冷蔵庫の位置はどこがベスト?失敗しないためのポイント5つ

新築の間取りを検討するとき、キッチン内のレイアウトも悩みますよね。とくに、家族みんなが使う冷蔵庫の位置は、どこがベストなのでしょうか。一度決めると簡単に変えられないため、使い勝手や見栄えが悪いと後悔します。今回は、キッチンの冷蔵庫レイアウト5選と、位置決めでよくある後悔事例や失敗しないためのポイントを解説します。

キッチンの冷蔵庫レイアウト5選

冷蔵庫は、料理中だけでなく、買って来たものをしまったり、お茶やジュースを出したりなど、1日に何度も開閉します。今回は、ペニンシュラキッチンやアイランドキッチンを想定し、冷蔵庫の位置はどこがベストなのか、レイアウト5選をご紹介します。また、それぞれのメリット・デメリットも見ていきましょう。

・キッチンの入口付近

もっともスタンダードな冷蔵庫の置き場所です。キッチンで料理をしているとき、家族が開けても邪魔になりません。また、食事を始めてから飲み物や調味料が必要になることは良くありますよね。冷蔵庫の位置がリビングやダイニングから近いと、食事中に取りに行く際も便利です。一方で、来客からも丸見えになってしまうことが気になる人もいるでしょう。また、奥行きによって入口付近の通路が狭くなり、通りにくくなる場合もあります。

〈メリット〉

料理の最中も邪魔になりにくい
リビングやダイニングから近くて便利

〈デメリット〉

リビングやダイニングからも見える
奥行きで入口付近が狭くなり、通りにくい場合がある

・キッチンの奥の背面

片側が壁に付いているペニンシュラキッチンで、背面の一番奥に置くレイアウトです。冷蔵庫がリビングからも丸見えにならず、目立ちにくいことが魅力です。キッチンの見栄えにこだわる人に向いています。また、一般的に冷蔵庫は食器棚より奥行きが深いため、一番奥に置くことで、作業がしやすくなります。しかし、コンロの向かい側になることが多く、調理中に家族が開けると、窮屈に感じます。また、コンロの熱気による冷却力低下の心配もあります。

〈メリット〉

目立たない
キッチンの背面がすっきり見える

〈デメリット〉

コンロとの距離が近くなり窮屈
コンロの熱気による冷却力低下の心配がある

・壁をへこませた専用の置き場所

冷蔵庫は、食器棚より奥行きが深いことが一般的です。例えば、ファミリー向けの冷蔵庫は奥行きが70cm程度です。市販の食器棚は奥行きが45cm程度しかないため、平らな壁に並べると冷蔵庫がとび出てしまいます。注文住宅を新築する際は、冷蔵庫と食器棚の前面がフラットになるように、壁をへこませて専用の置き場所をつくることができます。キッチンの見え方がすっきりとし、通路も広々とします。しかし、将来買い替えてより大きなものになると、入らないことも起こり得ます。また、壁をへこませるため、キッチンの裏側の間取りをよく検討しないと、デッドスペースが出来てしまいます。

〈メリット〉

キッチンがすっきりと見える
通路が広々

〈デメリット〉

将来サイズが大きくなると、入らないこともある
壁をへこませた裏側を活用しないと、デッドスペースができてしまう

・パントリーなどの見えない位置

パントリーの中や、壁で囲ったりして隠してしまう配置です。リビングなどから見えない位置なので、来客時に開けても中身を見られる心配がありません。また、パントリーに冷蔵庫を入れることで、冷蔵食品も常温食品も一カ所にまとまり、買い物帰りがとても楽になります。一方で、調理中に冷蔵庫から食材や調味料を出すときに、動線が長くなってしまいます。また、ウォークインタイプのパントリーでは、熱や湿気がこもらないように、換気対策が欠かせません。

〈メリット〉

リビングなどから丸見えにならない
買い物帰りに食品をしまうのが楽

〈デメリット〉

料理の際の動線が長くなる
パントリーに熱や湿気がこもらないように換気対策が必要

・引き戸収納のなか

キッチンの背面に引き戸収納を作り、そのなかに冷蔵庫、食器棚、パントリーの全てを入れる方法です。生活感の出やすい家電を隠すことで、キッチンがおしゃれでスマートな印象になります。また、背面全体を収納にできると、高さを生かした大容量のスペースが確保できます。普段は引き戸の扉を開けたまま使い、来客時には閉めるとスッキリと見えます。しかし、このタイプはキッチンに広い面積が必要です。また、収納内に家電の熱がこもらないように換気対策も必須です。

〈メリット〉

キッチンがおしゃれでスマートに見える
大容量の収納スペースが確保できる

〈デメリット〉

キッチンに広さが必要
引き戸内に熱がこもらないための換気対策が必須

冷蔵庫の位置でよくある後悔とは

冷蔵庫を置く位置は、一度決めるとなかなか変更できません。次は、位置決めでのよくある後悔を解説します。事前に知ることで、失敗しないためのヒントにしましょう。

・通路が狭くて危ない!

キッチンの通路が狭くて後悔するケースが多くあります。例えば、通路が狭いと、コンロで火を使っているとき、お子さんが冷蔵庫を開けに来ると危険です。また、包丁を使っている時や、熱い鍋を持っている時も、後ろを通ると怪我やヤケドの心配があります。家族で一緒に料理をする際も、通路が狭いと窮屈でお互い作業しづらく、後悔につながります。

・冷蔵庫のドアや引き出しが全開できない!

例えば、最近ファミリー層に人気の両開き冷蔵庫。容量が大きく、ドアも大きく開いて見やすいのが魅力です。しかし、容量や奥行き、搬入経路を確認して買ったのに、「ドアが全開できない!」と後悔する場合があります。ドアを90度以上開くには、サイドに5~10cm程度のすき間が必要です。両開きでは、両サイドにすき間を空けなければなりません。また、最近は冷凍室の引き出しをよく使うという人が増えています。引き出しが全開できないと大きな後悔になります。

・光熱費のアップが心配

勝手口やコンロに近い位置は、直射日光や熱気の影響を受け、余計な光熱費がかかる心配があります。冷蔵庫の表面が熱くなると、冷却力がダウンしてしまうためです。取扱説明書にも、設置場所は直射日光の当たる場所や、コンロの近くは避けるように書かれていることが多いでしょう。勝手口からの採光は、キッチンを明るくしてくれるメリットがある一方、冷蔵庫に直射日光が当たると後悔の原因になります。

冷蔵庫の位置で失敗しないためのポイント5つ

最後に、位置決めで失敗しないためのポイントを解説します。キッチン内のレイアウトを検討する際の参考にしてください。

・ちょうど良い通路幅を確保

ファミリー向けキッチンの通路幅は、90cm~1m程度がベストだと言われています。マンションや単身世帯では、70~80cmというケースもありますが、家族で使うと狭く感じることが多いようです。また、通路が1m以上あると、家族で料理をしたり、後ろで冷蔵庫を開けたりしても窮屈にならないことがメリットです。一方で、振り返っても食器棚に届かなかったり、他のスペースが狭くなったりというデメリットもあります。狭すぎず、広すぎず、ちょうど良い通路幅を確保して下さい。

・冷蔵庫のサイズ、ドアの向きを確認しておく

冷蔵庫は設置できれば良いというわけではなく、開けてもぶつからないか、スムーズに通れるかが重要です。既存の冷蔵庫を使う場合や、購入品を決めている場合は、サイズや開く向きを設計時に伝えておきましょう。ドアの向きは、キッチンカウンターの中央に向かって開くと、調理中でも取り出しやすいでしょう。右側に壁がある位置では右開き(右軸)、左側に壁がある位置では左開き(左軸)が使いやすく、両開き(フレンチドア)なら、ドアの向きを気にせず配置できます。また、家族が増えたり、お子さんが成長したりすると、容量が大きいものに買い替える場合があります。余裕をもったスペースを確保しておくのがおすすめです。

・サイドにすき間を確保

冷蔵庫ドアは、90度以上開けると中が見やすく、出し入れもしやすくなります。ドアの軸になる側には5~10cm程度のすき間が必要です。すき間を空け忘れると、ドアが90度も開けられず、なかの引き出しが開かないことや、棚板が取り出せないことがあるので注意しましょう。また、冷蔵庫には放熱スペースとしてのすき間も必要です。最近の製品は、主に左右や上部に放熱スペースを確保するよう、取扱説明書に書かれています。左右は約0.5mm以上、上部は約4~5cm以上と書かれていることが多いでしょう。きちんとすき間を確保し、冷却力低下も防いで下さい。

・直射日光や熱気の影響を受けず、湿気の少ない位置を選ぶ

冷蔵庫の設置場所は、直射日光や熱気の影響を受けない位置を選ぶようにして下さい。冷却力が低下すると、余計な光熱費がかかってしまう恐れがあります。また、サビや結露を防ぐために、湿気が少なく、風通しが良い環境が望ましいでしょう。電源プラグが掃除しやすいことも重要です。ホコリがたまると発火の恐れがあるため、年1回は掃除して下さい。

・搬入経路も確保

冷蔵庫位置までの、搬入経路を確保しておくことも大切です。とくに、パントリーや2階キッチンへの設置は、搬入経路が長くなりがちです。既存の冷蔵庫を新居でも使う場合は、階段や扉のサイズを決める際に、通れる寸法にして下さい。また、冷蔵庫の寿命は6~12年程度と言われています。家族の増減や、ライフステージの変化によっても買い替えが考えられます。将来、現在よりもサイズが大きくなることも想定しておくと良いでしょう。

まとめ

今回は、キッチンの冷蔵庫レイアウト5選と、位置決めでよくある後悔や失敗しないためのポイントも解説しました。使いやすさで選ぶなら、キッチンの入口付近に置くレイアウトが定番です。見栄え重視なら、キッチンの奥やパントリー、引き戸収納の中などが向いています。設置位置のよくある後悔は、通路幅の狭さや、ドアや引き出しが全開できないことなどです。通路幅は、冷蔵庫を開けてもぶつからないか、スムーズに通れるかなどを考慮して決めましょう。また、冷却力低下やサビ、結露などを防ぐために、直射日光や熱気の影響を受けず、湿気が少ない場所を選ぶことが重要です。