知っておきたい窓の種類、メリット・デメリットと窓選びのポイント3つ

窓の種類って、意外とたくさんあるのをご存知ですか。たっぷり光を取り込める、大きな窓には憧れる人は多いと思います。しかし、見た目だけでなく機能性がとっても大事。実は、断熱性も耐震性も、決め手は窓にあります。今回は、知っておきたい窓の種類とそれぞれのメリット・デメリットをご紹介します。また、新築の窓選びで失敗しないためのポイント3つも解説します。

窓の種類とメリット・デメリット

新築の打ち合わせで窓を選ぶとき、種類の多さに驚く人も多いと思います。メリット・デメリットを事前に知っておけば、迷うことや、失敗を未然に防ぐことができます。まずは、主な窓の種類と、それぞれのメリット・デメリットをご紹介します。

・引き違い窓

住宅でもっともポピュラーな窓です。2枚のガラスを左右にスライドさせて開閉します。

〈メリット〉

●開き具合で風通しが調整しやすい
●サイズが豊富
●窓を外すことができるので、家具の搬入などに便利
●バリアフリー仕様もある

〈デメリット〉

●気密性が低い
●デザイン性が高くない

・上げ下げ窓

縦長の形状で、2枚のガラスを上下に動かして開閉させます。上部が固定され、下のガラスだけ動かすタイプを『シングルハングウィンドウ』、両方動かせるタイプを『ダブルハングウィンドウ』と呼びます。海外の住宅で普及していて、北欧風やアメリカンテイストの家では、外観のアクセントになります。

〈メリット〉

●おしゃれで洋風
●気密性や断熱性が高い
●防音性も高い

〈デメリット〉

●コストが高め
●カーテンが選びにくい

・開き窓

ドアのように開く窓のことです。ガラスが1枚で、左右どちらかを軸にして開閉するタイプを『片開き窓』、ガラスが2枚で、左右の軸を起点に開くタイプを『両開き窓』と呼びます。ハト時計の窓の形と言えば、分かりやすいかもしれません。欧米の住宅に多い開け方です。

〈メリット〉

●デザイン性があり、外観のアクセントになる
●大きく開き、開放感がある
●閉めている時は気密性も高い

〈デメリット〉

●大きく開くため、お子さんの転落のリスクがある
●開けっ放しは防犯性が低くなる
●安全のためにストッパーを付けると開放感が減る

・すべり出し窓

ハンドルや取手をつかんで回し、外に向かって押し出したり、手前に引いたりして開閉します。上下にあるレールに沿ってすべり出すタイプを『縦すべり出し窓』と呼びます。また、左右のレールに沿ってすべり出すタイプは『横すべり出し窓』と呼びます。小さめに開けるとひさしのような形状になるため、小雨程度なら換気に利用できます。

〈メリット〉

●開く角度によって風通しの調整ができる
●小さなサイズもある
●気密性が高い

〈デメリット〉

●開ける際に強めの力が必要
●窓を開けるとき、外側に人がいたり、物があったりするとぶつかってしまう

・突き出し窓

上部が軸になり、外に突き出すタイプの窓です。横すべり出し窓に似ていますが、レールはなく、上部が固定されているのが特徴です。開けるとひさしのような形状になり、開きすぎないようにストッパーも付いています。また、反対に下部が軸になり、室内側に倒すタイプは『内倒し窓』、外側に倒すタイプは『外倒し窓』と呼ばれています。

〈メリット〉

●雨の日に開けても室内が濡れにくい
●開口部が小さいので防犯性が高い
●内倒し窓は、隣家との距離が近い場合でも設置できる

〈デメリット〉

●他の窓に比べ、風通しがよくない
●内倒し窓、外倒し窓は、雨の日の換気には向かない

・FIX窓

採光や景色を楽しむための、開閉できない窓です。『はめ殺し窓』とも呼ばれています。形状は、四角や長方形だけでなく、丸型やスリット状などバリエーションが豊富です。

〈メリット〉

●サイズや形のバリエーションが豊富
●気密性、断熱性が高い
●防犯性が高い

〈デメリット〉

●外側の掃除がしにくい
●排煙や換気に使えない

・フルオープン窓

開口部分をフルオープンにできます。窓を折りたたむタイプは『折りたたみ窓』と呼ばれ、庭やバルコニーに面した場所に適しています。窓を戸袋に引き込むタイプは『引込み窓』と呼ばれています。

〈メリット〉

●おしゃれで採光性が高い
●開口が大きく、開放感がある
●見た目すっきり

〈デメリット〉

●コストが高め
●折りたたみ窓は、窓の前後にスペースが必要
●引込み窓は、サイドに引き込むためのスペースが必要

設置場所別、おすすめの窓とは

設置場所や形状から付いた名称と、おすすめの窓の種類を解説します。

・腰高窓(こしだかまど)

腰上の高さに設置されている、住宅ではポピュラーな窓です。窓の下は壁になるので、家具のレイアウトがしやすいのも魅力です。

〈おすすめの窓〉

引き違い、上げ下げ、すべり出し

・掃き出し窓(はきだしまど)

床から天井近くまである、大きな窓です。昔は掃除のときに、室内のチリを掃き出していたことから、その名が付いたと言われています。リビングに設置することが多く、室内を明るくしてくれます。庭やウッドデッキなどの出入りや、家具の搬入にも利用されます。面積が大きい分、掃除が大変という一面もあります。

〈おすすめの窓〉

引き違い、FIX+開き

・出窓(でまど)

壁の外側に出っ張った立体的な窓です。3~5面で構成されることが多く、奥行きがあることから、部屋を広く見せる効果があります。しかし、比較的コストが高くなることや、結露しやすいことなどから、以前ほど採用されなくなってきています。

〈おすすめの窓〉

FIX+縦すべり出し

・天窓(てんまど)

天井や屋根に設置されます。『トップライト』や『ルーフウィンドウ』とも呼ばれ、光をたくさん取り込めます。リビングの吹き抜けや、ランドリールーム、暗くなりがちな北側の部屋などに設置されます。開閉して通風できるタイプと、開閉できないタイプがあります。高い位置で太陽光を取り入れられ、周辺の建物の影響を受けにくいことも魅力です。一方で、掃除のしにくさや、雨漏りのリスクがあり、定期的なメンテナンスが必要になります。

〈おすすめの窓〉

突き出し、FIX

・高窓(たかまど)

壁の高い位置に設置されます。『ハイサイドライト』とも呼ばれ、壁や天井に反射した、柔らかい光が取り入れられます。プライバシーを確保しながら採光がとれることも魅力で、住宅密集地などでとくに人気があります。壁面を自由に使えるので、家具のレイアウトがしやすいこともメリットです。手の届かない位置に設置することが多いため、電動で開閉できるようにすると便利です。

〈おすすめの窓〉

高所用横すべり出し、FIX

窓選びで失敗しないためのポイント3つ

最後に、新築の窓選びで失敗しないためのポイント3つを解説します。

・窓を増やし過ぎない

新築の家に『断熱性』を求める人は多いと思います。実は、断熱性のカギは窓にあります。窓は熱の出入りが多く、どんなに気密性の高い形状でも、壁よりは断熱性が劣ります。断熱性の低い家は、夏は暑くて冬は寒く、余計な冷暖房費がかかってしまいます。また、耐震性や防犯性の面でも窓は弱点になります。明るく開放的な家にしたいからと、数を増やし過ぎないようにしましょう。

・外からの目線も考慮する

高さや設置場所によっては、通行人や隣家から室内が丸見えになってしまう場合があります。せっかく窓を設置しても、外からの目線が気になり、1日中厚いカーテンを閉めているのは勿体ないですよね。外からどう見えるかも考慮して、窓の高さや大きさを検討して下さい。位置や高さで調節できない場合は、くもりガラスにする方法もあります。

・開け方や掃除方法も考えて配置する

高い位置の窓は、暗くなりがちな場所にも効率的に採光がとれます。おしゃれで外観のアクセントにもなり、換気にも役立ちます。しかし、手が届かない場所の場合、どうやって開けるのか、どうやって掃除をするのかイメージしておく必要があります。電動にすれば、リモコン1つで開閉はできますが、網戸をしないと虫が入ってきてしまう場合もあります。また、掃除をしないと、ホコリが溜まったり、クモの巣が張っていたりする場合も。掃除やメンテナンスのしやすい種類を選び、配置についてもよく検討することが大切です。

まとめ

窓は家の快適性を決める重要な要素です。採光や通風を目的に設置され、開放感や明るさをもたらしてくれます。形状や設置場所によってたくさんの種類があり、それぞれメリット・デメリットもあります。気密性や断熱性、耐震性や防犯性の面からも、大きすぎる窓や、多すぎる配置はおすすめできません。適所に、機能的でおしゃれな窓を設置し、明るく風通しの良い家を建てて下さい。