香りで満たす究極のバスタイム お風呂でストレスリセット
一日の終わりに湯船につかると、「あー、気持ちいい!」「ふー!」とつい声が出てしまいませんか?身体の緊張感がほぐれ、心も開放されるだけなく、疲れが癒されたり、質の良い睡眠をとれたり、肩こりや腰痛を和らげてくれたり、血行が促進されることによって多くの効果が期待出来ます。そこに心地よい香りが加わると、相乗効果でより自律神経も整いお風呂でのリラクゼーション効果も高まります。
今回は、自分へのご褒美の時間になる究極のバスタイムにするための香りの使い方をご紹介します。
香りでリラックスできるのはなぜ?
香りが脳へ伝わるまでの速さは0.2秒だと言われています。すごいスピードですよね。以前のコラムでも書きましたが、人間の持つ五感の中で「嗅覚」だけが本能や感情・記憶を司る大脳辺縁系にダイレクトに伝わリます。だから嗅覚は本能的で原始的な感覚と言われているのです。匂いを嗅ぐと香り成分が鼻の粘膜を通じてこの大脳辺縁系という場所に最初に伝達されます。そして私たちの脳は「快」「不快」を認識し、さらに自律神経をつかさどる「視床下部」へその情報が伝わり、心地よい香りだと副交感神経が優位になって心や身体をリラックスすることができます。 0.2秒、一瞬で気分を変えてしまう何にも惑わされない力が香りにはあるのです。
お風呂でアロマ精油を取り入れる
入浴時間にアロマ精油を使ったことがある。という方多いと思います。あるアンケート調査の報告で、お風呂でアロマ精油を使う目的として、1位リラックスのため、2位リフレッシュのため、3位ストレス解消のため。とありました。また、アロマは女性が使うイメージが強いですが、この調査では男性も多くの人が使っていることがわかったそうです。男女ともに寛ぎの時間に香りの効果を取り入れているようです。目的がはっきりするとどんな香りを使えばいいのか見えてきますね。
アロマテラピーの香りのをお風呂に取り入れたいという方は参考にしてみてください。
●疲れた時にリラックスできるアロマ
ラベンダー・カモミール・ジャスミン・サンダルウッド・クラーリセージ・ローズなど
●落ち込んでいる時に元気がでるアロマ
レモングラス・ローズマリー・カルダモン・ペパーミント・レモン・オレンジなど
●不安感や緊張感がある時に安心できるアロマ
オレンジ・マンダリン・ベルガモット・イランイラン・ネロリ・プチグレンなど
●デトックスしたいときおすすめのアロマ
ゼラニウム・ジュニパー・ローズマリー・サイプレス・グレープフルーツなど
●体が冷える時に使いたいアロマ
ジンジャー・ヒノキ・ローズマリー・ゆず・ブラックペッパー・マージョラムなど
【アロマ精油のお風呂での使い方】
① 直接アロマ精油を湯船に垂らす
本などでは、数滴垂らすと書かれていますが、最大4滴までにしてください。アロマ精油は、植物の芳香成分が濃縮されたエッセンスです。欲張って使いすぎて気分が悪くなると台無しです。特に、イランイランやジャスミンなど濃厚な香りは2滴でも十分香りが広がります。
そして、気をつけていただきたいのが、レモンやゆずなどの柑橘系のアロマ精油です。肌への刺激が強すぎますので、必ず基材(キャリアオイルやソルト)に混ぜて入浴剤として湯船に入れてください(下記③を参考にしてください)
② 洗面器に熱めのお湯を張りそこに最大4滴垂らす
直接湯船に垂らさないので、安心してどんなアロマ精油でも使えます。特に敏感肌の方にはこの方法がおすすめです。湯気とともに芳香成分が揮発して浴室を優しく香らせることができます。
③ キャリアオイルや天然塩、エプソムソルトなどの基材に混ぜて使う
・キャリアオイル=主にアロマ精油を希釈するために使う植物油。保湿力にも優れているため、肌に潤いを与えてくれる。スイートアーモンド油・グレープシード油・椿油・ホホバ油など5mlに対して2滴が目安(1回分)
・天然塩=簡単にバスソルトが作れる。天然の塩に含まれるミネラル成分が発汗を促し、血行を促進。デトックス効果や加温効果が期待出来る。大さじ2杯に対して4滴が目安(1回分)。エプソムソルト=硫酸マグネシウムのことで、塩ではない。天然塩よりミネラル成分が豊富に含まれており、体の機能を清浄に保つ。発汗を促し体の芯から温まるので冷え性の方におすすめ。美肌効果も期待できるため最近注目されている基材。大さじ2杯から3杯程度に対して4滴程度(1回分)
入浴剤を取り入れる
お気に入りの入浴剤がある!という方もいれば、何げなく選んで使っている方も多いのではないでしょうか?世の中には多種多様な入浴剤がありますが、さて何を基準に選べばいいのかわからないですよね。入浴剤は5つに分類されます。
無機塩素系入浴剤・炭酸ガス系入浴剤・薬用植物系入浴剤・スキンケア系入浴剤・クール系入浴剤です。入浴剤選びの参考にしてください。
- 無機塩素系・・・身体をしっかり温めたい方にミネラル成分が多く含まれており、皮膚にヴェールを作り保温効果が高まるためお風呂上がりもポカポカ感が持続する。
- 炭酸ガス系・・・体の疲れをとりたい方にシュワシュワとした泡(炭酸ガス)が皮膚から吸収され血行が促進、全身の新陳代謝が高まるため体の疲れを和らげる。
- 薬用植物系・・・肩こりや腰痛、肌荒れにお悩みの方に。配合されている生薬により、目的が違うため正しく選ぶこと。生薬独特の香りがある。
- スキンケア系・・・お肌の乾燥が気になる方に。潤い成分がたっぷり入っているため、皮膚の表面だけでなく内部にまで保湿成分を補う。背中が乾燥で痒みを伴う人にもいい。全身しっとりスベスベになる。
- クール系・・・お風呂上がりに爽快な気分になりたい方に。メントールが配合されているため、ひんやりとした心地よさがある。。夏の入浴に。
入浴剤の香りも柑橘系、森林系、フローラル系、生薬系、ハーブ系などあるので お気に入りの香りをぜひ見つけてください。好みの香りがプラスされることでよりリラックス効果が高まります。
アロマキャンドルを取り入れる
浴室の明かりを消して、アロマキャンドルだけの灯火でゆっくり過ごすバスタイム。
静かな時間を心地よい香りとともに、過ごすのも贅沢ですね。実は、私、アロマキャンドルコレクターで国内でもそうなのですが、特に海外に行くとお気に入りの香りを見つけては買って帰ることにしています。いろんなキャンドルをお風呂でも灯して香りを楽しむのも自分へのご褒美の時間になりますよ。 炎の揺らぎには規則性があって単調に見えるリズムの中に、適度に不規則な揺らめきがあり、この「規則性」と「不規則性」が調和したリズムが心地よさの秘密だそうです。1/ f ゆらぎと言われていいますが、これが癒しの効果や、気持ちを落ち着かせる働きがあるので、炎の灯りと香りでより質の良いリラクゼーションの時間になるはずです。
香り+α
気ぜわしい日常の中で、好きな香りに包まれながらゆっくり過ごすバスタイムは、自分へのご褒美時間でもあると思っています。そういう時間は意識して作ろう!と思わないとなかなか出来ないもの。身体の緊張を解放しリラックスさせる副交感神経が優位に働き、心と身体の疲れを癒してくれます。また入浴中は、幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」や「オキシトシン」「エンドルフィン」の分泌も促してくれるそうです。
心地よいバスタイムは、ストレス解消にも効果的だからこそ、毎日のお風呂での過ごし方に少し変化を与えてみてはいかがでしょうか?そこに、+αで自分の好きなものを持ち込んであなたらしいリラックスバスタイムをカスタマイズするのもおすすめです。 音楽や観葉植物やL E Dキャンドル、バスピローなどバスタイムを充実させるアイテムは様々です。
まとめ
気ぜわしい日常の中で、ゆっくり過ごすバスタイムは、自分へのご褒美時間でもあると思います。そういう時間は意識して作らないと持てない気がします。「今週は水曜日が自分の時間が持てそうだから、のんびりバスタイムを楽しもう!」そうやって家で過ごす時間をより充実したものにするのも自分次第。温泉地に行かずとも、リゾート地に行かずとも、我が家のお風呂でストレスリセットできる。日常を非日常にすることも可能です。香りで満たす究極のバスタイム、今夜にでもいかがですか?
プロフィール
【荒石由紀恵】
中央大学を卒業後、山口放送に入社し、局アナウンサーとして勤務する。
T V番組内でアロマテラピーを取材したのをきっかけに学び始める。退社後、アロマが盛んなオーストラリアへ留学。生活の中で身近に使われるアロマに触れその魅力にはまり、帰国後に認定資格を取得する。1999年よりアロマ講師として活動を開始し2004年には、「心と身体の真の癒し」をコンセプトにした専門店「AROMADROPS」をオープン。介護施設でのアロマケア、クリニックでの産後ケアにも携わりセラピストとしても活動している。アロマテラピーの可能性を広げるため多方面で香りと他業種のコラボレーションを仕掛けている。
◇アロマドロップス http://aromadrops.net/