サッシの種類と性能比較!樹脂サッシがオススメな理由5選
窓サッシにも種類があるのをご存知ですか。近年、住宅の断熱性や気密性が重視されるようになりました。実は、断熱性や気密性の面では、窓は弱点になりやすい場所です。窓はガラスとサッシで構成されているため、サッシにもこだわることが大切です。今回は、サッシの種類と性能、樹脂サッシがオススメな理由5選について解説します。
サッシの種類4つと特徴
主に使われている窓サッシは、木製、アルミ製、アルミ樹脂複合、樹脂製の4種類です。まずはそれぞれの特徴を見ていきましょう。
・木製サッシ
日本において、サッシ枠にガラスがはめられた窓が登場したのは、1900年前後と言われています。木造住宅での主流は、木製でした。テレビアニメ『サザエさん』一家が住む家の窓をイメージすると良いかもしれません。木製は高価で品質が安定しないため、その後、日本ではアルミ製が主流になっていきます。現在では、木製も品質が向上し、断熱性が高くて結露しにくいというメリットもあり、北欧などヨーロッパでは人気があります。しかし、高価で防火性が低いというデメリットから、日本ではあまり普及していません。
・アルミサッシ
アルミニウム製は、1950~1960年頃に、木製に代わって一気に普及しました。アルミサッシは耐久性が高く、木製より安価で軽量、開け閉めしやすいことなどが魅力です。メンテナンスがラクなことも人気の理由でした。しかし、アルミ素材は熱を伝えやすいという特徴があり、断熱性の低さや結露しやすさがデメリットとされています。
・アルミ樹脂複合サッシ
アルミ製のデメリットを補うために作られたのが、アルミ樹脂複合サッシです。屋外側にアルミ、室内側に樹脂を使い、2つの素材を組み合わせています。アルミの耐久性と、熱を伝えにくい樹脂の利点を合わせ持ち、日本ではアルミ製の次に普及しています。
・樹脂サッシ
樹脂サッシとは、塩化ビニル樹脂を原料とした窓サッシのことです。発祥はドイツで、断熱性や気密性の高さが魅力です。アルミ樹脂複合よりさらに熱が伝わりにくく、とくに寒さが厳しい場所で活用されています。北欧や北米を始めとする海外の国々や、日本では北海道での普及率が高くなっています。近年は、住宅の断熱性や気密性が重視されるようになり、北海道以外の地域でも注目度が高まっています。地球温暖化対策として、住宅に省エネ性能が求められるようになったことも人気の要因でしょう。
樹脂サッシのメリットとは?おススメな理由5選
近年とくに人気が高まっている樹脂サッシ。次に、樹脂サッシのメリットとはなにか、オススメな理由5選をご紹介します。
・断熱性が高い
樹脂サッシの最大の魅力は、断熱性の高さです。樹脂は熱伝導率が低く、熱を伝えにくい性質をもちます。窓は住宅のなかでも熱の出入りが多い箇所です。窓の断熱性を高めることで、夏の暑さや冬の寒さの影響を受けにくくなります。また、ペアガラスやトリプルガラスを採用したタイプが多く、ガラスの間に中空層があることで、さらに断熱性がアップします。
・室内温度が安定する
樹脂サッシは断熱性が優れているため、室内温度を一定に保つ役割も果たしてくれます。外気温に影響を受けにくいと、エアコンなどで室内の温度を安定させやすく、一年中快適に暮らせます。また、室内の温度差を小さく出来れば、脱衣所や浴室で起こりやすいヒートショックのリスクを軽減できます。ヒートショックは、暖かい場所から寒い場所に移動するなど、温度が急激に変化した際に起こります。血圧や脈拍が大きく上下し、心筋梗塞や脳卒中を引き起こす場合もあり、命にかかわります。昔ながらの日本家屋では、寒い時期に水回りとリビングの温度差が、5~10℃になることもありました。住宅の断熱性を高めることで、室内温度は一定に保たれ、安心安全に暮らすことができます。
・省エネ
住宅の断熱性が高いと、冷暖房の効きが良くなり、省エネにつながります。地球温暖化対策が急がれるなかで、住宅も省エネ化が求められています。日本では、2050年までに温室効果ガスの排出量と吸収量を同量にする、カーボンニュートラルを目指すと宣言しています。建築分野では、エネルギー消費量の約3割を占めることから、省エネ化の取り組みが急務となっています。近年、建築物省エネ法も改正され、建築主にも性能向上の努力義務が課されることになりました。省エネは環境のためだけでなく、ランニングコストの削減にもつながり、自分達のためにもなる取り組みと言えます。
・結露しにくい
樹脂は熱伝導率が低いため、外が寒くても室内側のサッシは冷えにくく、結露しにくいこともメリットです。結露のメカニズムは、室内の暖かい空気が急激に冷えたとき、飽和水蒸気量を超えたことで発生します。暖かい空気と冷たい空気では、含んでいられる水蒸気の量が異なります。暖かい空気の方が多く含んでいるため、急激に冷やされると、結露が発生してしまいます。樹脂サッシは、外気の影響を受けにくいため、結露しにくいことが分かります。また、結露を抑えられると、カビ発生のリスクも軽減できます。カビは健康被害や木材の腐食、シロアリなど様々な問題の原因になるため、リスクを軽減できると安心です。
・防音効果が期待できる
樹脂サッシは気密性も高いため、防音効果が期待できます。『気密性が高い』とは、すき間が少なく、熱や音の移動が少ない状態のことです。窓は、住宅のなかでも騒音が伝わりやすい箇所です。壁と比べても薄く、すき間が大きいと音漏れや騒音の原因になります。とくに近隣との距離が近い場合や、周辺道路の騒音が心配な場合など、樹脂製を選ぶことで、音に関するストレスが軽減できます。
樹脂サッシとアルミサッシの性能比較
ここまで樹脂製のメリットをご紹介し、オススメな理由を解説しました。しかし、デメリットがないわけではありません。最後に、樹脂製とアルミ製の性能を比較し、樹脂製のデメリットについても解説します。
・コスト
コスト面ではアルミ製の方が安く、樹脂製の半分程度の価格です。日本では、海外に比べて樹脂サッシの普及が遅れ、まだ価格帯が高いことはデメリットと言えるでしょう。近年、日本でも新築住宅における省エネ性能が求められるようになりました。今後樹脂サッシの需要が広がれば、価格差は縮まるかもしれません。また、アルミ樹脂複合なら、断熱性は3割程度劣りますが、樹脂製より安価です。予算が合わない場合など、日当たりや箇所によって、組み合わせて導入しても良いでしょう。
・断熱性
断熱性は、樹脂サッシの方が優れています。樹脂はアルミに比べると、熱伝導率が約1/1000しかありません。熱を伝えにくいため、アルミ製より結露のしにくさも勝っています。冬に感じやすい窓辺のヒヤッと感も抑えられます。また、断熱性が高いことは省エネ対策にもなり、光熱費削減につながります。エアコンなどによって室内の温度を一定に保ちやすく、一年中快適な空間が維持できます。
・耐久性
耐久性はアルミ製の方が優れています。樹脂は紫外線に弱く、アルミに比べると劣化しやすいと言われています。環境や使用状況によっては、変形や変色してしまう可能性もあります。しかし、樹脂サッシの寿命は30〜50年程度です。頻繁にメンテナンスしたり、交換が必要になったりするわけではありません。また、定期的に専用の塗料で日射対策をすると、寿命を長くする効果が期待できます。
デザイン性
樹脂サッシは、アルミ製よりデザイン性に優れています。着色や加工がしやすいため、デザインやカラーのバリエーションが豊富に揃い、住宅のテイストに合わせて選べることが魅力です。一般的に多い引き違い窓だけでなく、滑り出し窓や上げ下げ窓などにも対応しているため、リビングやキッチン、浴室、玄関など、様々な箇所で活用できます。
開け閉めしやすさ
開け閉めのしやすさは、アルミサッシの方が優れています。アルミは軽くて丈夫な素材なので、サッシも薄くて軽量です。樹脂製は、厚くすることによって強度を保っているため、厚みがあって重いという特徴をもちます。しかし、樹脂サッシも普及が進むなかで改良が進み、以前より薄くなりました。開け閉めもしやすくなり、重さを感じることはほとんどなくなってきています。
まとめ
今回は、サッシの種類と性能、樹脂サッシがオススメな理由5選について解説しました。樹脂製は、断熱性が高い、結露しにくい、防音性も高いなどのメリットがあり、注文住宅にオススメの窓サッシです。昨今、新築住宅に省エネ性能が求められるなかで、ますます注目度が上がっています。樹脂製のデメリットはイニシャルコストの高さです。しかし、断熱性が高いことでランニングコストは抑えやすいため、トータルで検討してみてはいかがでしょうか。