香りの力 生産性とリラクゼーションを高める快適なワークスペース
コロナが働き方を変えました。自分の家やお気に入りのカフェ、旅先でのリモートワークが可能になり、好きな場所で好きな仕事ができる時代。自宅をワークスペースにしている方もいらっしゃると思います。私たちは日々様々な環境で働く中、快適さと効率的なパフォーマンスを求めています。ですが、快適さと生産性を向上させるためには、物理的な要素だけではなく、感覚的なものも大いに関わってくることご存知でしょうか?
私たちの五感が大きく左右するのです。そこで快適なワークスペースを作るためにどうしたら良いのか、またその場所が仕事の生産性を上げるだけではなくリラクゼーションもできる空間なら尚更。
そこで今回は、ワークスペースに香りをプラスすることでどのような影響を与えるのかお伝えしたいと思います。 嗅覚(香り)が私たちの感情や集中力に驚くほど影響を及ぼすことは科学的にも証明されています。香りをプラスしてより良いワークスペースを作ってみませんか?
香りの心理的効果
香りの力はただ単に芳香だけにとどまりません。これまでもこのコラムで香りと脳の関係について説明してきましたが、香りは私たちの脳に直接作用し、感情や記憶と深い繋がりを持っています。心地よいと感じる香りはストレスを軽減し、気分をリラックスさせることができる一方、刺激的な香りは活力を与えモチベーションを高めたり、前向きな気持ちにする働きがあります。
また香りは過去の出来事や記憶とも深く繋がっているので、特定の香りが過去の出来事や場所を思い出させる事、皆さんも経験があるのではないでしょうか?それによって感情や心の状態が変化しますね。例えばボジティブな経験や状態を想い起こさせる香りだとポジティブな気分や自信感をもたらすのに役立ちます。
そして、香りの中には集中力を高める働きをするものもあります。脳の海馬という場所を刺激し、集中力を高めたり、クリエイティブな思考を促進することがわかっています。
このように香りは、私たちの心と身体を直接的にコントロールしていきます。 働く環境、ワークスペースをより良いものにするための秘密の鍵と言っても過言ではありません。それでは 具体的にワークスペースにはどのような香りが適しているのかご紹介しましょう。
生産性の向上をサポートする香り
嗅覚は、感情・記憶・行動を調節する中枢神経系と強く結びついています。嗅覚で感知した香り分子は、嗅神経を通じて感情や記憶を制御する部分に刺激を与えます。これによって直接的に脳の活動に影響を与えることが可能になりノルアドレナリンやドーパミンを分泌を促してエネルギーや集中力を高める香りをワークスペースに使えば生産性の向上も期待出来るでしょう。
【シトラス系の爽やかな香り】
レモンやオレンジ、ベルガモットのようなシトラス系の香りは、気分を明るくし、エネルギーを高める効果が期待できます。これらの香りをワークスペースに導入することで、眠気を覚ましたり集中力を高めることが期待できます。また午後の怠さを感じる時にもおすすめです。
【ローズマリの刺激的な香り】
ローズマリーの香りは、記憶力や集中力を高める効果が期待できます。ある研究によれば、ローズマリーの香りは認知機能を刺激し、クリエイティブな問題解決能力を高めることが示されています。重要なプロジェクトに取り組む際や、アイデアを練り上げるときに試してみてください。
【メンソール系の爽快な香り】
ペパーミントやユーカリなどのメンソールの香りは、清涼感をもたらし、頭脳をリフレッシュする効果があります。長時間の作業や複雑な課題に取り組む前に、頭をクリアにするのに使ってみてください。
【スパイシーな香り】
シナモン・クローブ・カルダモンなどのスパイシーな香りは、刺激的でエネルギッシュな気分をもたらします。また創造性を刺激するのに役立つので、柔軟に物事を考えたい時におすすめです。
ストレス軽減とリラクゼーションの香り
気分の安定させるセロトニンという神経伝達物質が分泌することで、リラクゼーションや幸福感を高めると言われています。また、交感神経を抑制し、副交感神経の活動を促進して自律神経のバランスを整えると、ストレス軽減はもちろん、心拍数や呼吸のリズムが安定し全身のリラクゼーションに繋がります。
そもそもストレスは脳内にコルチゾールが増えることで感じるものですが、リラックス系の香りはこのコルチゾールの量を減らすと言われています。ワークスペースでは脳も身体もリラックスした状態で仕事をしたいものですね。
【フローラル系の香り】
ローズ・ジャスミン・ラベンダーやカモミールなどの花の香りは、リラックスや安心感をもたらしてくれます。これらの香りは心地よく、穏やかな気分してくれますので日常的に使用すると香りが記憶されワークスペースでのリラクゼーションが高まることでしょう。
【ウッディー系の香り】
サンダルウッド、シダーウッド、ローズウッド、パインなどのウッディな香りは、思わず深呼吸をしてしまうような心地よい香りです。落ち着きや安定感をもたらすのに役立つのでワークスペースにはもってこいだと思います。
【ハーブ系の香り】
マージョラム、クラーリーセージ、レモングラス、ゼラニウムなどのハーブ系の香りは 鎮静させる作用が期待できます。緊張感や不安感、また複雑な案件などを抱えているときに頭の中で整理できるのでおすすめです。
好みの香りを見つけるには
香りは個人の好みや感情に深く影響を与えるので、試行錯誤しながら自分にあった香りを見つけるのも楽しい作業です。様々な香りを試して、リラックスできたり、幸せな気持ちになったり、元気が出たり、テンションが上がったり、自分の表情筋が緩んでいくような心地よい香りを見つけましょう。
- 香りの種類を選ぶ
アロマ精油やアロマキャンドル、リードディフューザーなど様々な種類のアロマがあります。まずは自分がどの種類のものが負担なく手軽にできるのか考えましょう。
- 香りの選択
香り選ぶ際には、自分が興味を持つ香りや心地よさを感じる香りを選んでみてください。アロマ精油の7つのカテゴリーがありますのでこちらを参考にしてください。 (7つかおりの分類の表を入れる)
- 香りの効果を体感
香りを楽しみながら、自分の気分やリラックス度にどのような影響を与えるかを感じてみてください。心地よさ、リラックス、快適さを感じる香りを見つけるために、いくつか違った香りを試してみることをおすすめします。
- 香りの組み合わせ
2種類以上のアロマ精油をブレンドして、新しい香りを作ることもできます。
例えば、リラックス効果のあるラベンダーとエネルギーを高めるオレンジをブレンドすることで 自分だけのオリジナルな香りになります。ブレンドすることで無限の自分だけの香りを作ることができます。
- 自分の体調や時間帯によって香りを変える
その日の体調や時間帯によって心地よいと思う香りは不思議と違ってきます。
ワークスペースで使用する時には、自分の感覚にしたがって選びましょう。 自分の好みの香りを見つける過程は、楽しみながら自己探究をする素敵な体験です。様々な香りを試してみて、あなたにぴったりな心地よい香りを見つけてください。
まとめ
快適なワークスペース。
それは自分の心地よいと思える環境を作ることだと思います。アロマのような植物の自然の香りを取り入れ、素直に「いい香り〜!」と思える感覚を大事にして、心と身体が一体となるワークスペースを作りあげましょう。ポジティブな感情は生産性を高め仕事が効率的に進むことに繋がります。より「働く」ことが豊かなものになるのではないでしょうか?
また、日頃から自然の香りを楽しむために、公園や緑の多い場所を散歩するのもおすすめです。花や木々、また大地の香りは心地よい感覚に導いてくれると思います。香りを意識することで、感覚を磨くことができます。嗅覚を鍛え自分の「心地よい」を見つけていきましょう。
プロフィール
【荒石由紀恵】
中央大学を卒業後、山口放送に入社し、局アナウンサーとして勤務する。 T V番組内でアロマテラピーを取材したのをきっかけに学び始める。退社後、アロマが盛んなオーストラリアへ留学。生活の中で身近に使われるアロマに触れその魅力にはまり、帰国後に認定資格を取得する。1999年よりアロマ講師として活動を開始し2004年には、「心と身体の真の癒し」をコンセプトにした専門店「AROMADROPS」をオープン。介護施設でのアロマケア、クリニックでの産後ケアにも携わりセラピストとしても活動している。アロマテラピーの可能性を広げるため多方面で香りと他業種のコラボレーションを仕掛けている。
◇ アロマドロップス http://aromadrops.net/