床暖房は必要?後悔しないために知っておくべき特徴と選び方

家に床暖房を導入したいと考える人は多いと思います。寒い時期でも、足元からポカポカと暖かい家で、快適に暮らしたいですよね。しかし一方で、後悔したという口コミもあります。本当に床暖房は必要なのか、悩んでしまいますね。今回は、導入を後悔しないために、知っておくべき床暖房の特徴と選び方を解説します。

床暖房の特徴(メリット・デメリット)

・床暖房とは

床暖房は、床下に設置した熱源によって、室内を温める暖房システムです。床暖房から発せられる熱は、ふく射熱と呼ばれ、熱が波の形で直接物体に伝わります。床から伝わった熱は、壁や天井に吸収され、またふく射熱として発せられるので、足元だけでなく、部屋中がポカポカと暖かく保たれます。また、床暖房は、浴室以外は、家のどこにでも設置が可能です。リビングだけでなく、脱衣所やトイレなどに敷設できます。次に、床暖房のメリット・デメリットをご紹介します。

・メリット

●足元も、お部屋も温かい
●風が出ず、乾燥しづらい
●におわない
●安全性が高い
●掃除のじゃまにならない
●季節家電のような出し入れが不要
●お手入れもラク
●寿命が長い

床暖房は、足元だけでなく、ふく射熱によって部屋中をムラなく暖めてくれます。エアコンのように風が出ないため、乾燥しづらく、ホコリも舞い上がりません。空気がクリーンなままで快適です。また床暖房は、ストーブのように、燃焼時ににおいが出ることもありません。お子さんやペットがいても、やけどや火事の心配がなく、安全性が高い点も魅力です。季節ごとに出し入れしたり、灯油を入れたりといった手間もありません。床暖房なら掃除のじゃまにもならず、お手入れがラクで、寿命が長いこともメリットです。

・デメリット

●導入費用が高い
●暖まるまで時間がかかる
●寒い時期しか使えない
●ランニングコストも高め
●故障すると修理が大変

メリットの多い床暖房ですが、デメリットもあります。まず問題になるのは、床暖房は寒い時期しか使わないのに、導入費用も、ランニングコストも高いという点です。すぐに部屋を暖かくしたい時でも、暖まるまで時間がかかります。早くて30分、なかには2時間かかるものもあります。また、床暖房は故障すると修理が大変です。フローリング材などの仕上げ材を剥がして点検しなければなりません。修理代だけで、50万円前後かかってしまう場合もあるようです。

床暖房の種類と費用、選び方

続いて、床暖房の種類と費用、選び方について解説します。

・床暖房の種類

床暖房は、温水式と電気式に分けられます。その中でもいくつか種類があり、立ち上がりにかかる時間や、コストなどが異なります。

●温水式 

床下に温水パネルを敷設し、熱源機で40~60℃に温めた低温水を循環させて暖める仕組みです。熱源は、電気、ガス、電気とガスのハイブリッド、灯油などがあります。導入する際は、パネルの敷設と、配管の工事、熱源機の設置が必要です。初期費用は電気式より高くなり、8畳程度の広さでは、80~100万円程かかります。しかし、ランニングコストは電気式より安く、光熱費が抑えられます。

●電気式 

床下に電熱パネルを敷設し、電気を通して部屋を暖める仕組みです。温水式より設置が簡単で、初期費用が抑えられます。8畳程度の広さでは、60~80万円程になるでしょう。既存住宅へのリフォームにも向いています。電気式には、蓄熱式、PTCヒーター式、熱電線式の3種類があります。電気式を使用する場合、ご家庭の電気容量を上げなければならない場合もあります。電気使用料だけでなく、基本料が上がり、ランニングコストが高くなってしまうこともあります。

・床暖房の選び方

床暖房には種類があり、どのように選べば良いか、迷う人も多いでしょう。ここでは、重視するポイントによって選ぶ方法をご紹介します。

●お子さんやペットがいるなら

お子さんやペットが使うお部屋には、温水式が向いています。一般的に低温やけどは、40〜50度くらいの低温でも、皮膚が長時間触れ続けることで起こります。温水式なら、床面の温度は30〜40度と、体温と同程度です。ふく射熱によって体感で暖かさを感じやすく、日だまりのような心地よさを感じられます。一方、電気式のなかには、表面温度が45度程度まで上げられるものや、細かい温度調節が難しいものがあります。その場合、長時間の使用を控えるなどの予防をして下さい。

●広い面積に設置するなら

広い面積や、複数の部屋に設置するなら、温水式がおすすめです。お部屋が暖まるのが比較的早く、ランニングコストが抑えられます。熱源機の設置が必要ですが、広い面積や複数の部屋に敷設しても、1台で済み、コスト全体では割安になります。

●寿命の長さやメンテナンスフリーで選ぶなら

メンテナンスフリーで選ぶなら、電気式が向いています。床暖房は他の暖房器具と比較すると、どのタイプも寿命が長く、メンテナンスの頻度は低いと言えます。なかでも電気式は、家と同等の寿命と言われ、設置後のメンテナンスは、基本的には不要です。故障した際の修理代も、安くなることが多いようです。一方温水式では、寒冷地などで凍結液を使用している場合、3年程度で交換になります。また熱源機は、専門業者による定期点検や法定点検を受ける必要があり、10~15年程度で交換となる場合が多いようです。

●暖める早さで選ぶなら

床暖房は、お部屋を暖めるまで、一定の時間を要します。立ち上がり時間がもっとも早いのは、温水式で、ガスと電気を使ったハイブリッドタイプです。8畳なら、30〜45分程度です。電気式の蓄熱タイプも、夜間に蓄熱しておくので、日中使いたい時にはすぐに使うことができます。また、どのタイプもタイマーがあるため、起床時間や帰宅時間に合わせておけば、暖まるまで待たずに、快適なお部屋で過ごすことができます。

床暖房は必要か?

床暖房の特徴や種類を理解しても、デメリットが気になり、導入すべきか迷う場合もあると思います。そこで、床暖房が必要な人のタイプと、床暖房以外の、暖かい家にするための方法5選を解説します。

・床暖房が必要な人はこんなタイプ

寒さ対策に床暖房が必要な人は、主に次のようなタイプです。

●末端冷え性
●乾燥が苦手
●エアコンの風が苦手
●お子さんやペットがいる
●ストーブなどの出し入れや、燃料の補充が面倒

末端冷え性の人には、床暖房は適しています。末端冷え性とは、血行が悪くなり、手先や足先に冷えを感じる症状です。昔から、頭を冷やして足を温める、頭寒足熱は、健康に良い状態と言われています。足元を温めて血液の循環を良くすることで、冷えの症状を改善する効果が期待できます。エアコンのように風が出ないので、ハウスダストやホコリも舞い上がりません。床暖房なら、アレルギー症状や乾燥でお困りの人でも安心です。

また、ストーブやこたつのように、季節が変っても出し入れする面倒がありません。床暖房は火を使わないので、お子さんやペットが触れたり、倒したりすることが原因の、やけどや火事の心配もありません。一方、お昼寝などで長時間触れていると、低温やけどの原因になってしまうので、注意しましょう。

・床暖房以外で、暖かい家にする方法5選

冬でも暖かい家をつくるには、床暖房を導入する以外にも様々な方法があります。暖かい家にする方法5選をご紹介します。

●木造を選ぶ

家を新築する際の構造は、一般的には、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造などがあります。鉄は、頑丈で、耐久性、耐震性に優れています。一方で、熱が伝わりやすく、外気の影響を受けやすいというデメリットもあります。対策をしないと、夏は暑く、冬は寒い家になってしまいます。一方、木は、鉄よりも断熱性が高い素材です。冬も暖かい家にするには、木造を選ぶと良いでしょう。また、調湿性、通気性に優れており、木造は高温多湿な日本に適していると言えます。

●断熱性を高める

高断熱の家は、冬の寒さだけでなく、夏の暑さも遮断でき、一年中快適です。家の断熱性を高めるには、天井、外壁、床下、窓など、それぞれの部分に適切な断熱材を使用しましょう。断熱材には、グラスウールやポリスチレンフォーム、フェノールフォームなどがあります。断熱性能は、国土交通省が制定した、断熱(等)性能等級によって表されます。等級は『UA値』という、熱の通しやすさを表した値によって定められ、数値が小さい程、断熱性能が高いと言えます。一方、断熱性が高いと結露しやすくなります。窓や壁紙にできる結露は、放っておくとカビやダニが発生する原因になります。高断熱の家では、同時に、換気システムの導入や、調湿性のある建材を使用するなど、工夫をしましょう。

●気密性を高める

気密性が高い家とは、すき間が少ない家のことです。せっかく断熱性を高くしても、すき間が多いと冷気が入ってしまいます。『次世代省エネ基準』では、床1㎡当たりの隙間の割合を示す『C値」が設定されていて、数値が低いほど高気密になります。家の構造では、鉄筋コンクリート造がもっとも気密性が高いと言われています。しかし、木造でも気密性を高くすることが可能です。熱は、主に窓から逃げやすいため、気密性の高い窓サッシを使ったり、ペアガラス(複層ガラス)にしたりすると良いでしょう。高断熱・高気密の家は、夏は涼しく、冬は暖かい家になります。冷暖房費が削減されるだけでなく、ヒートショックの予防も期待できます。

●太陽の光を取り込む

冬場の暖かさを保つためには、太陽の光をうまく取り込むことも有効です。冬は、太陽の位置が低くなります。南向きの家でも、隣家に遮られ、1階の日当たりが確保できない場合があります。しかし、工夫をすることで、太陽の光を取り込むことができます。たとえば、同じ面積の窓でも、横長よりも縦長の方が、室内の奥まで光が届き、暖かさを感じられます。また、天井に天窓を付けたり、壁の高い位置に高窓を付けることでも、家の中に自然光を取り込むことができます。

●窓を大きくし過ぎない

窓は、太陽の光を取り込んでくれる一方、熱が逃げ、冷気が侵入する部分でもあります。そのため、樹脂サッシやペアガラスを採用するなど、断熱性を高める工夫が必要です。また、窓の数を多くし過ぎたり、サイズを大きくし過ぎたりしないことも大切です。窓際のカーテンは、冬場はレースよりもドレープ(厚手)がおすすめです。窓全体を覆うように、丈は長めにし、幅も広めにすると、より断熱効果があります。シャッターや雨戸を閉めることでも断熱性は上がるので、冬場は早めに閉めると良いでしょう。

まとめ

床暖房は、頭寒足熱の状態にでき、寒い時期も快適に過ごせます。熱源に直接触れないことで安全性が高く、しまう面倒もありません。しかし、導入費用が高く、暖まるまで時間がかかるなど、デメリットもあります。家の寒さ対策では、床暖房以外にも方法はあり、高断熱、高気密にすることが、特に重要です。床暖房は、メリット・デメリットを理解した上で導入すると良いでしょう。導入の際は、家での過ごし方をよくイメージし、種類をよく検討してください。