ファミリークローゼットのつくり方、間取りと失敗しないための注意点
今、ファミリークローゼットを取り入れる方が増えています。家を建てる時、収納をどうするかは、多くの人が悩みますよね。ファミリークローゼットは、しまうのも着るのもラクで、家族みんなに優しい収納方法です。今回は、メリット・デメリットをご紹介し、間取り事例や、失敗しないための注意点についても解説します。
ファミリークローゼットとは
・ファミリークローゼットってなに?
ファミリークローゼットとは、家族みんなの衣類や小物を、まとめて収納できる場所のことです。これまでは、それぞれの部屋にあるクローゼットやタンスに、衣類や小物を収納しておくことが多かったと思います。洗濯物が乾いたら、各部屋に運んで、しまわなければなりませんでした。だんだん面倒になって、リビングに積まれてしまうこともあるでしょう。ファミリークローゼットは、みんなの分が一箇所に収納できることで、しまう作業がとてもラクになります。
・なにが収納できる?
収納できるものは、広さによって変わります。家族が3~4人と想定した場合は、下記のようなものが収納できます。
●2~3畳くらいの広さ
普段使うものだけが、収納できる広さです。ハンガーや棚がつくれるのは、片面かL字型になります。オンシーズンの仕事着や外出着、小物などが収納できます。オフシーズンの服や、冠婚葬祭用は、別の場所に収納する必要があるでしょう。
●4~5畳くらいの広さ
家族の衣類や小物のほとんどが、まとめて収納できる広さです。ハンガーや棚は、両面やコの字型に設けられます。クローゼット内で着替えたり、アイロンをかけたりといったスペースが欲しい場合は、その分をプラスした面積が必要になるでしょう。
・ファミリークローゼットのメリット
まずは、ファミリークローゼットを設置するメリットから見ていきましょう。
●動線が良くなる
ファミリークローゼットを設置すると、動線が良くなります。これまでも、寝室などとつながった、ウォークインクローゼットやウォークスルークローゼットは、間取りに取り入れられてきました。しかし、ファミリークローゼットでは、収納面だけでなく、家事動線や生活動線を短くすることにも重点をおいて、間取りを検討します。ファミリークローゼットにも、ウォークインタイプとウォークスルータイプがあり、まったく別のものというわけではありません。
●しまうのがラク!
ファミリークローゼットの最大のメリットは、しまうのがラクだという点です。ファミリークローゼットの設置を要望する人は、ほとんどが洗濯家事を担う人です。洗濯は好きだけれど、それぞれの部屋にしまいに行くのが面倒、という人は多くいらっしゃいます。
●着るときもラク
ファミリークローゼットは、実は、着る人にとってもラクです。物が一箇所にあることで、『あれはどこにしまったかな』と、色々な場所を探すことがなくなります。また、身支度の際に、あちこち移動せずに済むため、動線が短くなります。出かけようとしたら、ハンカチを忘れて部屋まで取りに行く、なんてことがありません。
●お部屋がすっきりする
しまうのが面倒だと、取り込んだ洗濯物を、ついそのままにしてしまうことってありますよね。ファミリークローゼットがあれば、収納場所が分かりやすく、家族で手の空いた人が、誰でも片付けることができます。それぞれのお部屋に、脱ぎっぱなしや出しっぱなしが減り、どのお部屋もすっきりと片付きやすくなります。
●持っている服を管理しやすい
家族の衣類や小物を一箇所に収納することで、それぞれの持っている服の種類や量を、管理しやすくなります。夫婦や兄弟、または親子での貸し借りもしやすくなり、家族のコミュニケーションも増えるでしょう。
・ファミリークローゼットのデメリット
続いて、デメリットも見てみましょう。
●朝の身支度の時間は、混雑する場合も
家族みんなで使う場所なので、朝などの身支度の時間には、クローゼット内が混雑してしまうことがあります。登校や出勤の時間が重なる場合は、スムーズに動けるように、話し合っておくことが必要です。鏡の位置を工夫したり、隣室に着替える場所を設けたり、対策をしておくことが大切です。
●広めのスペースが必要
家族みんなで使うには、4畳くらいの広さが必要になります。ひと部屋増やせそうな広さですよね。面積に余裕がない場合、ほかのスペースが狭くなってしまうこともあります。間取りの優先順位を、家族で話し合っておくようにしましょう。
●家族みんなで、ずっと使うとは限らない
お子さんが大きくなると、自分の洋服は、自分の部屋に置きたいと思う時期が来るかもしれません。それぞれの部屋にも、収納場所があれば安心です。ハンガーと棚、どちらにもできるような可動式なら、さらに良いでしょう。
ファミリークローゼットの間取り事例4つ
次は、ファミリークローゼットにおすすめの、間取り事例を4つ解説します。
・間取り1:洗面脱衣所やランドリールームの隣
ランドリールームの隣に設ける間取りは、部屋干し派におすすめです。また、洗面脱衣所、ランドリールーム、ファミリークローゼットの3つを集めれば、洗濯の全ての工程を、一気に行うことができます。『脱ぐ→洗う→干す→取り込む→しまう』が一箇所で完了し、家事動線が短くできます。お風呂から出た後、着るものがなくて困ることもありません。
・間取り2:洗濯を干す場所の近く
こちらは外干し派におすすめの間取りです。洗濯物を干す場所の近くに設置すれば、『取り込む→たたむ→しまう』が一気に行え、効率的です。1階の庭やテラスに洗濯物を干す場合は1階に、2階のベランダやバルコニーに干す場合は、2階に設置すると良いでしょう。
・間取り3:玄関やシューズクロークとつなげる
玄関やシューズクロークの近くに設置すれば、帰宅してすぐに上着を脱ぐことができ、外部からの花粉や菌を、お部屋に持ち込まずに済みます。さらに、洗面脱衣所やお風呂ともつなげれば、帰宅してからの動線がスムーズです。お子さんが、部活動などで汚れて帰宅しても、安心の間取りですね。出かける際も、動線が短くなってスムーズです。
・間取り4:リビングとつなげる
リビングの裏や隣などに、ファミリークローゼットをつくる間取りもあります。リビングの近くなら、みんなが出入りしやすいのがメリットです。ほかの家事の合間に、洗濯物をしまうこともできます。また、急な来客時にリビングが散らかっていても、荷物の一時避難ができるのも便利です。
ファミリークローゼットで失敗しないための注意点
ファミリークローゼットは、メリットや利便性が多く、忙しいご家庭にも適しています。しかし、広めのスペースが必要なので、設置してから後悔するのは嫌ですよね。最後に、失敗しないための注意点を解説します。
・照明はセンサー付きが便利
ファミリークローゼットは、洋服の色あせを防ぐためにも、比較的日の当たらない場所に配置されることが多いでしょう。そのため、クローゼット内は照明を点けて利用することが多くなります。しかし、出かける前に急いで着替え、照明を消し忘れてしまうという、経験者の声が多くあります。人感センサー付きの照明にすれば、点けっぱなしが防止できて便利です。
・湿気対策もしておく
湿気対策も忘れてはいけません。日当たりが悪いと、湿気がたまりやすくなります。湿気は、カビや嫌なニオイの原因になり、洋服やバッグにダメージを与えてしまいます。また、ランドリールームや洗面脱衣所など、湿気が多い場所の近くに設置するケースも多くあります。湿気対策には、換気設備の設置や、除湿機の活用などの方法があります。調湿機能付きの壁紙を使うのも有効です。
・ハンガーバーや棚は可動式に
ハンガーバーや棚板を造作し、固定してしまうと、使い始めてから後悔する場合があります。使いやすい高さは、背の高さによって変わってきます。また、季節によっても、ハンガーがけが多かったり、たたむものが多かったりと、違いがあります。ハンガーバーも棚板も、可動式がおすすめです。しかし、ミラーの位置については、あらかじめ決めておくようにして下さい。空いたところに置こうと思っていると、置く場所がなく、困る場合が多いようです。
・出入り口は自由に出入りできる場所に
以前は、寝室にウォークインクローゼットを設ける間取りもよくありました。好きな壁紙にするなどして、プライベート空間として、有意義に使っている方も、もちろんいらっしゃいます。しかし、起床後に、リビングなどに移動して食事をし、再度、身支度のために寝室まで戻るのは、時間のロスになります。また、寝ている人がいると、クローゼットから物を出しづらいことがあります。ファミリークローゼットの出入り口は、使いたい時に、いつでも出入りできる場所に設けると、使い勝手が良くなります。
・扉は引き戸がおすすめ
ファミリークローゼットの扉には、引き戸がおすすめです。日常的には、通風のために開けておくことができ、来客時や着替えるときには、閉めると目隠しになります。厚手のカーテンでも良いでしょう。開き戸にすると、開閉時に、荷物や人にぶつかる恐れがあります。動線をスムーズにするためにも、開けっ放しにできるタイプが便利です。
まとめ
今回は、ファミリークローゼットのつくり方をご紹介しました。メリット・デメリットや間取り事例、失敗しないための注意点についても解説しました。ファミリークローゼットは、家事動線や生活動線を短くし、片付けるのも、着るのもラクな収納方法です。導入する際には、事例を参考にしていただき、家族の人数や、生活スタイルにあった間取りと広さを、家族で話し合って下さい。