バラの魅力を取り入れるエレガントな暮らし 香り、美しさ、そして効能

美しさの象徴にもなっているバラの花。なぜ私たちはバラに魅了され続けるのでしょうか? 花の女王と呼ばれ、香りの世界でも女王とされているバラの花は、その美しさから歴史的なエピソードと伝説も数多く残っています。古代エジプトではバラは美と愛の象徴として崇拝され、王室の庭園に栽培されていました。また、古代ギリシャやローマでもバラはとても重要な花でありギリシャ神話や伝説に登場しています。優しく、このうえもなく甘い芳香には価値のある薬理作用があり、古代文明において薬と香料に珍重されました。その伝統は今もなお受け継がれています。

時空を超えて愛され続けるバラの奥深い魅力を知り、暮らしにエレガントさをプラスしてみませんか?

今回は、私たちを虜にする優雅な美しさ、バラの花の香りがもたらす癒しや部屋での使い方、若返りの水とも言われる奇跡の化粧水のレシピなどをご紹介します。

バラが生んだ伝説

【愛と美の女神アフロディーテの悲恋話】

美と愛の女神アフロディーテは美少年のアドニスに魅了され心を奪われます。お互いが惹かれあい恋に落ちるのですが、アドニスは狩の最中に大きな猪に襲われ、その時にバラの茨に刺されて命を落とします。流れるアドニスの血からバラが咲き、その美しさと繊細さからアドニスの愛と美の象徴となりました。死を嘆くアフロディーテは自らの血液でそのバラの花を染めました。それ以来、バラの花にはアフロディーテの愛と悲しみが込められていると言われています。

【クレオパトラが愛したバラ】

絶世の美女として知られるクレオパトラ。彼女はバラに特別な愛着を抱いていました。バラの花びらで床を敷き詰めた部屋で会食したり、寝室に70cmほどの高さまで花びらを敷き、バラのお風呂で陶酔していたと言われています。また百発百中でメンズたちを虜にしたバラの香りの演出にもあっぱれです。クレオパトラとバラの関係は彼女の魅力と情熱、そしてバラの花の美しさと豪華さ贅沢さを知ることができる伝説です。

【ローマ帝国の暴君ネロのバラへの執着】

ローマ帝国の第5代皇帝で、即位後に暴君として知られるようになった皇帝ネロは、異常なまでにバラを愛し、その美しさに執着しました。バラのお風呂に入り、バラの香油を体に塗り、料理にまでバラを使っていたとのこと。またパーティーの際にもバラの花びらを敷きつめ、その贅沢さと優雅さを追求したのです。バラの栽培に多額な費用をかけ国家財政を浪費し、庭園を巨大なバラの迷宮に変え奢りと独裁的な支配をなし、民衆の苦しみを深めました。 バラは長い歴史の中で多くの文化や宗教に影響を与えた特別なものでもありました。その美しさとシンボル性は人々の心を魅了し続けています。

バラの花で彩る優雅な部屋

私は、友人の家に立ち寄る時、美しいバラの花を1本選び持っていくようにしています。玄関先で失礼するので、「これ飾ってね」と一言添えて渡しています。

バラは存在感があるので、部屋に1輪飾るだけでも華やかになりますし、何より美しいバラを見ていると誰もが幸せな気持ちになりますよね?

また、バラが持つ甘く優雅な香りは女性性を目覚めさせ、多幸感を与えてくれます。リラックスして心地よい気分に浸れるひとときにもなりますので、部屋にバラを飾ることをおすすめします。バラには様々な色や品種があるので、自分の好みや部屋のテーマに合ったバラを探してみてください。鮮やかな色のバラは活気と華やかさを演出し、淡い色のバラは優雅さと穏やかさをもたらします。

美しさ、香り、愛や美、情熱、優雅さというシンボル、それらが組み合わさると、豊かさや癒しを与えてくれ、自分自身に同じように引き寄せることができると思うのです。バラの魔力とでも言うのでしょうか? 自分自身や周りの人への愛情や美意識を高め、心の豊かさを感じることができる部屋にしてみませんか?

バラの芳香とその魅力でエレガントな空間作り

甘く華やかで優雅な香りであるバラの花から抽出されるローズ精油は、フローラル調のエレガントな香りから「香りの女王」と呼ばれています。ローズ精油には2つ抽出方法があり水蒸気蒸留法の「ローズオットー」と揮発性有機溶剤抽出法の「ローズアブソリュート」です。ローズオットーはバラの女王と言われるダマスクローズが使用され、たった1滴(0.05ml)におよそ50本から60本分のバラの花びらが必要とされています。収油率がとても低いため大変希少性があり高価な精油ですが、フレッシュで軽やかな上品さを持つ香りは幸福感を高めてくれます。ローズアブソリュートはセンティフォリアが使用され、茶褐色で粘り気のある精油で、よりバラの濃厚でフローラルな香りが楽しめます。

どちらもエレガントな芳香で、気持ちを豊かにしてくれます。ローズ精油は香りがとても強いので、1滴だけでも十分広がります。高価なオイルなので、特別な時間を過ごしたい時、自分へのご褒美として過ごすひと時にお部屋で使ってみるのもいいかもしれませんね。

リラックス効果が高く、優雅な香りは幸せホルモンであるオキシトシンを分泌し、多幸感をもたらします。またポジティブな気持ちにしてくれるので、自己肯定感を高めたい時、テンションをあげたい時にも香りをそばにおいてみてください。

私のおすすめは、贅沢ですが、お風呂に直接1滴垂らして入浴する事、60本分の花びらが浮いているくらい、ローズの香りに満たされクレオパトラにでもなったような気分に浸れます(笑) 部屋での芳香浴(ディフューザーを使用)もおすすめ。特にオレンジやマンダリンなどの柑橘系の精油との相性も良いので、お試しください。心が軽くなりイライラも落ち着き優しい気持ちに導いてくれます。心身ともに疲弊している時はローズとサンダルウッドのブレンドで深呼吸をしてみましょう。深いリラクゼーションに導いてくれるでしょう。 ローズの香る部屋、なんて贅沢なんでしょう!

ローズの効能と健康への影響

中世ヨーロッパでは「Rose of Youth」の伝説が広がりました。これは、バラの花びらを摂取することで若返りや不老不死の力を得ることができるというもの。ローズはその美しさや香り、そして生命力を象徴する花として考えられおり花びらには特別な力があると信じ、花びらを食べたりローズ精油やローズウォーターを使用し、Rose of Youth(若返りや美しさ)の効果を追求したそうです。

さて、アロマテラピーのローズ精油の健康への影響ですが、優美で華やかな香りはネガティブな感情を和らげ、心を軽くして不安感や緊張感を緩めてくれます。また自律神経のバランスを整えるよう働きかけます。リラクゼーションのための香りと言ってもいいでしょう。 またローズ精油は、女性に必要な三大オイルの一つで、女性の様々な不調にとても役立ちます。女性ホルモンのバランスを整える作用があるとされ、月経不順やP M S、更年期における不調、産後の精神状態などに優しくアプローチし、和らげてくれるでしょう。また、美容面でもアンチエイジングが期待出来る優れものです。次の章では奇跡の「若返りの水」と言われるハンガリーウォーターについてご紹介します。

バラの美容効果とスキンケアの活用法 若返りの水、ハンガリーウォーター

市販のスキンケア用品にもローズはよく使用されています。抗炎症作用や細胞成長促進作用があることから、お肌の炎症を鎮めたり、ターンオーバーを促しアンチエイジングにも有効です。私も長年かかすことができない「若返りの水」と呼ばれるハンガリーウォーター。これは14世紀のハンガリーの女王エリザベートが美しさと若さを保つために愛用していた美容水です。これを使用し続けたエリザベートはどんどん若返り70代の時、40歳も年下のポーランドの王様にプロポーズされたという話もあるくらいです。「どんだけー!」と言いたくなりますね。「若返りの水」と呼ばれるのもうなずけます。興味がある方はアロマ精油を使って作ってみてください。

【レシピ】

ローズオットー精油・・・4滴
ローズマリー精油・・・6滴
ペパーミント精油・・・4滴
オレンジ精油・・・2滴
レモン精油・・・2滴
ウォッカ(40度)・・・15ml
無水エタノール・・・9ml
精製水・・・6ml

【作り方】

遮光瓶にウォッカ、無水エタノールを計り入れ、5種類の精油を全て加える。瓶をよく振り混ぜ合わせる。最後に精製水を加え再びよく振り香りを混ぜ合わせます。

この原液を2ヶ月ほど熟成させます。その間、瓶をよく振ることが大事です。できたら最初の2週間は毎日振ることで熟成中の全ての成分が一つにまとまります。その後は気づいた時に瓶をふりましょう。2ヶ月経ったら、原液と精製水を1:9の割合で化粧水を作ります。原液10mlだったら精製水90mlで100ml分の化粧水が出来上がります。うちのお教室でも大人気のハンガリーウォーター。とにかく香りがよく幸せな気持ちになれるし、惜しみなく使えるので手放せないと言う生徒さんも大勢いらっしゃいます。

私は、化粧水としてももちろんですが、原液を香水として使うこともあります。

ローズの良さがギュッと濃縮されたハンガリーウォーター、いかがですか?

まとめ

美しさ、可憐さ、優雅さ、上品さ、情熱などバラを表現する言葉はたくさんあります。四季咲きのバラの季節が終わりさびしい気がしますが、これからは部屋にバラの花を飾ったり、香りを楽しみながらバラの魅力を暮らしに取り入れてみてはいかがでしょうか? 

心を花開かせる。

魂に香りを纏う。 バラの花が起こしてくれる奇跡が暮らしをよりエレガントにしてくれると信じて、今回はバラを取り上げてみました。

プロフィール

【荒石由紀恵】

中央大学を卒業後、山口放送に入社し、局アナウンサーとして勤務する。 T V番組内でアロマテラピーを取材したのをきっかけに学び始める。退社後、アロマが盛んなオーストラリアへ留学。生活の中で身近に使われるアロマに触れその魅力にはまり、帰国後に認定資格を取得する。1999年よりアロマ講師として活動を開始し2004年には、「心と身体の真の癒し」をコンセプトにした専門店「AROMADROPS」をオープン。介護施設でのアロマケア、クリニックでの産後ケアにも携わりセラピストとしても活動している。アロマテラピーの可能性を広げるため多方面で香りと他業種のコラボレーションを仕掛けている。

◇アロマドロップス http://aromadrops.net/