開発され、柱や壁を減らしても、住宅の強度を保てるようになっています。設計の際は、工法や設計の工夫をして、耐震面に配慮して下さい。また、ガラスは壁に比べて強度が弱いため、防犯面や台風のときなどの安全面が心配という声もあります。防犯ガラスを選んだり、シャッターを付けたりしておくと安心です。

大開口窓でも断熱性を高める方法

最後に、大きな窓を採用しても、住宅の断熱性を高める方法を3つ解説します。

・樹脂サッシを採用する

断熱性を高めるには、樹脂サッシを採用するのがおすすめです。樹脂は熱を伝えにくい性質があり、熱の伝導率はアルミの1/1000程度と言われています。樹脂サッシは、一般的なアルミサッシより断熱性や気密性が高く、室内の温度を安定させたり、光熱費を抑えたりという効果が期待できます。また、結露の生じにくさや、防音性の高さも魅力です。アルミサッシに比べ、段差が少なくて掃除がしやすいこともメリットと言えるでしょう。一方、樹脂サッシのデメリットは、導入費用が高いことや、開け閉めが重いことです。大きなサイズになると、お子さんやお年寄りが開け閉めするのは難しいかもしれません。

・断熱性の高いガラスを選ぶ

サッシだけでなく、ガラスも断熱性の高いものを選びましょう。『ペアガラス』や『トリプルガラス』など、2枚、3枚と重ねた複層ガラスがおすすめです。ガラスの間に空気の層があり、冷気の侵入や、熱が逃げるのを防ぐ構造になっています。さらに高気密・高断熱なタイプは、『Low-E(ローイー)複層ガラス』です。Low-Eガラスとは、ガラスの表面にLow-E膜という、特殊な金属の膜をコーティングしたガラスのことです。熱を吸収・反射する特性を持ち、冬に暖房効果を高めたり、夏の暑さや太陽の熱を和らげたりする効果があります。断熱タイプと遮熱タイプがあるため、立地や方角などに合わせて選ぶようにして下さい。

・庇(ひさし)や軒(のき)を設置する

庇や軒を設ければ、直射日光や風雨を遮る役割を果たしてくれます。断熱性の高いサッシやガラスを使っていても、直射日光があたると効果が低くなってしまいます。庇や軒を設置することで、断熱性が高まるだけでなく、窓の汚れや劣化が軽減できます。テラスやバルコニーを設ける場合は、屋根付きにするのも効果的です。屋根が直射日光や風雨から窓を守り、断熱性を高めてくれます。また、庭に植栽をして、自然に断熱する方法もあります。落葉樹なら、夏には葉が生い茂って直射日光を遮り、冬には葉が落ちて、ぽかぽかとした陽射しを室内に取り込めます。

まとめ

今回は、大開口窓のメリット・デメリットをご紹介し、断熱性を高める方法についても解説しました。メリットは、開放感が得られることや採光性が高いこと、お部屋がおしゃれに見えること、景色を楽しめることなどがあります。一方デメリットは、断熱性や気密性が低くなりやすいこと、外からの視線が気になる場合があること、耐震面や防犯面で注意が必要なことなどです。また、断熱性を高めるには、樹脂サッシや複層ガラスなどを採用したり、庇や屋根を設置したり、植栽で自然に断熱したりといった方法が有効です。大開口窓を取り入れる際は、設計時にデメリットへの対策や工夫をしておくことが大切です。