パントリーってなに?間取り事例と後悔しないためのポイント5つ

パントリーってなにかご存知ですか。新築の家づくりやリフォームを検討する際、SNSや雑誌で見かけ、気になっている方も多いのではないでしょうか。あれば便利そうだけど、ほかの空間が狭くなるのも困るし、本当に必要か、迷う人も多いと思います。今回は、パントリーとはなにかをご説明し、適切な広さや間取り事例、つくってから後悔しないためのポイントも解説します。

パントリーってなに?

・パントリーとは

主に、食材や飲料のストックなどを収納、保管するためのスペースです。食品庫としての役割だけでなく、たとえば、ホットプレートやたこ焼き器、季節によって使用する土鍋やかき氷器など、たまに使う調理器具などを置く場所としても重宝します。ティッシュペーパーやマスクなどの日用品や、食器などを置く場合もあります。

・パントリーに収納できるもの

パントリーに収納する食材や飲料は、常温保存できるものです。調理器具や日用品と合わせ、保管できるものは、たとえば下記のようなものが挙げられます。

〈食材・飲料〉

〇レトルト食品、カップラーメン
〇お菓子
〇パスタ、乾麺、お米、お餅など
〇缶詰、瓶詰
〇塩、砂糖、醤油などの調味料
〇カレーやシチューのルウ
〇麦茶やお茶のティーバッグ
〇水、ジュース、お酒類のストック

〈調理器具〉

〇ホットプレート、タコ焼き器、ホットサンドメーカーなど
〇土鍋やかき氷器などの季節品
〇ミキサー、ジューサー、ブレンダー
〇卓上コンロ

〈日用品〉

〇ラップ、アルミホイルなど
〇ストックバッグ
〇ティッシュペーパー
〇食器用洗剤、スポンジ、手袋

〈食器、その他〉

〇タッパ
〇お弁当箱、重箱
〇来客用の食器、カトラリー

・パントリーの設置場所

主に、キッチンからアクセスしやすく、日の当たらない場所が向いています。常温保存できる食材の多くは、直射日光や、高温多湿を避けることが記されています。パントリーの設置場所も、その条件に合う場所が適しています。

・パントリーのメリット

パントリーを設けるメリットを見ていきましょう。

●まとめ買いしても安心

週末に1週間分の買い物をしたり、たくさん買う方が安かったり、昨今、まとめ買いをする人も多いと思います。とくに飲料は、箱で買うことも多いのではないでしょうか。そんな時、収納場所がないと、廊下やキッチンの片隅に、置きっぱなしになってしまう場合も。パントリーがあれば、出しっぱなしになることもありません。

●キッチン周りのものをまとめられる

たまにしか使わない調理器具は、食材などと一緒に保管されていれば、使う機会を逃さずに済みます。屋根裏などの倉庫に入れてしまうと、出すことが面倒になり、使わなくなる場合もあります。ラップやストックバッグも、キッチン周りの見やすいところにストックされていれば、過剰に買い過ぎることや、在庫を切らして慌てることもありません。

●キッチンがスッキリと見える

パントリーに収納できる食品や調理器具、日用品はサイズも形もバラバラです。また、食品のパッケージは鮮やかなものが多く、丸見えの場所に収納すると、ごちゃごちゃと見えてしまいます。扉を付けたり、キッチンやリビングから、丸見えにならない位置に設けたりすれば、スッキリと見え、おしゃれなインテリアのじゃまをすることもありません。

●災害時に備えたストックができる

いつ来るか分からない地震や台風などに備え、ある程度の備蓄はしておきたいと考える人も多いと思います。また最近では、新型コロナウィルスの流行によっても、いざという時に備えて、1週間程度の備蓄が推奨されています。『ローリングストック』というストック方法も知られるようになりました。ローリングストックとは、保存食や非常食を日常生活のなかでも利用し、食べたら買い足して、常に一定量を備蓄しておく方法です。非常食をしまったまま、気づいたら賞味期限が切れていたという経験は、多くの人にあるのではないでしょうか。パントリーなら、在庫している食材にも目がいきやすく、ローリングストックにも適しています。

パントリーの広さと間取り事例3選

次に、パントリーの種類をご紹介し、適した広さと、間取り事例3選を解説します。

・パントリーの種類

パントリーは、大きく2種類に分けられ、小部屋タイプと、壁面収納タイプがあります。どちらも、多くの場合、キッチンからアクセスしやすい場所に設けられます。また、小部屋と言っても、扉は付けない場合もあり、一方で壁面収納は、丸見えにならないように、扉を付けるケースが多くあります。

・パントリーの広さ

小部屋タイプでは、パントリーに適した広さは、2〜3畳(3~5㎡)と言われています。広さのイメージとしては、90cmの間口で、1.8mの奥行きがあれば、ちょうど1畳です。1畳でも、片側に奥行き30cm程度の棚を付け、通路が60cm程度のパントリーをつくることができます。また、壁面収納タイプでは、小さいもので幅60cm~90cm、広めのものでは、幅1.2m~1.8m程度になります。棚の奥行きは、小部屋タイプと同様に、30~45cmが使いやすいでしょう。

・パントリーの間取り事例3選

続いて、小部屋タイプの間取り事例をご紹介します。

●キッチン周りのウォークインタイプ

ウォークインタイプのパントリーは、出入口が1つです。広さによっては、壁面を3面つくれるので、収納力が高いというメリットがあります。キッチンの奥のスペースや、食器棚の裏側などに設け、出入り口を南欧プロヴァンス風のアーチ型にするデザインは、とても人気があります。まるで自分だけの洞窟のように、落ち着いて作業ができます。キッチンやリビングから丸見えにならない場合は、扉を付けないことも多く、パントリー内の壁紙をアクセントクロスにするなどし、ゆるやかに空間を区切ります。

●動線を重視したウォークスルータイプ

ウォークスルータイプは、出入口が2つあり、通り抜けができる小部屋です。玄関からキッチンへの動線の途中に配置すると、まとめ買いや、宅配で届いたものを収納する際にも便利です。通気も確保しやすく、また、通りぬけるときに、在庫が目に留まりやすく、買い忘れや、過剰在庫の防止につながるメリットがあります。しかし、通りぬけには70~80cm程度の通路幅が必要になり、部屋の大きさの割に、収納力は低くなるというデメリットもあります。収納力か、家事効率か、どちらを優先するかによって、ウォークインタイプか、ウォークスルータイプかを選ぶと良いでしょう。

●パントリーとランドリールームを兼ねた家事室タイプ

キッチンと洗面室の間などに、パントリーとランドリールームを兼ねた、家事室を設ける間取りもあります。まとめ買いをして帰宅した際、トイレットペーパーや洗剤はこっち、食材はあっちと、それぞれの場所にしまいに行くのは、手間がかかりますよね。パントリーとランドリールームを兼用したスペースなら、食材や調理器具、日用品などと共に、洗濯まわりのストック品も全て収納できるので、効率的です。家事室には、洗濯機を置いたり、物干しスペースも設けたりして、家事動線を短くできることが魅力です。一方、ランドリールームを兼用する場合に欠かせないのは、通気や換気です。窓を設置するなどし、空気の通り道を確保することが理想です。1カ所しか開口が取れない場合は、換気設備を導入しましょう。

パントリーで後悔しないためのポイント5つ

最後に、パントリーをつくってから後悔しないためのポイントを解説します。

・広ければ良いわけではない

パントリーを広く取りすぎて、他のスペースが狭くなってしまうのは、後悔のもとです。広すぎると、スカスカで無駄になったり、食品と関係のないものまで収納して、不衛生になったりします。また、たくさん収納したいと欲張り、棚の奥行きを深くし過ぎて後悔する場合も。物が取りづらく、また、奥の食品の賞味期限を切らしてしまうなど、管理がしづらくなります。

・扉は引き戸がおすすめ

小部屋タイプでも、壁面収納タイプでも、扉をつけるかどうか、迷う人が多いと思います。扉を付けるメリットは、来客があったとき、パントリーの中が見えないように、隠せることです。また、小さいお子さんや、ペットが中に入ってしまうのを防ぐこともできます。一方、扉を付けない場合のメリットは、荷物を持っていても、出入りしやすいことです。また、湿気がこもりにくく、建具をつけない分、コストの節約にもなります。どちらか迷った場合は、引き戸やロールスクリーンを付けるのがおすすめ。普段は出入りしやすいようにオープンにしておき、来客があった時だけ、目隠しに利用することができます。

・湿気対策をしておく

ウォークインタイプのパントリーは、出入口が1つで、収納力が高く人気です。しかし、風の通り道がないため、湿気や臭いがこもりやすく、後悔する場合もあります。湿気対策としては、天井や、壁の高い位置に換気扇を設けるのがおすすめです。通気のための窓を設けると、収納力が落ちてしまうため、広さに応じて選ぶと良いでしょう。換気設備は、後から設置しようとすると、高くついてしまうので、新築時に計画するようにしましょう。

・棚は可動式にする

パントリーを固定棚にすると、後悔することが多いようです。棚は可動式がおすすめです。注意点としては、棚板の横幅を長くしすぎないことです。棚板が長いと、重いものを載せたとき、たわんでしまうことがあります。お米やお砂糖、水など、重量のあるものも収納することを想定し、可動棚でも、頑丈なつくりにするようにしてください。

・照明やコンセントも忘れずに

パントリーには、照明やコンセントといった設備を準備することも、忘れないようにしてください。コンセントは、サーキュレーターや掃除機などを使うときに必要です。また、照明が暗いと、在庫数や賞味期限が良く見えず、管理しづらくなってしまいます。パントリーを利用するときは、両手がふさがっていることも多いため、人感センサー付きの照明にしておくと、自動的に照明のオン、オフができて便利です。

まとめ

パントリーは、食材を中心に、調理器具や日用品などを収納するための保管庫のことです。主に、キッチンからアクセスしやすい場所に設けられます。小部屋タイプと壁面収納タイプがあり、小部屋の場合、さらに、ウォークインタイプとウォークスルータイプに分けられます。適した広さは2~3畳程度で、棚の奥行きは30~45cmくらいが使いやすく、可動棚にすることをおすすめします。まとめ買いや、インターネットでの買い物を収納する際に役立ちます。家事動線も短くできて、効率アップにつながります。家づくりの際に、計画に取り入れてみてはいかがでしょうか。