家の外壁の種類とデザイン事例4つ!黒い外壁が人気のわけは?

家の外壁の種類や色を決めるとき、迷う人は多いと思います。家の色やデザインは、外観の印象を決める、顔のようなものです。また、見た目だけでなく、雨や風に負けない耐久性や、メンテナンスのしやすさなども、考慮して選びたいですよね。今回は、家の外壁の種類をご紹介し、人気の色や、デザイン事例についても解説します。

家の外壁の種類

家の外壁は、直射日光を受け、風雨にさらされ、ダメージを受け続けます。おしゃれな外観にしたいのはもちろんのこと、機能性や耐久性にもこだわりたいですよね。まずは、外壁の種類から見ていきましょう。

・窯業系サイディング

現在の外壁材の主流は、サイディングです。サイディングには、窯業系、金属系、樹脂系、木質系と4種類あります。なかでも、窯業系サイディングが、もっとも多く使われています。窯業系(ようぎょうけい)と呼ばれる理由は、窯(かま)で高熱処理されるためです。主原料はセメントで、繊維質や混和材などを加えた、人工の外壁材です。

デザインや色のバリエーションが豊富で、レンガ調、タイル調、石目調、木目調などがあります。工場でボード状に成型されるため、施工費や施工期間が抑えられる、というメリットもあります。色あせや変色がしにくく、耐火性にも優れています。一方、他の素材と比較して、メンテナンス頻度が高め、というデメリットがあります。素材自体には防水性がなく、表面の塗装によって防水力が保たれています。塗装や目地のコーキングは、10年程度でメンテナンスが必要になります。

・金属系サイディング

金属系サイディングは、窯業系に次いで、多く使用されています。表面は、ガルバニウム鋼板やアルミニウム、ステンレスなどの金属で、裏には断熱材が貼られています。スタイリッシュでかっこいい外観にしたい、という方におすすめです。とくに人気があるのは、ガルバリウム鋼板のサイディングを、縦のストライプ柄のように使う方法です。金属系サイディングは、断熱性や防音性が高く、耐久性にも優れています。窯業系と比較して、重さが約1/4程度と軽量なため、建物への負担が少ないというメリットもあります。

また、メンテナンス頻度が少なくて済む点も人気の理由です。重ね貼りもできるので、リフォームでもよく用いられます。一方、金属のため、塩害を受けやすく、サビが発生する可能性があります。海岸沿いの住宅には向いていません。また、衝撃には弱く、強風などで石などが当たると、へこんだり、傷が付いたりといったデメリットがあります。

・モルタル

モルタルは、砂とセメント、水を混ぜて作った素材です。モルタル外壁は、継ぎ目がなく、温かみのある見た目や、耐火性能の高さが魅力です。モルタルは、左官コテで下地に塗り付け、表面を塗装で仕上げます。仕上げ方法には、スタッコ仕上げ、リシン吹付、タイル吹付、ローラー仕上げ、土壁調仕上げなどがあります。

モルタルの外壁は、1990年代以前には、日本の住宅の主流でした。関東大震災で、多くの木造家屋が倒壊してしまったことが背景にあり、衝撃への強さや、万一の火災の際も、有毒ガスが発生しない点などが、人気の理由でした。デメリットは、ひび割れしやすいこと、10~15年の周期でメンテナンスが必要なこと、雨水の跡が残りやすいことなどです。

・タイル

外壁に使われるタイルは、土や石などの原料を、1000度以上の高温で焼いて、製造されています。耐火・耐熱性が高く、意匠性、デザイン性にも優れ、高級感があります。また、耐久性が高く、経年劣化しにくいというメリットもあります。セルフクリーニング効果のある製品も出ています。

一方、デメリットは、機能性が高い分、イニシャルコストが高くなってしまうことです。窯業系サイディングと比較すると、2倍近い金額になります。また、コーキング材は、メンテナンスが必要になります。さらに、タイルの下地によっては、耐震面の心配があります。タイル自体の強度は高くても、下地の強度によっては、剥がれてしまう危険があります。タイルは下地処理がとても大切です。信頼できるハウスメーカーや、施工会社を選ぶようにしましょう。

・ALCパネル

ALCとは、内部に気泡を含む、軽量化されたコンクリートのことです。セメントや珪石、石灰、発泡剤などを原料とした、パネル状の外壁材です。コンクリートと同様に、耐火性や耐久性の高さが魅力です。重量については、コンクリートの1/4程度と、軽量で耐震性が高いこともメリットです。また、細かい気泡によって、断熱性や遮音性も高く、室内環境を快適に保つ効果が期待できます。 一方、ALCパネル自体の防水性は低く、サイディングやモルタルと比較して、コストが高いことなどがデメリットです。ALCパネルは、表面を塗装することで、防水性を保っています。10年程度の周期で、塗装の塗り直しなど、メンテンナンスが必要になります。

外壁の色、黒が人気のわけは?

次に、外壁の色やデザインを見ていきましょう。日本では、住宅の外壁は、白やベージュといった、淡い色が主流でした。しかし、近年、黒やグレーを選ぶ人も多くなっています。黒が人気のわけは、どんなところにあるのでしょう。メリット・デメリットを解説します。

・黒い外壁のメリット

●おしゃれでスタイリッシュ

黒い外壁の家は、シンプルで、おしゃれでスタイリッシュです。黒は、モダンで、クールなイメージもあります。最近では、黒の外壁も増えてきたものの、まだまだ少数派です。個性的で、人とは違うこだわりの家、という印象を演出してくれます。大人の遊びゴコロをくすぐる色、とも言えるのではないでしょうか。

●重厚感がある

黒という色には、重厚感、高級感、格式高い、といったイメージもあります。黒は、白やグレーと同じ、無彩色です。周囲にある色を引き立てることができるため、アクセントになる色と組み合わせると、より効果的です。また、赤やオレンジが暖色系、青や青緑が寒色系と呼ばれるのに対し、無彩色は、暑さ、寒さなどの温度感がなく、どの季節にもなじみます。

●黒ずみやコケが目立ちにくい

家の外壁は、風雨にさらされ、排気ガスや泥汚れなどによっても、黒ずんでいくことがあります。黒の外壁なら、黒ずみが目立ちにくく、経年劣化を感じさせにくい、というメリットがあります。また、家の北側や、日の当たらない場所には、緑色のコケが生えてしまうことがあります。とくに、2階などの高い場所のコケは、除去することが難しく、目立ってしまう場合もあります。黒い外壁は、緑のコケも目立ちません。しかし、コケを放っておくと、根付いて、繁殖してしまう恐れもあります。こまめなお掃除やメンテナンスは、どんな色の外壁でも必要です。

・黒い外壁のデメリット

●壁面が高温になりやすい

黒は、光を反射しません。黒い外壁は、太陽の熱を吸収し、表面が高温になりやすいというデメリットがあります。とくに、金属系の素材を使用した場合、夏の暑い日には、小さいお子さんが、外壁に触れないようにするなどの、注意が必要になります。また、壁の断熱性能が低いと、室内温度も上がってしまいます。黒い外壁にする場合は、断熱性能を備えた、家づくりをすることが大切です。

●傷や鳥のフンは目立つ

黒い外壁は、黒ずみやコケが目立たない分、傷や白っぽい汚れは目立ちます。黒い車と同様に、鳥のフンや砂埃、黄砂などは目立ってしまうでしょう。また、外壁を塗装仕上げにする場合、経年劣化で、白っぽくなってしまうことがあります。これは、チョーキング現象と呼ばれ、別名、白亜化現象とも言われています。どんな色の塗装でも、10~15年程度で発生する可能性があります。とくに、黒い壁の場合、色あせたように見えてしまうため、塗り替えのサインとも言えます。

●威圧感がでやすい 黒には、重厚感や高級感といった、ポジティブなイメージがあると同時に、ネガティブなイメージを持つ人もいます。地域の方々に、威圧感や、近寄りがたいイメージを与えてしまう場合もあります。黒のトーンを明るめにし、グレーに近い色を選ぶと、上品で柔らかいイメージになります。他の色をアクセントに入れても良いでしょう。また、地域によっては、景観法に基づき、各自治体が、外壁に使える色の明度や彩度を規制しています。なかには、極端に鮮やかな色や、黒のようなダークな色は、使えない場合もあります。家を建てる自治体に、景観計画があるか、事前に確認しておきましょう。

黒い外壁をさらにおしゃれにする、デザイン事例4つ

最後に、黒い外壁を、さらにおしゃれにするデザイン事例をご紹介します。黒には、ほかの色を引き立てる効果があります。木や、アクセントカラーを取り入れる際の、デザイン事例4つを解説します。

・上下で色を分ける

外壁を2色に塗り分けたり、貼り分けたりするツートンカラーの定番は、上下で色を変える方法です。1階に濃い色、2階を淡い色にすると、見た目に安定感が出ます。また、北欧風の外観にしたいなら、反対に、2階に濃い色、1階を淡い色にしましょう。伝統的な北欧スタイルは、2階部分に、赤やブラウンなど、雪景色に映える色を配色します。窓の縁を白いモールディングで飾ったり、断熱性の高い樹脂サッシで白を取り入れたりすると、より北欧らしい外観に近づきます。

・縦にアクセントカラーを入れる

縦にアクセントカラーを入れると、スタイリッシュな印象になります。家に凹凸があれば、入り角(引っ込んだ角)部分で色を替えると自然です。凹凸がない場合は、窓の幅に合わせても良いでしょう。しかし、縦の幅を自由に決められるため、難易度が高いデザインとも言えます。その分、おしゃれで、より洗練された印象の家に仕上がります。

・バルコニー部分の色を変える

バルコニーやテラスなど、家の出っ張った部分の色を変える方法です。家の立体感や、奥行きを感じさせ、広がりのあるデザインになります。また、色の切り替え部分を悩まずに済むため、初心者でも挑戦しやすい配色です。たとえば、バルコニーに木目を使い、同じ色をドアにも取り入れると、おしゃれで、周囲の景観とも調和が取れるデザインになります。

・玄関周りを明るい色にする

玄関は、家の顔とも言える部分です。玄関周りを、白などの明るい色にすることで、黒のもつ威圧感を軽減し、家の印象を明るくしてくれます。また、ポーチライト(玄関灯)も、おしゃれなものを取り入れましょう。黒い外壁の家は、夜間は、とくに暗さを感じさせてしまいます。夜間に帰宅しても、ポーチライトで優しく、明るく出迎えてくれると、安心できます。防犯にも、役立ちますね。

まとめ

今回は、家の外壁の種類を紹介し、黒い外壁が人気のわけや、デザイン事例についても解説しました。外壁の種類は、現在は、サイディングボードがもっともポピュラーで、ほかにも、タイルやモルタル仕上げなどがあります。選ぶ際は、イニシャルコストだけでなく、メンテナンス頻度や、家を建てる地域の特性なども考慮する必要があります。また色については、昨今、黒い外壁の人気が高まっています。おしゃれで高級感があり、個性的な印象を与えてくれます。黒い外壁には、木やアクセントカラーを上手く取り入れ、周囲との調和や、規制に注意して、建てるようにしましょう。