無垢フローリングとは?メリット・デメリットとお手入れ方法
無垢材のフローリングを使っている家は、おしゃれでセンスが良いというイメージですよね。ナチュラル志向で素材にこだわっている印象を受けます。しかし、誰にでも向いているというわけではありません。魅力だけで選ぶと後悔する場合もあります。今回は、無垢フローリングとはどのようなものか、メリット・デメリットをご紹介し、お手入れ方法も解説します。
無垢フローリングとは?魅力やメリットを知りたい!
家づくりの際に耳にする、無垢フローリングとはどのようなものでしょうか。魅力やメリットを解説します。
・無垢フローリングとは?
無垢フローリングとは、無垢材で作られた床材です。天然の木から切り出した一枚板で、様々な樹種から作られます。床材では、スギやヒノキ、パインやオークなどが人気です。自然のものなので、ひとつひとつ違う表情をもち、木の質感や風合いを楽しめます。
・無垢フローリングの魅力とメリット
まず、無垢フローリングの魅力とメリットを見ていきましょう。
●自然素材
接着剤などの化学物質が使われておらず、体にも環境にも優しい自然素材です。住まいの中で、もっとも肌に触れる部材は床材です。肌に触れるものが自然素材だと、お子さんを育てる空間としても安心できます。
●調湿作用がある
無垢材は、湿度を調節できる調湿作用をもっています。空気中の水分を吸ったり吐いたりしてお部屋を快適に保ってくれます。湿気の多い時期でも表面がサラッとしていて、ベタベタしません。
●足裏の肌触りがよく、ぬくもりが感じられる
合板とは違い、木の柔らかさやぬくもりが感じられます。足裏の肌触りが気持ちよく、素足で過ごしたくなるでしょう。
●香りがよく、リラックスできる
木の香りがよく、森の中にいるようなリラックス感を味わえます。とくにスギ、ヒノキなど針葉樹の無垢フローリングは香りを有し、築5年を過ぎても楽しめる場合があります。
●おしゃれで味わいがある
1枚ずつ異なる木目が美しく、自然の風合いもおしゃれで味わいが感じられます。無垢材の表情や色ムラを活かした、モダンで個性的な空間が演出できます。
●経年変化を楽しめる
無垢フローリングは、5年10年と使っていると色味が変化していきます。紫外線による日焼けや酸化が原因で、樹種によって色が濃くなるものもあれば、黄色っぽくなったり、白っぽくなったりもします。また、年数を重ねてできた味わいのあるキズや、自然なツヤなど、経年変化を楽しめます。
無垢フローリングのデメリットと向いていない人
次に、無垢フローリングのデメリットを見ていきましょう。長く愛着をもつためには、メリットだけでなく、デメリットもしっかり理解した上で採用することが大切です。また、向いていない人についても解説します。
●費用が高め
無垢フローリングは、他の床材や他のフローリング材と比較して、費用が高めです。均一に大量生産できる製品とは異なり、価格も施工費も高くなる傾向にあります。しかし、安く済ませたいからと極端に安い製品を選ぶと、品質が悪かったり、寸法がバラバラだったりして後悔することがあるようです。高いから良いものとは限りませんが、カタログやサンプル、実績などでしっかりと品質を確認して選ぶようにしましょう。
⚫︎すき間ができて、ホコリが詰まりやすい
無垢材は調湿作用をもっています。湿気を吸ったり吐いたりして快適にしてくれる反面、水分を吸うことで膨張したり、乾いて縮んだりと収縮が起こります。とくに冬などの乾燥しやすい時期には、無垢フローリングは縮んですき間ができ、キシキシという床鳴りが発生してしまう場合もあります。また、すき間にはホコリやゴミが詰まりやすく、掃除に手間がかかってしまうでしょう。
●反ったり割れたりすることもある
無垢材が膨張と収縮を繰り返すうちに、反ったり割れたりすることもあります。室内の湿度によっては大きく反り返り、つなぎ目の部分が浮いてしまうことも。浮いた部分が擦れ、いい味が出る程度なら問題ありません。しかし、無垢材が予想以上に盛り上がってしまい、つまずいたり、ドアが開きづらくなったりなどの支障が出たときは、補修が必要になります。
●水に弱く、シミができやすい
無垢フローリングに水分は厳禁です。濡れた状態が続くとシミや変色、変形の原因にもなります。飲み物をこぼしてそのままにしたり、濡れたものを置きっぱなしにしたりすると、シミができてしまいます。また、水分だけでなく、油汚れやカビも放っておくと黒ずんでいきます。無垢フローリングは、濡れたり汚れたりしたら放置せず、すぐに拭きとることが大切です。
●定期的なお手入れが必要
無垢フローリングは、定期的なお手入れで美しさを保ち、長く魅力を楽しめる床材です。定期的に、オイルやワックスを塗るなどのメンテナンスが必要です。また、日常でも水分や汚れがしみ込まないように、気を付けておかねばなりません。
・向いていないのはどんな人?
無垢フローリングは、本物の木ならではの質感や風合い、調湿作用を有し、触り心地や香りが良いなどの多くのメリットをもちます。しかし、自然素材だからこそ、デメリットもあります。使いやすくて手間のかからない、誰にでもおすすめできる素材というわけではありません。次のような人には向いていないでしょう。
●床材にあまりお金をかけたくない
●フローリングのすき間が気になってしまう
●定期的なお手入れはしたくない
●経年変化にガッカリしてしまいそう
●室内でペットを飼う予定で、シミやキズが気になりそうな人
ペットのオシッコやウンチが無垢フローリングに付くと、シミの原因になってしまいます。また、ペットの爪によって、たくさんのキズも付いてしまうでしょう。シミやキズができても、味わいや思い出と感じられる人にはおすすめできますが、気になりそうな人には向いていません。
3,無垢フローリングのお手入れ方法
最後に、無垢フローリングのお手入れ方法を解説します。お手入れ方法は、無垢材の仕上げの種類によって変わります。仕上げの種類と、それぞれの方法をご紹介します。
・無垢フローリングの仕上げの種類
無垢フローリングには、無塗装タイプと塗装済みタイプがあります。塗装済みタイプには、アンティーク風やヴィンテージ加工をした製品などがあり、そのまま施工できます。無塗装タイプは、現場で塗装仕上げをするのが一般的です。塗装の種類は、主に次の2種類です。
●自然塗装(オイル塗装)
自然由来のオイルを使った仕上げのことです。木の表面に塗って内部に浸透させることで、木の質感を生かしながら、撥水性をもたせて汚れにくくします。無垢材の風合いや調湿性を維持できることが魅力です。オイルのほかには蜜蝋ワックスを塗る方法もあります。半固形で塗りやすいため、セルフメンテナンスにも向いています。一方で、効果の持続性は短く、数か月に一度ワックスを塗り直すなどのメンテナンスが必要です。また、キズや汚れも付きやすいことがデメリットです。
●ウレタン塗装
ポリウレタンを主成分とした塗料で、無垢材の表面をコーティングし、硬い膜をつくります。水や汚れに強く、長期間効果が続く耐久性も魅力です。定期的にワックスを塗るなどの手間もいりません。しかし、コーティングによって表面にツヤが出て、無垢材の風合いが変ってしまいます。見た目には、好き嫌いが出るでしょう。また、コーティングの補修作業が発生した場合、素人では難しく、業者への依頼が必要になります。
・自然塗装(オイル塗装)仕上げのお手入れ方法
自然塗装が施された無垢フローリングのお手入れ方法を、普段と大掃除とに分けて解説します。
●普段のお手入れ
普段のお手入れは、掃除機と乾拭きが基本です。手軽に掃除したいときは、ドライタイプのモップでも良いでしょう。木目に沿って拭くのがコツです。また、無垢フローリングのすき間のゴミも時々取り除くようにして下さい。爪楊枝などを使うと良いでしょう。長期間放置しておくと、固まって取りづらくなる上、すき間が広がってしまう原因にもなります。
●大掃除でのお手入れ
掃除機をかけた後、専用のワックスクリーナー等を利用して汚れを拭き取って下さい。最後は乾いた雑巾で乾拭きしましょう。また、薬品の付いた化学モップは、シミや変色の原因になるので使用を避けて下さい。
・ウレタン塗装仕上げのお手入れ方法
次に、ウレタン塗装が施された無垢フローリングのお手入れ方法も解説します。
●普段のお手入れ
自然塗装仕上げと同様に、掃除機をかけて、乾いた雑巾で乾拭きをして下さい。コーティングされていても、頻繁に水拭きをするのはおすすめできません。
●大掃除でのお手入れ
掃除機をかけた後、固く絞って水気を切った雑巾で拭いて下さい。水拭きでも落ちない汚れは、中性洗剤を薄めたものを含ませ、固く絞って拭きましょう。最後は乾拭きを忘れずにして下さい。
まとめ
今回は、無垢フローリングとはどのようなものか、メリット・デメリットをご紹介し、仕上げの種類とお手入れ方法についても解説しました。おしゃれでナチュラルなだけでなく、調湿作用があって体に優しい無垢フローリング。一方で、自然素材だからこそ、反ったり割れたり、すき間ができやすかったりなどのデメリットもあります。デメリットを理解した上で、経年変化や手間も楽しめそうだと思った人は、ぜひ検討してみて下さい。