子供の勉強部屋は必要?リビング学習のレイアウトのコツ4つ

お子さんの家庭学習には『リビング学習』が良いか、勉強部屋が必要か、家づくりで迷う人は多いと思います。リビング学習は、難関大学に合格した子が取り入れていた学習スタイルとして話題になり、選ぶ家庭が増えています。今回は、リビング学習にはどんなメリット・デメリットがあるのかをご紹介し、机の種類と選び方、レイアウトのコツも解説します。

リビング学習のメリット・デメリット

まず、『リビング学習』とは何か、どんなメリット・デメリットがあるのかを解説します。

・リビング学習とは

リビング学習とは、勉強にリビングやダイニングなどの家族の共有スペースを使う、学習スタイルのことです。まだ学習習慣がついていないお子さんにとっては、子供部屋で1人黙々と勉強するのは難しいことです。とくに低学年のお子さんがいる家庭では、家族と一緒の空間で行う『リビング学習』が人気です。

・リビング学習のメリット

●集中力がつく

リビングは家族の共有スペースなので、兄弟の会話やテレビの音など、雑音が聞こえてきます。宅配便が届くなど、人の出入りもあるでしょう。適度な雑音がある環境での学習は、集中力の向上が期待できます。実際のテストや試験でも、他の人が文字を書く音、いすを引く音、くしゃみやせきなどの音が聞こえてきます。リビング学習は、多少の雑音でも気が散らないための訓練にもなります。

●学習を習慣化できる

学習習慣をつけるには、毎日決まった時間に勉強をすることが大切です。朝出かける前、学校から帰ってすぐ、夕食の後など、なるべく例外を作らずに続けることで習慣化できます。しかし、初めから決められた時間どおりに勉強できるお子さんは多くありません。学習を習慣化させるためには、親や家族が、気にかけながら見守ることが大切です。お子さんには「勉強しなさい!」と言いながら、自分たちはテレビを見たり、スマホをいじったりしていると、お子さんもやる気が出ません。家事をしながらでも、横に座っているだけでも良いので、伴走する気持ちをもつことが成功の秘訣です。

●宿題の丸付けがしやすい

最近では、親が宿題の丸付けをするという小学校が多いと思います。とくに、低学年の場合、親が丸付けをしてあげることで、授業で理解できていない部分や、得意・不得意を知ることができます。宿題はすでに授業で習った内容の復習になるので、分かっていない部分には、早めに気付いてあげることが大切です。リビング学習なら、親子でコミュニケーションが取りやすく、家事の合間でも見守ることができます。

・リビング学習のデメリット

●気が散りやすい

リビング学習は、集中力向上の訓練になる一方で、集中力がつくまでは、気が散りやすいというデメリットもあります。リビングにはテレビやゲームがあったり、家族の会話が聞こえてきたり、誘惑が多くあります。キッチンからいい匂いがして、夜ご飯が気になってしまうこともあるでしょう。リビングの学習スペースは、テレビや家族がくつろぐ様子が見えにくい位置にレイアウトしましょう。 

●リビングが雑然とした印象になる

リビング学習では、勉強で使う文房具はもちろん、学校の教科書やドリル、ランドセルなど、学校関連の荷物をリビングに持ち込むことになります。学校からたくさんプリントを持ち帰ったり、ランドセルを床に置きっぱなしにしたり、片付かないことも多くなるでしょう。また、机の上に宿題やノートを広げたままにしていると、リビングが雑然とした印象になってしまいます。

●勉強中はほかの家族もテレビが見づらい

ほかの家族が感じるデメリットもあります。お子さんがリビング学習をしている時間には、ほかの家族も遠慮してテレビが見づらい状況になり、不満に思うかもしれません。リビング学習の時間と、家族でくつろぐ時間を大まかに決めておき、家族みんなが譲り合って使うようにして下さい。また、机の位置をテレビから離すなど、気が散らないための配慮も必要です。

リビング学習の机の種類と選び方

次に、リビング学習で使う机にはどんな種類があり、どれを選べば良いのかを解説します。

・壁や窓向きの奥行きの浅いデスク

リビングやダイニングの壁際、窓際に、奥行きの浅いデスクを置くスタイルです。奥行きは45~60cm程度で、兄弟や親子で並んで使うのにも適しています。お部屋の空間を圧迫せず、インテリアにも溶け込みやすいというメリットがあります。将来的に、ワークスペースや家事の作業台として使いたい方におすすめです。しかし、机の奥行きが一般的な学習デスクより浅いため、えんぴつ削りやペンスタンドなどを置くと、教科書やノートが置ききれない場合があります。奥行きが浅い分、デスクの横幅は広めに確保しましょう。

・学習机

空間に余裕があるなら、一般的な学習机をリビングやダイニングに置くのがおすすめです。学習机には引き出しや本棚が付いていることが多く、学習用具や文房具の収納場所に困りません。また、机の高さはお子さんの体形に合うように作られていて、奥行きも教科書やノートを広げるのに十分なスペースがあります。成長して自室で勉強するようになっても、そのまま長く使えることもメリットです。一方で、リビングに圧迫感を与えてしまったり、インテリアに馴染まなかったりというデメリットもあります。

・ダイニングテーブルやキッチンカウンター

スペースに余裕がない場合は、ダイニングテーブルやキッチンカウンターを学習スペースとして使う方法があります。新たな家具が増えないため、圧迫感が出ず、空間を広々と使えます。しかし、食事にも使う場所なので、勉強できる時間が限られてしまうというデメリットもあります。宿題が終わらないと食事ができなかったり、食事が終わらないと勉強できなかったり、不便を感じることもあるでしょう。また、机やいすの高さがお子さんに合っていないと、姿勢が悪くなったり、視力が悪化してしまったりという心配もあります。食事場所として、清潔に保つ工夫も必要です。勉強道具や消しゴムのカスなどをすぐに片付けられるように、収納やゴミ箱を近くに配置しましょう。

リビング学習を成功させるレイアウトのコツ4つ

最後に、リビング学習を成功させるために、レイアウトのコツを4つ解説します。

・テレビが視界に入らないようにする

リビング学習最大の敵は、テレビと言っても過言ではありません。兄弟や家族が見ているアニメやスポーツ番組が視界に入ると、気になって集中力が続かなくなってしまいます。リビング学習を成功させるには、テレビが視界に入らない場所に学習スペースを設けるのがコツです。テレビに背を向けるような配置や、柱の陰になってテレビが見えない位置、間仕切りで区切られた場所などにレイアウトしましょう。

・動線をふさがない

机の配置は、生活動線や家事動線をふさがないことも大切です。リビングは家族の共有スペースであり、生活の場です。動線をふさいで移動のじゃまになると、勉強している方も落ち着かず、お互い不満に感じてしまいます。新たに机を置く場合には、ダイニングテーブルやソファの近くなど、家族がよく通る場所とは離して配置しましょう。

・机の近くに収納を設ける

ダイニングテーブルやカウンターなどを学習スペースとして利用する場合、机の近くに収納を設けるようにしましょう。学校の教科書やノート、ランドセルなどをしまう場所がないと、リビングが散らかってしまいます。自分で片付ける習慣をつけるためにも、お子さんが届く高さに、定位置をつくってあげるのがおすすめです。また、集中力を途切れさせないためには、勉強道具をサッと取り出せる使い勝手の良さも必要です。移動できるワゴンタイプの収納などを取り入れても良いでしょう。

・勉強に適した明るさを確保

勉強に適した照明の色は昼白色だと言われています。昼白色はいきいきとした自然の光に近い色です。一方で、リビングやダイニングは、温かみのある電球色という色を選び、比較的暗いことが多いと思います。リビングを学習スペースとしても使う場合には、勉強に十分な明るさを確保して下さい。LEDライトのなかには、調色機能付きで、電球色と昼白色が切り替えられる照明器具もあります。また、室内の明るさがむらなく均等になるよう計画することも大切です。明るさが足りない場合は、デスクスタンドを置いて補いましょう。

まとめ

近年多くの家庭で取り入れている『リビング学習』について、メリット・デメリットや机の種類と選び方、レイアウトのコツを解説しました。リビング学習のメリットは、お子さんの集中力の向上や学習の習慣化が期待できたり、親にとっても宿題の丸付けがしやすかったりなどです。反対にデメリットは、気が散りやすかったり、リビングが雑然と見えたり、ほかの家族がテレビを見づらかったりする点です。また、学習用の机は、将来も使える学習机を持ち込むほかに、ダイニングテーブルやカウンターを使う方法もあります。お子さんの姿勢や視力悪化に注意しながら、上手にリビング学習を取り入れて下さい。