知っておきたい間取り図の略語10選と住宅の建築用語を解説

住宅の間取り図には、ローマ字の略語や建築用語がたくさん書かれています。間取りは、何度も打ち合わせを重ねて作り上げるので、しっかり確認したいですよね。しかし、略語や専門的な用語が良く分からない、という人も多いでしょう。今回は、これだけは知っておきたい間取り図の略語10選と、住宅の建築用語について解説します。

間取り図と建築用語の基礎知識

まず、家づくりの際に押さえておきたい間取り図と建築用語の基礎知識を解説します。

・間取り図とは?平面図との違い

どちらも住宅を真上から見た図面です。同意義として使われることも多くあります。一般的に間取り図は、賃貸物件や建売物件の案内などで使われ、部屋の配置や広さ、動線などを確認するのに役立ちます。しかし、細かい寸法などは記載されていないことが多いでしょう。一方平面図は、部屋の配置や動線が分かるほか、詳細な寸法や仕上げの素材なども記載されています。注文住宅の家づくりでは、寸法の記載された平面図が使われます。ただ、間取り図という言葉も同意義として捉えられるため、どちらを使っても通じるでしょう。

・寸法はミリ単位で記載されている

間取り図には、寸法がミリ単位で記載されます。日常生活では、長さを表すときは、主にセンチやメートルを使うことが多いと思います。しかし、間取り図の寸法は、ミリで表記されます。例えば、10㎝は『100』、2mは『2000』となります。

・広さは坪、㎡、畳などで表記

面積や広さを表す単位には、いくつかの種類があります。敷地や建物の面積は、『坪』と『㎡』で表され、部屋の広さは、『㎡』や『畳/帖』で表記されます。それぞれの読み方や意味をご紹介します。

●坪(ツボ)

坪は、尺貫法による面積の単位で、1坪は約2畳分の広さです。㎡で表すと、1坪は約3.3㎡になります。現在では、不動産の取引や証明で『坪』の使用は禁止されています。しかし、間取りには㎡と坪を並べて表記することも多く、面積の単位として知っておきたい用語です。

●㎡(平方メートル、平米)

『㎡』は、平方メートルや平米(ヘイベイ)と読みます。会話の中では、主に『平米』が使われることが多いでしょう。

●畳/帖(ジョウ)

部屋の広さを間取りに記載する際に、畳何枚分かで表す場合もあります。和室の場合には『畳』が使われ、洋室の場合には『帖』という漢字が使われます。どちらも読み方は『ジョウ』です。1畳をほかの単位で表すと、約1.62㎡や0.5坪になります。

・間取り図は北向きを上にしていることが多い

間取りは、基本的に北を上にして書かれています。しかし、規則やルールではありません。地図と同様に、北を上にするのが慣習となっています。住宅の敷地はランダムな形で、ぴったり東西南北を向いているわけではありません。そのため、必ずしも北が真上にはなりませんが、北に近い方角を上にして作図されることが多いと言えます。

知っておきたい間取り図の略語10選

次に、間取りによく書かれている略語10選を解説します。

●LDK

リビングダイニングキッチンの略語です。Lはリビング、Dはダイニング、Kはキッチンの略で、3つがひと続きになっている間取りを表しています。また、LDはリビングとダイニングが一体になった間取り、DKはダイニングとキッチンが一体となった間取りを表します。

●WC

ウォータークローゼットを略したもので、トイレのことです。

●CL

クローゼットの略語です。分かりやすく、『クローゼット』とカタカナで表記されたり、『収納』と漢字で書かれたりする場合もあります。

●WIC

ウォークインクローゼットの略語です。WICは人気の間取りで、なかに入れる個室タイプのクローゼットを表し、出入り口は1つです。また、クローゼットには、出入口が2つあり、通り抜けられるタイプもあります。ウォークスルークローゼットと呼ばれ、WTCという略語が使われています。

●SC/SIC

SCはシューズクローゼット、SICはシューズインクローゼットの略です。シューズクローゼットはシューズクロークとも呼ばれ、玄関の近くに設置される収納を意味します。下駄箱より収納量が多く、靴だけでなく、外で使う物や道具の収納スペースとしても役立ちます。また、シューズインクローゼットは、なかに入れる個室タイプの玄関収納スペースです。

●SR/S/N

SRやSは、サービスルームの略語です。建築基準法では、継続的に使う部屋を『居室(きょしつ)』と呼びます。居室は、一定の基準以上の採光や換気が必要とされます。窓がなかったり、あっても小さかったりする場合には、サービスルームや納戸として利用されます。間取りには、『納戸』や、納戸を示す『N』と書かれる場合もあります。

●W/洗

洗濯機置き場を表す略語です。洗濯機は、英語ではWashing machine(ウォッシングマシーン)なので、Wと略されたり、分かりやすく『洗』と書かれたりします。防水パンや、洗濯機用の排水溝が設けられるなど、洗濯機を置くスペースを表します。

●R/冷

冷蔵庫置き場を表す略語です。冷蔵庫は英語ではRefrigerator(リフリジェレイター)という綴りのため、Rと略されています。冷蔵庫の近くには、専用の電源を設ける必要があります。また、今持っている冷蔵庫を新居でも使う場合は、扉の開き勝手に注意して配置を決めるようにして下さい。

●UB

ユニットバスの略語です。ユニットバスは和製英語で、浴室の壁、床、天井、浴槽などがセットになっています。工場でパーツを製造し、現場では組み立てるだけなので、古くからある在来工法に比べて施工時間が大幅に短縮されます。また、防水性が高いというメリットもあります。

●CB

外構で使われることが多い、コンクリートブロックの略語です。例えば、図面上に『CB t120(+600)』と表記されている場合、素材はコンクリートブロックで、厚みが120mm、高さが60cmという意味です。

知っておきたい住宅の建築用語5選

続いて、家づくりの打ち合わせで出てきたり、間取りに記載されたりしている建築用語のうち、良く使われる5つを厳選して解説します。

●建ぺい率(けんぺいりつ)

建ぺい率とは、敷地のなかで建物を建てられる比率のことで、パーセントで表します。建物の採光や通風を確保するために、都市計画で用途地域ごとに定められています。例えば、建ぺい率が40%と定められている場合、100㎡の土地では、建物を建てられるのは40㎡以内の広さです。残りの60㎡は、庭や駐車場など、建物以外のスペースに利用します。また、建ぺい率は、建物を真上から見た時の面積で計算するため、2階以上の建物では、もっとも広い階の面積が採用されます。

●延床面積(のべゆかめんせき)

延床面積とは、建物の床面積の合計のことです。3階建ての場合、1~3階の床面積を全て足します。床面積は、一戸建ての場合、壁の中心線で囲まれた部分で算出します。また、延床面積には含まなくて良い部分もあります。例えば、吹き抜けの上階部分や出窓です。また、バルコニーや小屋裏収納、ロフト、地下、ビルトインガレージなども、一定の条件を満たせば延床面積に含まずに済み、その分ほかの間取りを広くすることができます。

●容積率(ようせきりつ)

容積率は、その敷地に建てられる建物の大きさ(延床面積)を制限します。建ぺい率と同様に、都市計画で用途地域ごとに定められています。同じ広さの敷地でも、容積率が異なれば、建てられる建物の大きさが変わります。計算式は、『容積率=延床面積÷敷地面積×100』となり、パーセントで表します。容積率が大きい方が、大きな建物を建てられ、ゆったりした間取りになります。また、建ぺい率と容積率は、土地や住宅の条件によって緩和される場合もあるため、確認が必要です。

●北側斜線(きたがわしゃせん)

北側斜線は、住居専用地域における、高さに対する制限です。北側にある隣地の日当たりを確保するために、建築基準法で定められています。隣地からすれば、南側に高い建物が建ち、全く日が当たらなくなったら困りますよね。住居専用地域では、家を建てる際、お互いに日照時間が確保できるように計算し、必要があれば北側の屋根に傾斜を付けます。また、北側が道路だったり、北側の土地が1m以上高かったりする場合など、制限が緩和されるケースもあります。

●外構(がいこう)

外構という言葉も、家づくりではよく使われています。外構とは、敷地内で、住宅の外に作る構造物のことを指します。例えば、門扉やポスト、フェンス、玄関アプローチ、植栽(グリーン)、カーポートなどがあります。外構は、外観の印象を決めるだけでなく、外部からの視線を遮ってプライバシーを確保したり、防犯機能を果たしたり、重要な役割を担います。しかし、間取りや内装のことで頭がいっぱいになり、外構がおろそかになると後悔につながります。統一感のあるおしゃれな家を建てたいなら、外構にもこだわった家づくりをしましょう。

まとめ

今回は、家づくりの際に知っておきたい、間取り図の略語10選と住宅の建築用語5選を解説しました。住宅の間取り図や平面図には、ローマ字の略語や聞きなれない建築用語が書かれています。分からない用語は聞いて確認するのが一番ですが、ある程度知っていれば、打ち合わせがスムーズになります。よく使われる略語や建築用語を知っておけば、間取りを見て完成をイメージしやすくなります。ぜひ、略語や用語を理解して、家づくりを楽しんで下さいね。