リビング階段のメリット・デメリットと後悔しないためのコツ

リビング階段は、おしゃれで、家族のコミュニケーションが取りやすいことからも人気の間取りです。しかし、リビングが寒くならないかと心配する声もあります。今回は、リビング階段のメリット・デメリットをご紹介し、後悔しないためのコツを解説します。ぜひ、取り入れる際の参考にして下さい。

リビング階段を設置するメリット

まず、リビング階段とは何かをご紹介し、設置するメリットを見ていきましょう。

・リビング階段とは?

リビングの室内に階段を設けた間取りです。リビングイン階段とも呼ばれています。最大の特徴は、上階に行く際、必ずリビングを通ることです。以前は、階段は廊下にあるのが一般的でした。しかし、近年は限られた面積を有効利用したい、家族間のコミュニケーションを重視したいなどの要望から、リビング階段が注目されています。

・家族のコミュニケーションが取りやすい

階段がリビングにあることで、家族のコミュニケーションが取りやすくなります。リビングが中継地点のようになり、顔を合わせたり、話したりする機会が増えるでしょう。また、1階から2階へ、2階から1階への声がけもしやすく、わざわざ階段を上り下りしなくても、声が届きやすいこともメリットです。例えば、食事の時間に、2階で遊んでいるお子さんを呼ぶ際にも便利です。

・家族の外出や帰宅に気付きやすい

家族の外出や帰宅に気付きやすいこともメリットです。上階に個室があると、外出時や帰宅時に、必ずリビングを通過します。お子さんが思春期から大人になる年齢では、会話が減ってしまう場合もあります。リビング階段の間取りなら、家族がそれぞれ忙しくしていても、お互いの気配を感じられ、体調などのささいな変化にも気付きやすくなります。また、帰りが遅い、朝が早いといった家族にも気を配りやすい間取りです。

・階段下が活用できる

階段下が様々な用途に活用できることも魅力です。活用術には次のような方法があります。

●収納

もっともポピュラーなのは、階段下を収納として活用する方法です。リビングに収納が少ないと、物が溢れてごちゃごちゃした印象になってしまいます。階段下に収納スペースを作れば、すっきり見せることができます。掃除機や季節家電などをしまっておけば、使いたい時に取り出しやすく、しまう際も手間がかかりません。

●家事・ワークスペース

階段下は、ワークスペースや家事スペースにも適しています。デスクを設置して仕事場として使ったり、洗濯物畳みやアイロンがけなどの家事をしたり、作業スペースとして活用できます。適度なおこもり感があり、落ち着ける空間になります。

●スタディスペースや書斎

デスクを設置して、お子さんのスタディスペースや書斎として活用する方法もあります。お子さんに学習習慣が着くまでは、目の届きやすい、リビング学習が望ましいと言われています。ダイニングテーブルとは別にデスクを設けると、食事に影響しません。階段下にスタディスペースや書斎を設ける際、高さが十分でない場合は、床を掘り下げてほりごたつのように使うと良いでしょう。

●キッズスペース

階段下は、キッズスペースとして使うのもおすすめです。秘密基地のようなワクワク感があります。階段下にキッズスペースを作る際の注意点は、暗くならないようにすることです。ダウンライトを追加したり、壁紙にアクセントクロスを使ったり、お子さんが楽しく過ごせる工夫をして下さい。お子さんが成長後には、本や漫画などを読むための、リーディングヌックとして利用するのもおすすめです。

リビング階段のデメリットと対策

次に、リビング階段のデメリットと、家づくりの際にできる対策を合わせて解説します。

・冷暖房効率が悪くなりやすい

階段を通じて他の階まで空気が流れ、冷暖房効率が悪くなりやすいことはデメリットです。とくに、冬にリビングが寒くないかと心配する人は多いでしょう。暖かい空気は上にいき、冷たい空気は下に溜まる性質があります。そのため、エアコンでリビングを暖めても、部屋がなかなか暖まらない場合があります。

〈対策〉

サーキュレーターや空気清浄機を利用して空気をかきまぜてあげると、お部屋全体の温度のムラが軽減できます。また、床暖房を取り入れて、寒くなりがちな下から暖めるのもおすすめです。冷たい空気が下に溜まることを防ぎます。また、高断熱・高気密住宅にしたり、全館空調を取り入れたりなどの対策も有効です。

・音やニオイが他の階に伝わりやすい

リビングのテレビの音や、料理のニオイなどが、階段を通じて上階に伝わりやすいこともデメリットです。上階の自室で勉強や仕事をしている時、リビングから楽しそうな声が聞こえて来ると集中できません。また、ニオイも伝わりやすく、揚げ物や焼き肉などのニオイが、家中に充満してしまうのも困ります。寝る時間や帰宅時間など、生活リズムが違う場合にも、お互いに配慮が必要です。

〈対策〉

階段に扉を付けたり、テレビやキッチンの配置を階段から遠い場所にしたりすると、音やニオイが他の階に漏れることを軽減できます。しかし、音はテレビから出るだけではありません。笑い声やペットの鳴き声も響きやすいので注意が必要です。家族の団らんスペースやペットスペースも、階段付近にしない方が望ましいでしょう。また、ニオイについては、性能の良い換気扇を取り入れることも有効です。

・来客時にリビングを通りづらい

来客時にリビングを通りづらいこともデメリットです。上階の自室から出掛ける際、お客さんが来ていても、リビングを通らねば玄関に行けません。反対に、お子さんが上階の自室に友達を招く際には、必ずリビングを通過することになります。リビングが散らかっていたり、他の家族が食事をしていたりすると、気まずい思いをする場合もあります。

〈対策〉

階段をリビングに入ってすぐの位置にすれば、上階からもスムーズに玄関に出られます。階段が奥にある間取りだと、リビングを横断することになるため注意して下さい。ほとんど来客がないという場合は問題になりませんが、お客さんを呼ぶのが好きな人は、家族が不便な思いをしないよう、よく話し合っておくことが大切です。

リビング階段で後悔しないためのコツ3つ

最後に、後悔しないためのコツを3つ解説します。

・高断熱・高気密住宅にする

高断熱・高気密住宅にすることで、快適な室温を保ちやすくなります。リビングに階段を設けると、他の階まで空気が流れてしまい、冷暖房効率が悪くなりやすいというデメリットがありました。また、窓やサッシから空気が逃げ、外気が入り込んでくることでも、冷暖房効率は下がってしまいます。窓にペアガラスやトリプルガラスを使ったり、樹脂製のサッシを使ったりなど、高気密・高断熱住宅にして、冷暖房効率をアップさせましょう。

・階段の入口に扉などを付ける

階段の入口に扉などを付けることで、空気や音、ニオイなどが他の階に漏れることを防ぎます。扉の代わりになるものには、次のような種類があります。間取りや予算に合わせて選びましょう。

●引き戸

引き戸タイプの扉は、閉める必要のない時に、開けておけることが魅力です。冷暖房効率をアップでき、音やニオイ漏れを防げます。扉の一部にアクリルやガラスが入っている製品を選ぶことで、階段付近で衝突したり、突然開いてびっくりしたりを防ぎます。

●ロールスクリーン

ロールスクリーンは、使わないときは上部に巻き上げておけるので、邪魔になりません。デザイン性の高いものも多く、手軽に取り入れやすいのがメリットです。生地によっては、防音や断熱機能を持つ製品もあります。しかし、両サイドにすき間ができてしまうため、引き戸より密閉度は下がります。後から取付ける場合や、スペースが狭い場合などに適しています。

●カーテン

カーテンもデザインや機能のバリエーションが豊富で、防音や断熱機能付きの製品があります。誰でも開け閉めしやすいことや、クリーニングなどのお手入れがしやすいことが魅力です。幅や丈を大き目にすれば、すき間風を防ぐことができます。しかし、階段が狭い場合は、カーテンを畳んだ時に、邪魔に感じるかもしれません。

・床暖房や全館空調システムを導入する

リビング階段を取り入れるなら、寒さ対策は欠かせません。本格的な寒さ対策には、床暖房や全館空調システムがおすすめです。寒い時期には、床暖房を使ってリビングを暖めることで、足元に冷えだまりを作りません。また、全館空調システムとは、家の中の空気を循環させて家全体を適温に保つ冷暖システムのことです。高気密・高断熱住宅との相性が良く、外気の影響を受けにくく、一年中、室温が一定の快適な空間で過ごせるようになります。

まとめ

今回は、リビング階段のメリット・デメリットをご紹介し、後悔しないためのコツも解説しました。メリットは、家族とのコミュニケーションが取りやすいこと、家族の外出や帰宅に気付きやすいこと、階段下を活用できることなどです。一方デメリットは、冷暖房効率が悪くなりやすかったり、音やニオイが他の階に伝わりやすかったり、来客時に通りづらかったりなどです。また、リビング階段で後悔しないためのコツは、高気密・高断熱住宅にすること、階段の入口に扉などを付けること、床暖房や全館空調を取り入れることの3つです。ぜひ、家づくりの際に参考にしてみて下さい。